目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『行きずりの二人』で、ホテル&レストランが『フリック・ストーリー』っぽいとか書いてしまったので、こちらもチェック。
でも実際見返してみたらあまり似ていませんでした。
記憶なんていい加減なものです。
国家警察刑事ロジェ・ボルニッシュが、脱獄した凶悪犯エミール・ビュイッソンを執念で追い続ける様を描く実話ものです。
どちらもその名前で実在。
flicはフランス語で警官。メルヴィル監督の『リスボン特急』の原題が« Un flic »でした。
スマホの操作の方は英語で、綴りは”flick”。
ロジェ自身による原作も同題で、翻訳本は『フリック・ストーリー ふらんすデカ物語』(サイマル出版会 1974)。
ロジェを演じたのはアラン・ドロン。製作も兼ねています。
縄張り意識優先の上司からパリ警察より先にエミールを見つけることを命じられたロジェ。
恋人との結婚生活がかかっているので昇進目当てに張り切りますが、解決が長引き、その間上司は容赦なくプレッシャーをかけ続けます。
このあたりクライムサスペンスというより、宮仕えの哀愁のような気配が漂っていたりするのでした。
表情一つ変えずに次々人を殺める凶悪ギャング、エミール・ビュイッソンにジャン=ルイ・トランティニャン。
好演でしたが、配役を逆にしたバージョンも見てみたかったかも?
ロジェの恋人カトリーヌにクローディーヌ・オージェ。
意外な活躍も見せたりしますが、史実だったかどうかは不明。
脇役ではエミールの仲間たちが滋味たっぷりですが、特に入院している妻のために稼がなくてはならないポーロ役のポール・クロシェが印象に残ります。
他に、ホテル&レストランの主人に、『シャレード』の刑事役だったジャック・マラン。
監督ジャック・ドレー、撮影ジャン・ジャック・タルベス、音楽クロード・ボラン。
ジャック・ドレー監督は、これまでのエントリーで言えば、『太陽が知っている』(69)でアラン・ドロンと、『水の中の小さな太陽』(71)でクローディーヌ・オージェと組んでいます。
同じ監督+ドロンの『友よ静かに死ね』も原作はロジェ・ボルニッシュで、原題は« Le Gang »
最近『そして友よ、静かに死ね』というフランス映画が登場してややこしいことになりました。
邦画では『友よ、静かに瞑れ』がありますので、さらにややこしいです。
ロケ地
IMDbには記載がありません。
例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
内務省
冒頭ロジェがやってきたところ。
MINISTERE DE L’INTERIEUR
ホンモノの入り口です。
白バイの追跡
ビル・アケム橋で、スタートは左岸。
倒れるのは右岸のこちら↓
以下は以前milouさんから提供していただいた画像です(撮影2006年)。
©2006 milou アルバム「パリ」から |
©2006 milou アルバム「パリ」から |
レイモンのバー
※17/1/18項目追加
目の前の通りが写るのは、次項目の尾行が始まった時や、エミールが落とし前をつけに来た時。
奥手の階段とその上に見えるアーチ状の建物がどこかで見たことあると気になりましたが、『ヘッドライト』で登場していたモンマルトルの階段でした。
バーはその手前のこのあたり↓
尾行
降りたメトロ駅は、Gambetta (Paris_Métro)W
地上に出てきたのはこちら↓
少し上ってから急な下り坂となりますが、こちら↓ (カメラ北向き)
逆向きに、尾行する刑事が斜め渡りするところをとらえたショットはこういった感じ↓
後ろをうかがいながら左に曲がり上り坂となりますが、こちら↓ (カメラ南向き)
足取りは最後に掲載したロケ地マップで、矢印で示しておきました。
アジトの入り口は、プライベートな物件と思われますのでマップでは略します。
ただ、尾行した刑事が通りの名前を確認しますが、実在するものですし、連絡を受けたロジェが大きな地図で確認する際もその位置を指さしています(汗)。
周囲の建物は今ではほとんど建て替えられているようですね。
映画の中では年季の入った建物を背景に、兵士や子供たち、通行人のファッション、馬車など、当時の雰囲気がうまく醸し出されています。
ガード下
0:58
場所が気になりますが、調査中
ヴァンセンヌの森
1:05
エミールが降りたのはおそらくこの交差点のあたり。
墓地のそば
