追悼モニカ・ヴィッティ
目次
作品メモ
昨年来シチリアで撮影された映画を続けていますが、今度は『情事』(60)。
ひとつ前のエントリー『シチリア!シチリア!』で取り上げたバゲリーアの物件が、こちらでも登場しています。
特に意味はなくずっと下書きのまま残していましたが、本日(22/2/3)モニカ・ヴィッティの訃報に接し、急遽仕上げてアップ。
ミケランジェロ・アントニオーニ監督によるいわゆる«愛の不毛»三部作の一作目となります。
続く『夜』 La notte (61)とエントリー済みの『太陽はひとりぼっち』L’eclisse (62) で三部作。
そのすべてにモニカ・ヴィッティはヒロインとして登場。
3本とも監督特有のモヤモヤっとしたノリの映画でお話こそスッキリしませんが、映像や雰囲気は実に独特な魅力をたたえていて、それもこれも彼女の存在があったればこそ……とそんな気がします。
享年90。
出演は他に、行方不明となる友人アンナにレア・マッサリ、その恋人サンドロにガブリエル・フェルゼッティ。
監督原案脚本ミケランジェロ・アントニオーニ、撮影アルド・スカヴァルダ、音楽ジョヴァンニ・フスコ。
「情事」な映画
『昼下りの情事』のように「情事」と名がつく映画は数あれど、シンプルに『情事』となると、とりあえず思い浮かぶのが韓国映画の『情事』정사(98)。
その昔イ・ミスクの名前に惹かれて(汗)ついつい韓国盤ソフトで見たものの、良く言えばムードたっぷり、悪く言えば雰囲気優先の映画で、いくらなんでも日本公開はないだろう、と思っていたら、数年後2000年代初頭の韓流の大波に乗ってよもやよもやの劇場公開となりました。
これはもうお相手の若い男役を演じたイ・ジョンジェ氏のおかげ。
当時の韓国映画ブームは男優さんの人気先行型で、とにかく出演作が次々発掘されては劇場公開やらソフト化がされていたような状態でした。
イ・ジョンジェ氏といえば『イカ・ゲーム』のダメ男役にはびっくりで、最初は誰だかわからなかったほど。
作品自体もひたすら面白く見ることができましたし、彼の国の映像コンテンツづくりにかける熱量や集中力を感じることができました。この20年間、いっときのブームに終わらせず、ぐっと底上げがなされたことがよくわかります。
『イカ・ゲーム』の次は『今、私たちの学校は…』にハマり、現在2巡目を楽しんでいるところです 😅
ロケ地
IMDbでは、
例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
タイムスタンプは手持ちのVHS(日本公開版=短縮版)のもの。Blu-ray盤とは異なると思います。
OP
彼方に聖堂の天蓋が見える郊外の開発中の宅地。
天蓋は、サン・ピエトロ大聖堂ですね。
St. Peter’s Basilica, Vatican City (Basilica di San Pietro in Vaticano – opening sequence)
通りは、大聖堂の南西側のこちら↓
Via Nicolò Piccolomini
- Google Maps(SV)
- 41.8907897,12.4418702
あたりはいかにも高級そうな物件が並びます。
「まわりは静かな森だったのにな」というアンナのパパは外交官で、さすがリッチなエリアに昔から居を構えている模様。
こういういわばハイソでセレブな世界を覗かせてくれるあたりが、40~50年代のネオレアリズモ映画とはくっきり違いが出ていますね 😇
詳しくチェックしますと、娘に背を向けて話しているショットで、父親の後頭部の背景に写っているのがこちら↓
娘の方を向いた時のショットの背景↓
したがって、親娘がいたのは、現在横断歩道が確認できるあたりと思われます。
- Bing Maps(概観図)
- 41.891020,12.442250
父親が入っていったのは、VIA DI VILLA BETANIA沿いの門で、現在は塀の形が違っていますが、門扉は同じものを確認できます。
アンナとクラウディアを乗せた車は、そのまま右カーブの道を南下していきます。
到着した広場
0:04
アンナの彼氏サンドロの家があるという設定。
IMDbのリストではこちら↓に相当
Tiber Island, Rome, Lazio, Italy (Isola Tiberina)
Piazza S. Bartolomeo All’IsolaW
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図)
- 41.890484,12.477887
車を止めたのはこのあたり↓ 彼氏の部屋はその上。
部屋から見える橋は、IDMbのリストにあるこちら↓
Ponte Fabricio(ファブリキウス橋)W, Rome, Lazio, Italy
広場や橋は、これまでのエントリーでは『オンリー・ユー』で登場していました。
行く手の島
0:10
船からの眺め。
行く手に立ちふさがるような岩山の島。
その近くでアンナとサンドロは海に飛び込みます。
形状や岩肌の感じから、IMDbのリストのこちら↓でしょうか?
