目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『パリのめぐり逢い』と同じく、クロード・ルルーシュ監督+フランシス・レイ音楽のメロもの代表作。
映画本編も音楽もけっこう知られているかと思いますが、『パリのめぐり逢い』同様日本ではDVDが出ていません。
それなりにマーケットがあると思うのですが、なぜでしょうね? こちらも良い画質でのソフト化希望。
それぞれ家庭がありながら、一緒に仕事をしたことがきっかけで親しくなってしまった男女の物語。
アメリカ各地を舞台に、二人の揺れる心模様をおなじみの流麗なカメラがきめ細やかに捉えていきます。
主演2人は、アメリカの映画撮影現場で知りあったフランス人同士という設定。
作曲家アンリにジャン・ポール・ベルモンド。
女優フランソワに『パリのめぐり逢い』でも好演したアニー・ジラルド。
アンリのお相手パトリシアにファラ・フォーセット。これが劇映画デビュー。
俳優役でリチャード・ベースハート。カメオですが、ファラ・フォーセットより台詞が多いかも。
それからバーテンダーは、『パリのめぐり逢い』のホテルマン、つまり撮影監督ジャン・コロンではないでしょうか?
(IMDbのクレジットにはないので違うかも。詳しくは『パリのめぐり逢い』のエントリーをご覧ください)
英題”Love Is a Funny Thing”。
音楽
テーマ曲「恋の終わりのコンチェルト」もフランシス・レイの代表曲ですね。
こちら↓はそれを使ったアニー・ジラルド・チャンチャカチャン♪
このメロディ、テンポをアップすると『華麗なる賭け』(1968)の名曲「風のささやき」になるような気がします。 って同じことを5年前のエントリー『華麗なる賭け』でも書いていました……。
気を取り直して、こちら↓も良く聴く曲。同じようなカバー画像ですが別の動画です。
お気に召したらぜひ正規にご購入を♪
DVD登場
▼21/12/06 項目追加
今月(2021年12月)29日にDVDが発売されるようです。
ロケ地
IMDbでは、
Las Vegas, Nevada, USA
Los Angeles, California, USA
Monument Valley, Utah, USA
と今回はアメリカ各地が舞台です。
この映画、ロケ地的にはあまりピンと来る(=調べてみたくなるような場面)が(昔も今も)なかったので、さらりと。
アンリの部屋
窓の外にコロッセオが見えます。この場面は米国外。
建物はコロッセオ北側のこのあたり。
ホテルではなく一般の集合住宅のようなので特定は避けますが、手すりや窓枠など今でも確認できます。
絶好のロケーションで、お高そうな物件。
監督とドライブ
背景の高層ビルが特徴的だったので場所がわかりました。
ロサンゼルス、Wilshire Blvdのこのあたり。
車は西向き、カメラは東向き。
そのまま進めば『ミラクル・マイル』の交差点に出る大通り。
画面左側には『ミラクル・マイル』の黒い沼や博物館があるはず。
ラスヴェガスのホテル
軽飛行機に乗りに行くときのタクシーの背後に、いかにもタイアップ的なこちら↓のポスターがありました。
http://www.lasvegasmikey.com/dunes.htm
かつてあったDUNESW というホテル&カジノのようです。
現在同じ場所にBellagioWが建っているということで、マップではこちら。
上記サイトには1987年に日本の投資家が155ミリオンで買い取ったと書かれてあります。
いかにもバブリーな時代のエピソードですが、同時代の多くのエピソード同様投資は失敗に終わり、閉鎖・解体となったようです。
そのど派手な最期(1993年)↓
映画とは全然関係ありませんが、上のブログ記事で名前が挙げられている日本の方は、もしや秋葉原で大きな家電店を経営されていた方でしょうか? 当時そんなこともされていたとは全く知りませんでした。
これからは、各フロアを大衆量販店が占め、てっぺんに某女子グループが劇場を構えているという時代の象徴的な(?)あのビルの前を通るたびに、『あの愛をふたたび』のメロディが脳裏を流れることになるかもしれません……。
遊覧飛行
ラスヴェガス近くのミード湖Wでしょうか?
西部劇
似たような施設はあちこちにあるのでしょうけど、背景の岩山がそっくりな画像がありましたので、おそらくアリゾナ州のOld Tucson StudiosW。
たとえばこちらの画像はアクションシーンの最初のカットと山並みが全く同じ。
ドライブ
Monument Valley, Utah, USA
夜の街
ジャズが流れる夜の街。ニューオーリンズ?