※17/1/18項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。
マリオが殺された現場は、台詞ではVille d’Avray。
実際の撮影は、隣のSevre で墓地の北側 Route des postillons ではないかとのことです。
橋の上
1:28
ポーロにP38を渡すところ。
調査中。
レストラン
クライマックスシーンとなる、郊外のホテル&レストラン。
看板にこう↓ありますが、これは小道具でしょうね。
AUBERGE de la MERE L’OIRE L’OIE
手がかり少なく、撮影場所は調査中。
さらに気になるのは、駆けつける刑事たちのクルマが左折するショット。
並木道がとても印象的です。
左折した後の建物に地名表記があるようなのですが、あと少しで読み取れず。
この場所知りたいです。
一行がクルマから降りてくる場面は、個人的にこの映画いちばんのお気に入り♪
レストランに入ってからのサスペンスは緊迫感たっぷりでお見事。
ただ最後のドロンのドヤ顔は、ちょっとキメ過ぎではないでしょうか(笑)
こちら↓はその場面の動画ですが、完全にネタばれですので、ご注意を。
カトリーヌが弾いたピアノ曲は、エディット・ピアフの「La vie en rose(ラ・ヴィ・アン・ローズ バラ色の人生)」と「De l’autre côté de la rue」。
曲と言えば、エミールがダンスホールへお礼参りにきた時のアコーディオンの曲が、聞いたことあるようなないような……もやもやっとしてしまっています。
※17/1/18追記
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。
左折した並木道はこちら↓
並木道は Route de Jouais を南から見たもの。
道路標識は、Place du 11 novembre 1918 で、 Eglise de Jouais という教会の壁。
そのショットではクルマは左折してRoute d’Elancourtを東に向かっていきますが、レストランがあるのは、直進して、Route des Mousseauxを南へ進んでいった先。
建物は現存していて、壁にLe Parc aux Loups とあり、狼の看板が出ています。
映画ではクルマは逆方向からやってきますね。
言葉では判りづらいためマップでも示してしまいますが、かつては映画のような宿屋で現在は個人宅となったようにも見えます。だとしたら、ごめんなさい。
拘置所
※17/1/21項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。
拘置所はサンテ刑務所。
以下の画像も以前milouさんから提供していただいたものです。
©1977 milou アルバム「パリ」から |
撮影は77年7月とのことで、映画の頃に近いですね。
©1978 milou アルバム「パリ」から |
こちらは78年撮影。
ロケ地マップ
パリだけでかなりのピン数となってしまうため、全部をひとつのマップにまとめるのは難しそう。
とりあえずパリが舞台となる似通ったジャンルの映画をまとめてみました(随時更新します)。
資料
更新履歴
- 2017/01/21 「拘置所」項目追加
- 2017/01/18 「レイモンのバー」「墓地のそば」項目追加、「レストラン」追記
- 2017/01/14 新規アップ
コメント
久し振りの投稿です。
☆ まず最初の Hold-Up のレストランの看板は L’Arbois となっているが奇妙なことに入口左には Automobile Club de France の銘板、右側には Lions Club の銘板と申し訳(?)のようにRestaurant の銘板があり、いわゆる一般のレストランではなく会員専用のレストランだろう(だから客は金持ち?)。現在のClub の住所で該当するものはなかったが名前の近い(?)8区の 9 rue d’Artois には同じように2枚の銘板が左右にある。
新聞記事のアップによると16区の l’auberge d’Arbois とレストランではなく宿屋になっている。ちなみにパブリック・エネミーNo.1 の Buisson に殺された警官の名前はSchmitt だそうです。