Basiluzzo IslandW, Aeolian Islands, Messina, Sicily, Italy
- Google Maps
- Google Maps(SV) ……次項目の島からの眺め
- 38.66384,15.11309
この島や次項目の島はシチリア島の北側のエオリア諸島。
上陸した島
0:16
アンナが行方不明となるところ。
Lisca Bianca Island, Aeolian Islands, Messina, Sicily, Italy (island Anna disappears from)
- Google Maps
- 38.6394105,15.1140733
岩だらけの小さい島ですね。
愛が不毛だと島も不毛。
前項目の島は北側2.5kmほどのところ。
映画にも写っていますが、こんな風↓に横から間近に見えます。
「見つからない?」と訊かれて首を振るサンドロのバストショットの背景↓
雨に濡れながら立ちすくむクラウディアの後ろ姿も同じ位置。
雨宿りした小屋がここにあるのかは不明。
警察署
0:44 (1:00)
『シチリア!シチリア!』で登場したバゲリーアのこちら↓
『情事』では内部も登場しています。
- Google Maps(SV)
- 38.079133,13.512088
これを建てた人です
同業者だな
階段の場面は、こちら↓
乗った駅
0:50
クラウディアの乗る列車にサンドロが飛び乗ります。スタント無しで、なかなかのアクション♪
駅は行く手の山の形や駅舎からバゲリーアとわかります。列車が向かうのは西のパレルモ方面。
- Google Maps(SV) ……行く手
- Google Maps(SV)
- 38.089846,13.507639
サンドロが降りた駅
0:55
Altavilla Milicia
- Google Maps(SV)
- 38.048191,13.554315
前のシーンでは「次の駅で降りて」と言っていますが、バゲリーア駅から3つ駅を後戻りして、かつバゲリーアに向かっています。
大通り
0:55
人々が押しかけて大騒ぎとなったところ。
これはメッシーナですね。
具体的には、サン・マルティーノ通り(Viale S.Martino)。
ズリア記者と外に出てきたのはこちら↓の建物。
- Google Maps(SV)
- 38.179768,15.550479
バスを避けながら、こちら↓の横断歩道で向かい側へ進んでいきます。
最後に、こちらのヨーロッパ通り(Viala Europa)↓を海に向かって歩いていきます。
記者からトロイナ(Troina)の薬局での目撃情報を得ます。
騒ぎの大元は、自称作家のグロリア・パーキンスなる女性。
「死んだ作家と交信しながら書くの、ヘミングウェイとか」
てなことをのたまっています。
騒ぎは彼女を売り出そうとする仕掛け人によるもの。
なんでも宣伝ありきですね~。
平成バブルの頃、ちょっと強引な売り出し方をされてしまった作家を思い出してしまいました。
あの方は自分で自分の小説を映画化までしてたんですよね……
バルコニーのある家
パレルモにあるコラードの館(モンタルド邸)。 VHS版ではカットされています。
Villa NiscemiW, Piazza Niscemi, Viale del Fante, Palermo, Sicily, Italy (Villa Montaldo)
- Google Maps
- Google Maps(SV)
- 38.164654,13.334392
薬局
1:00 (1:27)
海岸が見える高台の薬局。
広場からノート(ノト)行きのバスに乗ったという情報をゲット。
ノートまでのドライブ
途中下車で抱擁。ここも不毛地帯。
ノート
シチリア島の南東、シラクーザの近く。
ここは『マレーナ』でも登場していました。
到着
車を停めたのはこちらの角。
- Google Maps(SV)
- 36.890438,15.072305
サンドロがひとりで入っていった扉はこちら↓
じろじろ見られながら待っていたのは、こちら↓の教会の前
Church of San Francesca(Chiesa di San Salvatore noto), Piazza Immacolata, Noto, Syracuse, Sicily, Italy