となるとその後の橋はポンチャートレイン湖コーズウェイ(Lake Pontchartrain Causeway)Wとなりそうです。
ラストの空港
ロケ地マップ(13/6/14追記)
より大きな地図で クロード・ルルーシュ監督作品 を表示
資料
関連記事
フランシス・レイ
- 『あの愛をふたたび』 Un homme qui me plaît (1969)
- 『パリのめぐり逢い』 Vivre pour vivre (1967)
- 『マイ・ラブ』 Toute une vie (1974)
- 『個人教授』 La leçon particulière (1968)
- 『男と女』 Un homme et une femme (1966)
- 『男と女の詩』 La bonne année (1973)
- 『雨の訪問者』 Le passager de la pluie (1970)
更新履歴
- 2021/12/06 「DVD登場」項目追加
- 2013/06/11 新規アップ
コメント
待望の映画がアップされたのでとても嬉しいです。最高の女優アニー・ジラルド、流麗な映像、胸を締めつけるような音楽(フランシス・レイの最高傑作で、この音楽を聞くたびに涙が出ます。メロディーは日本人向けのセンチメンタリズムの極致)、印象的なストーリー。まさに大人のための大人の恋愛映画です。この映画に比べれば今の恋愛映画など子どもだましにすぎません。ロケ地はほとんどアメリカですが、やはりラストシーンの空港がこの映画では重要です。あのデッキはまだ残っているのでしょうか。(この場所についてもう少し詳しい説明が欲しかった)ラストのアニー・ジラルドの顔の表情、あきらめ?後悔?自虐?寂しさ? もうたまらない。こんな映画がもう一度見れたらいつ死んでもいい。
音楽「恋の終わりのコンチェルト」の映像48秒目にアニー・ジラルドのhairが見えます。えぇ!なんで?あれほど憧れていた女優の大事なところがこんなに簡単に見れるなんて。
赤松幸吉さん、お久しぶりです。
お話はシンプルですが、大人の恋愛がじっくり描かれていて、それプラス映像や音楽がきれいなので、いつまでも印象に残りますよね。ここはぜひDVDやBlu-rayを出してほしいと思います。
ラストの空港ですが、デッキに関しては映像からはほとんど確認できませんでした。
滑走路やその向こう側の海、光の方角など、現状の同空港と矛盾していないので、おそらく撮影場所はここだと推定しています。
Youtubeの動画ですが、やっぱりそこに気づかれましたか(汗)。
この映像集、知らない出演作も多くあったので、ヒマな時にじっくりどの映画なのか解析してみたい思いました。
この映画を初めて見たとき、フランス人てぇ野郎はなんてしゃれた恋愛映画を作るのだろう、日本人が逆立ちをしてもこんな洗練された映画は作れないと脱帽したものだった。(これに匹敵できる邦画は、市川 崑「恋人」ぐらいだ)
映画の中での映画の撮影シーンから始まる魅惑のファーストシーン(観客はみんなその手法に騙される)から甘く、せつなく、やるせないラストまで、大人の恋愛ゲームが続くのです。
原題は「私が愛した男」で本当に平凡なタイトル、もっとロマンチックな題名がなかったのだろうか。その点、日本人の方が映画の題名をつけるのは、はるかにうまく繊細。その冠たるものは、わが「太陽がいっぱい」、この題名を考えたのは誰なのであろうか。是非、名乗り出て欲しい。
ラストの空港は、やはりシナリオ通りのニースだ、これだけは絶対に信じたい。
ソフト化を待ち望んでいたこの映画のDVDが、去年の12月に発売されるや買いましたが、手に入れると安心してしまったせいで、1年ぶりの鑑賞となりました。
ラストシーンも良いですが、すべてを夫に打ち明けたことを「電話で言うことじゃない」とベルモンドから言われ、「喜んでくれると思った…」と言うジラルドの表情にもグッと来ます。
このあと、モーリス・ロネと共演した「マンハッタンの哀愁」のDVDを見て、ジラルド・ナイトとなりました。
ちなみにYouなんとかの問題のシーンは、ご存じかと思いますが、ドロンの「ショック療法」ですね。
ほりやん様
あのシーンは「ショック療法」でしたか。なるほどそれで次のシーンでアラン・ドロンが出ているわけですね。
この映画ではドロンもオールヌードになり、大変話題になりました。
西洋人は日本人ほど人前で全裸になることを気にしないのではないでしょうか。
赤松幸吉様
お役に立ててよかったです。それはそうと、「キャプテン」の名付け親である赤松様に断りなく、このブログの管理人様を「キャプテン」と呼ばせてもらっていますが、ピッタリの名称だなと思っていますので、今後も使用させていただきたく存じます。
ほりやんさん、コメントありがとうございます。
申し訳ありません、当方の都合でこのところ管理ができず、1週間ほどコメント承認が遅れてしまいました。
ジラルド・ナイト、良いですね 🙂
『マンハッタンの哀愁』は監督のヌーベルバーグへの意識が見えていますが、これはこれで雰囲気たっぷりで全然悪くないかと。手塚治虫さんが劇画を意識せざるを得なかったのと似たようなものを感じてしまいますが、まあ見ている方は主義や流派などどうでもよくて、面白ければそれで十分ですよね。
中身とは全然関係ありませんが、謎の邦題『雨のパスポート』つながりで。
「雨」も原題無関係によく使われますが、「哀愁」もかなりの人気ワードで、「哀愁の」も「の哀愁」もずらずらリストアップできそう。
同じく地名人気度でトップにランキングされそうな「パリ」と組み合わせると、「パリの哀愁」も「哀愁のパリ」もすでに存在し、しかもどちらがどちらだか区別がつかなかったりします。
『哀愁のマンハッタン』はなさそうなので、パリの勝ち?
