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『ベニスに死す』 Morte a Venezia (1971)

ベニスに死す [DVD]

作品メモ

『リトル・ロマンス』に続けてヴェネツィアが舞台の映画をもう少し。
この街は小さいですし、まとめてチェックすると見覚えのある場所がどんどん増えてきて効率が良いので、何本か続けてみようかと思っています。
夏休みでヴェネツィア訪問を計画されている方が、「あ~なんてったっけ、オードリーじゃない方のヘプバーンが出ていた『哀愁』とか『慕情』とか『旅愁』とか、そんなタイトルの映画、どのへんで撮影したんかね~」とか、「ほらあの、フェリーニだか誰だか有名な監督が撮った、囚人服みたいな水着着てる美少年が出てきて、なぎら健壱みたいなオヤジがストーカーになって追いかけて、最後夕陽の中一緒にゴンドラに乗って橋の下くぐる夢見ながら死んじゃうやつ、あの橋ってどこにあんのかね~」等々疑問を抱かれたとき、これらのエントリーが少しでもお役に立てば幸いです。

まずはタイトルがラストネタばれになっているこの映画。
最近は「ヴェネツィア」と書くようになったようなこの街ですが、これに関してはやっぱり「ベニスに死す」でないとなぜか雰囲気が出ません。
ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫) 翻訳本も光文社版だけ「ヴェネツィアに死す」となっていますが、なんだか違和感があったりします。

ベニスに死す (角川文庫) ベニスに死す (集英社文庫) 翻訳本といえば、むか~しから文庫本の表紙にはこの映画のビジュアルがよく使われていて、まるで映画のノベライズ本的雰囲気を漂わせていました。
トーマス・マンの心境もさぞ複雑かと。

主人公の作曲家(原作では作家)グスタフ・アッシェンバッハにダーク・ボガード。
美少年タジオにこの映画のために生まれてきたようなビヨルン・アンデルセン。

監督ルキノ・ヴィスコンティ、撮影パスカリーノ・デ・サンティス、音楽グスタフ・マーラー(3番と5番)、衣装ピエロ・トージ。

ロケ地

IMDbでは、

Banca Commerciale Italiana, St. Mark’s Square, Venice, Veneto, Italy (bank)
Bolzano, Trentino-Alto Adige, Italy (flashbacks)
Grand Hotel des Bains, Lungomare Marconi 41, Lido, Venice, Veneto, Italy (hotel)
Lido, Venice, Veneto, Italy
St. Mark’s Square, Venice, Veneto, Italy Campiello dei Calegheri, Venice, Veneto, Italy (campo)
Cinecittà Studios, Cinecittà, Rome, Lazio, Italy (studio)
Dolomites, Italy (flashbacks)
Dolomites, Trentino – Alto Adige, Italy (flashbacks)
Teatro La Fenice, Venice, Veneto, Italy (alleyways behind the Phoenix Theatre Opera House)
Veneto, Italy
Venice, Veneto, Italy

舞台はタイトル通りヴェネツィア。主人公が滞在するのはリド島W
例によって特に資料は用意せず、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

OP船からのカメラ目線

上陸

リド島のこちら。

ホテルと浜辺

到着したときはっきりホテル名が見えます。

DES BAINSW

内部はセットかもしれませんが、外観はいろいろ使っているようです。
到着したときに部屋からの眺めで、浜辺の小屋に書かれたホテル名を再度念入りに写したりしています。
2時間サスペンスの旅館やホテルどころではない、全面タイアップですね。

milouさんから以前提供しいていただいた画像です。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は1986年とのことですが、ホテル名が微妙に変わっていますね。

こちらもmilouさんから画像を提供していただきました。
ホテル前に長~く伸びる浜辺はこういった雰囲気となっています。
良さげですね~ 😀

ダーク・ボガードになりきってみるのも良いかも……

実際の浜辺の撮影は、おそらくホテル前よりはずっと南寄りと思われます。
と言いますのは、たとえば1:04頃、子供たちが戯れている場面で背景に堤防が写っていますが、それは島の南端と言いますか中間のこちら。

長さ1km以上の堤防がフレームに収まりきらないほどの大きさで写っていますが、ホテルからは10km近くあり、その距離から普通に振り回せるレンズで(手前に被写体を入れながら)撮れる絵ではありません。
まったくの推測ですが、浜辺の撮影は堤防北側の、ちょっと広がったこのあたりかもしれません。

大ざっぱな机上の計算ですが、写真で言うとライカ判で50~70mmぐらいのレンズでこの場所から撮ると同じような絵になりそうです。
もしそうだとすると、ホテルの部屋から浜辺を見下ろすショットは、その部分だけセットを組んだことになります。

中頃、いったんはベニスを去ろうとした芸術家。
旅立たなくて済む理由ができてご満悦の表情がやーらしくて最高。
その直前ホテルで彼とすれ違った時の表情も絶妙でしたね。

設定ではヴェネツィアの駅、つまりヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅Wなのかもしれませんが、映像からは別の場所のような気もします。
調査中。

回想シーン

これは確かめようがありませんが、IMDbのリストではこういったところ。

Bolzano, Trentino-Alto Adige, Italy (flashbacks)
Dolomites, Italy (flashbacks)
Dolomites, Trentino – Alto Adige, Italy (flashbacks)