鐘楼
IMDbではこう↓ありますが、
Chiesa del Collegio, Noto, Syracuse, Sicily, Italy (where Claudia rings the bells)
マップではこの位置かと思います。
Chiesa di San Carlo
- Google Maps(SV)
- 36.891199,15.069515
クラウディアが寄りかかったところ↓
部屋
その後2人で過ごした部屋。
窓から教会の階段が見えます。
博物館
1:18
誰も居なくてご機嫌ななめとなる博物館。
- Google Maps(SV)
- Google Maps(SV)
- 36.890985,15.071732
IMDbのリストではこちら↓に相当するはずですが……
Museo Civico, Convent of Santissimo Salvatore, Duomo, Noto, Syracuse, Sicily, Italy
https://www.museociviconoto.it/
崖沿いの道
1:23
ホテル
1:23
▼23/12/25 追記
コメント欄(2023年11月20日 21:44)でほりやんさんから情報を寄せていただきました。
IMDbのリストにあるこちら↓
San Domenico Palace, Taormina, Messina, Sicily, Italy
1:39頃、サンドロが出てくるホテルの門もSVで確認できます。
- Google Maps(SV)
- 37.85028743282568,15.283462929938036
ラストは、ホテル西側の駐車場のあたり。
ベンチは見つかりませんでしたが、SVでアングルを再現できました。
- Google Maps(SV)
- 37.85013563612418,15.28298252178349
というわけでどちらもお見事大正解でした 😀
ロケ地マップ
資料
更新履歴
- 2023/12/25 「ホテル」追記
- 2022/02/03 新規アップ
コメント
ザ・シネマ録画分でチェック。
(博物館)
記載されているマップが博物館の場所ですね。IMDbにある「Museo Civico」は映画には出てこないので間違っていると思います。
(ホテル)
ホテルの門から出て行ったクラウディアを追いかけたサンドロがアップになったとき、「SAN DOMENICO PALACE」の表示が見えるので、これをGoogleで検索するとホテルのサイトへ行きますが、SVで見るときは「San Domenico Palace, Taormina」と入れれば映画と同じSVが見れます。IMDbに「San Domenico Hotel」が載っていたのをあとで気づきました。
ちなみに「浮気がバレたときは、言い訳するより泣いた方がええ 💡 」というラストシーンは、門を出て少し西へ行き、南に折れたところにある駐車場で撮影されたと思われます。
ほりやんさん、コメントありがとうございます。
返信遅れまして申し訳ありません。
焼いたディスクをあれこれ探してしまいましたが、自分の記事を読んでみたらVHSを動画にしたものを持っているはずだということに気づき、無事ハードディスクのフォルダ「し」の中で「上海の伯爵夫人」と「情熱のピアニズム」の間で発見できました。
> IMDbにある「Museo Civico」は映画には出てこないので間違っていると思います。
ですよねー。
拙サイトはマップ実証主義なので、「Museo Civico」の方はここでは無関係として、マップの位置でファイナルアンサーとさせていただきます。
ホテルに関してもお書きになった通りですね。
たぶん記事書いた時にうまくSVが見つからず、マップで実証できないので探索を中断していたのかと思います。
> クラウディアを追いかけたサンドロがアップになったとき、「SAN DOMENICO PALACE」の表示が見える
気づきませんでしたが、VHSでもかろうじて読めました
日本の2時間サスペンスですと宿に到着した時に看板がこれみよがしに映りますが、こちらもタイアップなんでしょうね 🙂
このあとふたりは断崖か吊り橋の上で言い争って、どちらか(のマネキン)がひゅーっと落ちていくのだと思います。