赤松幸吉さん、コメントありがとうございます。
ほりやんさんのコメント承認が1週間遅れて焦っていましたが、その前の10年近く前にいただいたコメントにも返信怠っていたようで、大変申し訳ありません!
しかも「キャプテン」の名付け親とのことで、産んでくださってありがとうございます(錯乱状態)
『太陽がいっぱい』の名付け親は本当にどなたなのでしょうね。
昔横浜ベイスターズが大洋ホエールズだった頃、「大洋が一敗」というダジャレネタがよく見られたような……
そうそう『ショック療法』ですね。
当時映画雑誌で、ドロンのそのシーンばかりとりあげて他に売りがないのかと思ったりしましたが、内容考えると仕方ないところでしょうか。
海辺でドロンとなると、やはりダーバンのCMが印象に残ります。アパレルの宣伝なので服着ていましたが(当たり前)
あのCMのナレーション、とても良い声でしたがどなただったのでしょうね。
当時低めの良い声の同級生に「だーばんせれれご~~んす」と再生してもらって喜んでいました。
「マンハッタンの哀愁」は、「あの愛~」がなかなかDVDにならないので、ジラルドの顔を見たくなるたびに観てました。この気持ち、よくわカルネ?
VHSのダビングで「決死圏SOS宇宙船」も復活! SF好きのキャプテンもお気に入りの作品ではないですか? ロイ・シネスといえば露口茂で、含みのあるいい声です。なんとブルーレイが出ているのですね。かなりの高画質だそうです。
「太陽がいっぱい」の名付け親について、元洋楽ディレクターの田中敏明さんが、
「余談ですが、以前たまたま入った青山の某レストランの品のいい老紳士のマスターが昔映画会社にいた方で、アラン・ドロンの初期の作品『太陽がいっぱい』(“Plein Soleil ”)(1960年)の邦題をつけられた方でした。もっと色々お話をお聞きしておくべきでした。」と語っておられます。
https://www.rittor-music.co.jp/s/gmlb/houdai.html
Wikiによれば、「太陽がいっぱい」は「新外映配給株式会社」の配給となっていますが、この会社は1963年に倒産しているとのことですので、田中敏明さんのお話と合わせると、新外映におられた方が名付け親ということになりますね。
あのCMのナレーションは、城達也ですね。
ほりやんさん、そろそろ前頭葉の制御がきかなくなってきた頃とお見受け致します。このまま自分の信じる道を突き進んでください 😀
ダビング作業もお疲れ様です。
『決死圏SOS宇宙船』も復活ですか。
これエントリー書いたつもりでしたが、自分のサイトを検索したところ(海馬の残量ほぼゼロ……)、『ゼロの決死圏』や『ミクロの決死圏』で邦題が「決死圏」の映画をリストアップしただけですね。
ロケ地チェック的にはあまり見所はなさそうですが……でも精密な模型や出てくるクルマなど、今見てもワクワクしますよね。
実写版サンダーバードよりサンダーバードの雰囲気が漂っているのもポイント高いです。
邦題的には原題を遠く離れて意味不明の単語の羅列。
でも「決死圏」を入れるとそれだけでキャッチーになるのも確かでしょうか。
ラストを見る限り『決死圏の哀愁』でも良かったかも 😆
ダーバンCM情報もありがとうございます。
あのナレーションはなるほど城達也さんですね。
Youなんとかでちょっと検索してみましたが、自分が気に入っていたのがうまく見つけられませんでした。
たしか海辺で子供たちとサッカーする……あれ、ワンちゃんとだっけ??……
(海馬残量ゼロのSOS決死圏)
ほりやん様
『太陽がいっぱい』(“Plein Soleil ”)の邦題の名付け親は大変気になるところで、長年調べてきましたが、分かりませんでした。
実にしゃれた邦題で、これ以降「~がいっぱい」というタイトルの映画が「いっぱい」生まれました。
これ(ほりやん様の記事)で、「新外映配給株式会社」の社員か関係者だということを知り、安胸のつかえが下りました。
『太陽がいっぱい』で忘れられない「惹句(じやっく)」があります。
殺人直後に、上半身裸のアラン・ドロンが濡れた髪の毛を垂らし、ヨットの上で舵輪を握っている(ポスターなどに使用されている、例の一番有名な)画像の横に
「彼は、まだ衝撃のラスト・シーンを知らない!」とありました。
この「惹句」を見たのはネット(この映画の公開後何十年たってからのこと)でとても感動し、一体誰がこんな凄い文言を考えたのか、もっと調べてみようと思っているうちに、この記事は消えてしまいました。
「洋画博士」・ほりやん様をはじめ、ファンの方で、この「惹句」をどこかで見たり、ご存じの方があれば、是非教えてください。
赤松幸吉様
個人名を突きとめられなかったのですが、お役に立ててよかったです。
残念ながら「太陽がいっぱい」は過去に3、4回見た程度ですので、「洋画博士」などとんでもないです。下駄を履かせてもらっても、「キャプテンの弟子」ですかね。