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『豚小屋』 Porcile (1969)

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作品メモ

ひとつ前のエントリー『奇跡の丘』同様、シチリア島のエトナ火山で撮影されたパゾリーニ監督作品。
中世のパートと現代のパートが交互に進行するという独特の構成を持ち、その中で資本主義、性、暴力、階級、カニバリズムといったモチーフがこってりと描かれます。
特に現代のパートは、構図や演出など個性が際立ってきていて、テーマとともに『ソドムの市』まであとわずかのところまで来ているような印象がありました。

かんじんの「豚小屋」で描かれる主人公の行為は、直接的な描写こそありませんが相当えげつなくヤバいもので、それは『ブラック・ミラー』の第1話で脅迫された英国首相が行為を強いられたことからも想像がつきますが……
でも見ようによっては、『ゴールデン・カムイ』に出てくる姉畑支遁のウコチャヌプコロみたいなもの?  とか思ったら、なんだか突き抜けすぎて笑えるところもあったりして……(笑えない)
というわけで、好天に恵まれたゴールデンウィークを、『ゴールデン・カムイ』の全話無料公開版を読むのに費やしてしまった私が通ります。

キャスト&スタッフ

中世のパートの主役、荒野をさすらう若者にピエール・クレマンティ。
現代のパートの主役、大実業家の息子ジュリアンにジャン=ピエール・レオ。
整った顔立ちの俳優さんがこうした役を演じることで、映画の切れ味がぐっと増したように思います。

出演は他に、ジュリアンの婚約者イーダにアンヌ・ヴィアゼムスキー。パゾリーニでは『テオレマ』に続いての出演。この映画の当時はゴダールと結婚していたはずですが、ゴダールの前の奥様はアンナ・カリーナですから、好みがわかりやすいかも、って大きなお世話ですね 😊

またジュリアンの母親のクロツ夫人に、その後『サン★ロレンツォの夜』『カオス・シチリア物語』といったタヴィアーノ兄弟監督作の常連さんとなるマルガリータ・ロサーノ。

常連さんといえば、中世のパートでパゾリーニ作品の常連さんが登場しています。
面長の特徴的なお顔なのでわかりやすいですが、なかなか名前が覚えられません。ニネット・ダヴォリ(Ninetto Davoli)でした(IMDb)。
フィルモグラフィー見たら『奇跡の丘』にも出ていたようで、これは気づかなかったかも。
1948年生まれとのことで、『奇跡の丘』当時で10代なかば。う~む……

監督脚本ピエル・パオロ・パゾリーニ、撮影トニーノ・デリ・コリ、アルマンド・ナンヌッツィ、音楽ベネデット・ギリア。

ロケ地

IMDbでは、

Mount Etna, Catania, Sicily, Italy
Castello Degli Schiavi, Fiumefreddo di Sicilia, Catania, Sicily, Italy
Aci Castello, Catania, Sicily, Italy
Verona, Veneto, Italy
Villa Pisani, Stra, Venice, Veneto, Italy

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

荒野

中世パートの荒野は、シチリア島のエトナ火山。

Mount Etna, Catania, Sicily, Italy

場所の特定は難しいですが、火口周辺をかなり広範囲に使って撮影していると思われます。

屋敷

現代パート、クロツ家の広大な屋敷。

Villa Pisani(ピサニ邸)W, Stra, Venice, Veneto, Italy

外観・庭園
内部

0:15
夫婦の寝室

1:00
接客する部屋。

中庭

1:13
イーダが出ていく場面。

鐘楼のある館

0:50
中世パート。

Castello Degli Schiavi, Fiumefreddo di Sicilia, Catania, Sicily, Italy

古城

1:18
中世パート、捕まった若者が連れてこられたところ。

Aci Castello(アーチ・カステッロ)W, Catania, Sicily, Italy

ロケ地マップ

資料

更新履歴

  • 2022/05/07 新規アップ

コメント

  1. Bill McCreary より:

    >ゴダールの前の奥様はアンナ・カリーナですから、好みがわかりやすいかも

    私もこの件を痛感しておりまして、過去に記事を書いたことがあります。

    https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/8219cb98064bc76e0fa5f423415d08be

    結婚はしていませんが、80年代のゴダールのミューズであるミリアム・ルーセルも、実にこの2人と顔の系統が近いですね。それにしてもヴィアゼムスキーとレオって、やっぱりゴダールを意識しているんでしょうね。

    それで、この映画がシチリアでロケしているとは知りませんでした。前記事の『奇跡の丘』もそうで、なんとなくパゾリーニってイタリアはイタリアでも北イタリアのイメージがあったのですが、まあ南イタリアを舞台の映画というわけでもありませんしね。事実パゾリーニは、フリウリ語で詩作もしているくらいですし。

    なお私は、映画はどのような映画でも観る人間ですが、『ソドムの市』は現段階未見ですし、今後もこの作品はご免こうむりたいと考えています(苦笑)。

  2. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
    ですよね~ 痛感しますよね  バレバレですよね。
    ブログ記事拝見しました。こう並べるとわかりやすくて良いですね。しかも最後に落ち着くのは、ちょっと別のタイプ、というのがまた人生の機微とかだったりして 🙂

    『ソドムの市』は無理なさる必要ないですよ。私も昔エントリーを書いて以来、見返したことはないです。
    さきほど『カンタベリー物語』のエントリー書いてましたが、3本続けてさすがにお腹いっぱいになったので、もう寝ます。

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