☆しかし続く逃走場面が Pont Bir-Hakeim の左岸スタートとして車は右から来て左折するがガード柵の端(2階建ての前)ではなく次の通りなので Quai de Grenelle のはずだが、そうであれば例によって左側の逆車線に突っ込んでいる。しかしカットが変わると高架の橋下駄が進行方向左なので正しい右側に変わっている。
いずれにしろレストランが16区であればBir-Hakeim の右岸スタートのはずなんですが…
☆ アジトの建物は台詞どうりの場所に現存し明かりの付いていた窓(4階左から2つめ)下のT字型支え(?)もその奥の建物最上部の白い樋も確認できますね。ただ…それを見上げて張り込んでいた場所は左上に通りの表示がある斜めになった曲がり角、つまり Rue Robineau との北西の角になり部屋は見えないんですよね…
すぐ側の地元の警察車輌が止まっていたのが Rue Robineau1番地前でバックは現在とほとんど同じだがドロンが立っていた角の建物が改装されたためか番地および通りの銘板の位置が少し変わっている。
ちなみに追跡のバックに何度も見えるミュージカル HELLZAP(OPPIN) の青いポスター上部には1947年10月20日-26日とあり冒頭の1947年9月3日 という日付と矛盾しない。こういう、誰も見ない所がちゃんとしてると嬉しくなるんですね…
☆ マリオよく行く Les Calanques という店は台詞では Rue Troyon だという。その名前の店はなかったがエミールが入る時に見える向かいの建物は現3番地の建物の壁や窓とほぼ一致する。ただし街灯はなく窓の下の排気口(?)とのスキマがないので的外れかもしれないが。
☆マリオが殺された側の墓地は台詞からVille d’Avray かと思ったが多分隣のSevre でSVがなく確認はできないが墓地の北側 Route des postillons だろう。
☆ 逮捕のレストラン(宿屋)はMERE L’OIRE ではなくMERE L’OIE (Mother Goose) です。ただし史実(仏Wiki)によると実際は La Mère Odue で場所は RN13 à Claville dans l’Eure だったらしい。
撮影場所は…ネットで見つかった情報で分かったが、まず見えた道路標識は Place du 11 novembre 1918 で Eglise de Jouais という教会の壁に今もあります(並木道は Route de Jouais を南から見たもの)。そこから映画どうり Route des Mousseaux を南方面に進むと…
レストランが見つかりました。ただし車は左折してレストラン前のガソリンスタンドに入るので実は逆方向から来たことになるが場所は 2 rue de Maurepas にある現 Le parc aux loups で、かすかに見える入口や左の窓は確かに映画と一致する。
milouさん、コメントありがとうございます。
一番気になる左折した並木道をマップでチェックしましたが、間違いなさそうですね。おかげさまでとてもスッキリです。
他とあわせて、今夜にでも追記させていただきます。ありがとうございました。
milouさん、本文に反映させました。
富裕層の集まるレストランは確認しようがないので割愛しましたが、入り口両脇に確かにライオンズクラブなどの標示がありますね。
その後の白バイ追跡での逆走&いつのまにかレーン変更は確認できました(笑)
Rue Troyonの店も確認までは至らなかったので割愛させていただきました。
アジトのように、セリフの地名で実際に撮影されていて今でも確認できれば楽なのですけど……
ヴィルダヴレの地名には見ていて思わず身を乗り出しましてしまいました。
いまだに『シベール』の教会探しています。
並木道とレストラン(宿屋や旅籠の方が語感は合いますね)は本当に感謝です。これがスッキリ解明するのとしないのとでは、最近血圧上がり気味なので健康にも影響します。
宿屋は今はおそらく普通の家に直しているようですが、あまりのうれしさにマップでも示してしまいました……もしかするとしばらく後で隠してしまうかもしれません。
書き忘れたが、ラストの刑務所は言うまでもなくサンテです。僕のアルバムで向かいにあったかフェから撮った門の開いた写真奥に見えるアーチ型の窓(?)が映画で確認できます。
milouさん、「拘置所」追記しました。ありがとうございます。
ホンモノで撮影というのも凄いですが、向かいにカフェがあったというのも凄いですし、そこからまるっと観察できたというのも凄いです。
最新のSV(16年5月)ですと、珍しく門の中を覗けますね。