教会からの尾行

後半最初の尾行は教会からスタート。

教会前

※2014/08/12追加

タジオ家族が向こうに歩いて行き、白い服の夫人が手前にやってくるショットは、背景がサン・マルコ広場の時計塔のあたりですね。

暗がりと橋

※2014/08/12追加
上記ショットの後、橋を渡ろうとする一家を暗がりから見つめるアッシェンバッハ。

ここは『赤い影』で霊媒師姉妹が泊まっていたホテルの前から運河に抜ける通路です。

その後橋の上でいったん立ち止まった少年が再び歩み去るショットで、背後に”MALVASI**”と標識が見えますが、実際に”PONTE DE LA MALVASIA VECCHIA”という標識がかかっています。

運河沿いの通路

※2014/08/12追加
上記の橋の後、一家が運河沿いの回廊のような通路を進み橋を渡っていくのは、同じ運河、南側のこちら。

映画では橋の手すりが鉄製なのに、SVではそれが見えません。
場所を間違えたかと思ってしまいましたが、よく見るとSVでは(なぜか)板で手すりを覆っていて、ところどころ映画と同じ模様が見えています。

その後立ち止まり運河を眺めていた少年が、ちらりと右を向きアッシェンバッハをドギマギさせるのはその先のこちら。カメラ西向き。

白い橋

1:20
一家が渡っていた白い橋はこちら。

絶讃ストーキング中のアッシェンバッハが居たのは、西側のこちらの橋の上。

白い橋はWikimapiaでは”Ponte de la Fenice”、Wikimedia Commonsでは”Ponte Maria Callas”という凄い名前になっています。

Feniceはフェニーチェ劇場Wに隣接しているからでしょうか。
なのでおそらくIMDbのリストの

Teatro La Fenice, Venice, Veneto, Italy (alleyways behind the Phoenix Theatre Opera House)

はこの場所のことだと思われます。

消毒していた広場

上記アッシェンバッハが居た橋のすぐ北側。

銀行

サン・マルコ広場のこのあたりに入っているようですが、今でも銀行があるのかどうかは不明。

Banca Commerciale Italiana, St. Mark’s Square, Venice, Veneto, Italy (bank)

火がたかれていた広場

1:42。
身なりを整えた後、煙の向こうに歩いて行くダジオ一家を追うところ。

寄りかかった井戸

1:48。
調査中。

この場面に限らずあちこちで井戸が見られそれぞれ個性的な形をしているのがとても面白いです。
特徴的なものはメモを取ったりしていますが、ヴェネツィアの建物と運河と橋と井戸を整理したデータベース、どこかにありませんかね~

ロケ地マップ

これまで取り扱った映画で、ヴェネツィアを舞台にしたものをまとめてみました。


より大きな地図で ヴェネツィアが舞台の映画 を表示

資料

更新履歴

  • 2017/11/04 画像のリンクをPicasaからGoogleアルバムアーカイブへ変更
  • 2014/09/02 「運河沿いの通路」画像例リンク修正
  • 2014/08/12 「教会前」「暗がりと橋」「運河沿いの通路」追加
  • 2014/08/08 新規アップ

コメント

  1. Bill McCreary より:

    こんにちは。昨年暮れと今年初めに「めまい」と「緑の光線」でコメントさせていただきました。

    別にロケ地の情報提供ではないのでちょっと心苦しいのですが、ビョルン・アンドレセンがこの映画のロケで使われたホテルを再訪するというドキュメンタリー映画がスウェーデンで制作されています。既にご存知でしょうが、念のためということで。

    http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/46ebebbd08cc8a4c986c5764acfd1fd8

    http://nordicdrama.com/the-hotel-hotellet/

    http://www.imdb.com/title/tt3720644/?ref_=nm_flmg_slf_1

    予告編の動画には、残念ながらビョルンの姿は写っていません。またビョルンの容姿の変化には正直絶句しました。

    御多忙でしょうが、新しいエントリ期待しています!!!

  2. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、お久しぶりです。コメントありがとうございました。
    おそらくリンクがいくつか含まれていたため、自動判定でコメントがスパム扱いされてしまい、丸一日近く表示されていませんでした。大変失礼致しました。

    ドキュメンタリー映画のご紹介ありがとうございます。全然知らない作品でした。
    ブログ記事拝見しましたが、いや~、ビョルン・アンドレセンの近影はこういった感じでしたか。
    どうしてもこの映画と結びつけられてしまうある意味しんどい半生であったかと思いますが、とにもかくにも元気そうで何よりでした。
    この映画、予告編に当サイトでとりあげたホテルも写っているので、ぜひ全編見てみたいですね。

    サイトの方は新しいエントリー作りにそろそろ復帰しようと思っていますので、またぜひお立ち寄りください。ありがとうございました。

  3. 居ながらシネマ より:

    『Hotellet』は見る機会に恵まれませんでしたが、この週末に公開された『世界で一番美しい少年』では、彼をめぐる事柄がたっぷり描かれているようですね。
    Bill McCrearyさんのブログ記事で最後の方にコメントされているドキュメンタリー映画がこれでしょうか?

    紹介文や予告編で『ミッドサマー』に出演したことに触れられていますが、実は全然気づいていなくてあわてて見返して出演場面を確認してしまいました。髪をひっつめた灰色ガンダルフみたいな感じでしたね。
    『ミッドサマー』はそのうちエントリー書こうかと思っています。たぶん『ウィッカーマン』あたりと並べそうな予感……

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