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『夏に抱かれて』 De guerre lasse (1987)

映画パンフレット 「夏に抱かれて」 監督 ロベール・アンリコ 出演 ナタリー・バイ/クリストフ・マラヴォワ/ピエール・アルディティ/ジュヌヴィエーブ・ムニク/フィリップ・クレヴノ/ジャン・ブィーズ/モーリス・シュヴィ

作品メモ

ひとつ前のエントリー『追想』(1975)と同じくロベール・アンリコ監督作。
やはり占領時代の物語で舞台も南仏です。
年代設定はやや異なり、『追想』が1944年ノルマンディー上陸作戦の頃であったのに対し、『夏に抱かれて』は2年前の42年6月、ドイツの支配力がさらに強まろうかという時期。
内容も、ひとりの男の復讐劇であった『追想』に対し、ヒロインと男性2人の三角関係という具合に趣きがぐっとメロに傾いています。

ヒロイン、アリスにナタリー・バイ。
そのパートナー、ジェローム・ドブレにピエール・アルディティ。2人はレジスタンスの同志でもあるという設定。
ジェロームの幼なじみシャルル・サンブラにクリストフ・マラヴォワ。製靴工場を経営していて羽振りは良い様子ですが、基本ノンポリ。

物語はジェロームがアリスをともなってシャルルのもとを訪れるところから始まります。
シャルルの住む街はヴィシー政権下の自由地域(Zone libre)で、ドイツ占領地域との境界線のすぐ間近。
ジェロームたちは、シャルルの家をユダヤ人家族を国外脱出させる際の隠れ蓑にしようとしたのでした。

基本女性に弱い(そのくせ妻には逃げられている)シャルルは、アリスの魅力にぞっこん。
それもジェロームの狙いだったのかもしれません。
やがて2人の真意を知ることになりますが、それでもシャルルは積極的に2人……といいますかアリスを助けようとします。
そんな彼にアリスも惹かれるものを感じ……
一方ヴィシー政権は、労働力の提供やユダヤ人狩りなど対独協力の姿勢をいっそう強め、シャルルの工場も……
……といった展開。

夏に抱かれて (新潮文庫)

原作はフランソワーズ・サガンの同題小説(1985)。
サガンにしては珍しい時代設定で、戦争や抵抗運動という歴史的社会的な出来事を男女の事柄に生々しく織り込んでいます。
原題«De guerre lasse»は、『「戦いに疲れて」、また広義では「仕方なく」という意味がこめられている』(朝吹由紀子さんの「訳者あとがき」より)とのこと。

ラストネタばれにつき折りたたんでいます。クリックで開閉します。
この«De guerre lasse»は、ラスト、館にひとり残されたシャルルの姿に重なって、テロップで現れます。

De guerre lasse, sans nouvelles d’Alice, Charles sambrat s’engagea dans la Résistance
(そのままアリスは姿を消し、シャルルも抵抗運動に身を投じた)

ラストの急な展開にとまどう観客もいるかもしれませんが、これは原作も同じ。

手持ちは中古のVHS。
おそらくDVD化はされていないかと思いますが、一度良い画質と音質で見てみたい気がします。

監督ロベール・アンリコ、撮影フランソワ・カトンネ、音楽フィリップ・サルド。

ロケ地

IMDbでは、

Romans-sur-Isère, Drôme, France (Charles’ house and town)
Paris, France (location)

例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

検問所のある橋

冒頭『追想』のように自転車でやってきたふたりが渡る境界線の橋。
両端の検問所でチェックを受けることで、ドイツ軍占領地域からヴィシー政権の自由地区へ入ったことが示されます。

IMDbのリストにあるロマン=シュル=イゼール(Romans-sur-Isère)Wからイゼール川を遡ってみたところ、映画と同じ形の橋を見つけました。

設定としては南の方へ行くのが自然かと思いますが、実際には2人は北向きに渡っています。

ロマン=シュル=イゼールはリヨンの南100kmぐらいでしょうか。

こちらは、実際の境界線を示す地図。
Wikipediaの項目“German military administration in occupied France during World War II”Wなどにアップされているものですが、これはわかりやすいですね。

上から
1940年6月~1942年11月(パリ陥落~)
1942年11月~1943年9月(全土占領~)
1943年10月~1944年夏(イタリア降伏~)

シャルルの住まい

0:09
見晴らしの良い高台にあるようです。
場所は調査中。

検問所でのセリフから、設定では「ドローム県フォルモア」

劇場(回想)

“ウサギ・モダン”

0:36
車で通過するところ。
看板が«le lapin MODERNE»と中途ハンパな状態。
場所は調査中。

名前のくだりが字幕では意味がよくわからなかったのですが、原作読んでやっとわかりました。
元々は«HOTEL MODERNE»だったのを、パリの有名店に倣って«lapin agile»に変えたかったという設定。
途中で言い出しっぺの奥さんが亡くなり、書き替えの途中で放って置いたということですね。

参考までに、ホンモノのLapin AgileWは、マップではこちら↓

靴工場

0:39
«CHAUSSURES SAMBRAT FORMOY» (サンブラ製靴工場)

撮影場所は調査中。
Wikipediaを見ると、実際にこの地は製靴産業が盛んだったようですね。

ジャンヌ・ダルクの像とホテル

1:10
パリにやってきたアリスとシャルルが輪タクで乗り付けたのは、ジャンヌ・ダルク像があるこちらの広場。

Place des PyramidesW

こちらはmilouさんから提供していただいた画像で、以前『個人教授』の記事でも使わせていただきました。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は2006年1月とのことです。

ホテルは広場に面したHôtel RéginaW

あの銅像は残ったよ
ジャンヌ・ダルクは英国人を追い出したから

噴水

1:13
罠だった店の前。
場所は調査中。

カフェ

場所は調査中。

神学校

1:17
神学校のある通りは、Camoens Ave。
通りの向こうにエッフェル塔が見えます。

1:42
設定はROMANS駅。
撮影もおそらくこちらと思われますが、確証はありません。

Gare de Romans – Bourg-de-PéageW

ロケ地マップ

南フランスが舞台の映画(※16/4/2追加)

 
 
 

資料

更新履歴

  • 2016/04/02 「ロケ地マップ」追加
  • 2015/02/22 新規アップ

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