『鶴は翔んでゆく』 Летят журавли (1957)

鶴は翔んでゆく【デジタル完全復元盤】 [DVD]

作品メモ

ソチオリンピックの開会式を録画して見てみましたが、ショーは予想通りロシアの歴史を紹介する趣向で、『戦争と平和』風大舞踏会などなかなか見応えありました。
続く20世紀のパートはいったいどう描くのかとちょっとドキドキしましたが、無難な内容にまとめていたように思います。もちろんレーニンやらスターリンやらは出てきませんし、大祖国戦争も場面転換のきっかけとしてわずかに触れられていただけでした。

ひとつ前のエントリー『アレクサンドル・ネフスキー』は、いわば大祖国戦争直前の象徴的な作品でしたが、この『鶴は翔んでゆく』はその戦争の時代を、恋人を戦場に送り出した女性を通して描いた映画。
ヒロインが銃後を毅然として守り抜く……といったものではなく、ひとりの女性の揺れ動く心や不安がたっぷり描かれます。
スターリンが生きていたら公開は難しかった内容かもしれません。

物語もさることながら、今見返すと映像表現の斬新さに驚かされます。
ソ連映画というよりは、50年代~60年代の西欧映画を見ているかのよう。
モスフィルム製作といっても、重厚な絵作りばかりではなかったという好例でしょうか。
体制を越えて高く評価され、第11回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲得。

ロシア語原題«Летят журавли»(リチャート・ジュラーヴリ)はそのまま邦題の意。
これだと«Летят»が「鶴」のように思えますが、«журавли»が鶴で、前半が動詞。ロシア語は格変化が面倒ですが、そのかわり語順がけっこう自由になったりします。
英題は”Cranes are Flying”。

公開時の邦題は『戦争と貞操』。
今の感覚からすると微妙なタイトルで、不謹慎ですが『性本能と原爆戦』(1962)あたりを連想したりします。
各映画サイトの解説では「その後『鶴は翔んでゆく』に変更」とありますが、個人的には以前のタイトルも記憶に残っています。「その後」って、いつ変わったのでしょうね?

キャスト&スタッフ

アンナ・カレーニナ (トールケース) [DVD] 健康美がまばゆいヒロイン、ヴェロニカにタチアナ・サモイロワ(Татьяна Самойлова)。後にソ連版『アンナ・カレーニナ』(1967)のヒロインとなっています。

その恋人ボリスにアレクセイ・バターロフ(Алексей Баталов)。
彼女に思いを寄せるマルクにアレクサンドル・シュヴォォーリン(Александр Шворин)。

監督ミハイル・カラトーゾフ(Михаил Калатозов)、脚本ウィクトル・ローゾフ(Виктор Розов)、撮影セルゲイ・ウルセフスキー(Сергей Урусевский)、音楽ミェチスワフ・ヴァインベルク(Mieczysław Weinberg、またはモイセイ・ヴァインベルク Моисей Вайнберг、クレジットではМ.ВАЙНБЕРГ)。

この監督最後の作品が『SOS北極… 赤いテント』(1969)というのが、ちょっと意外でした。

見るには

幸い今でもDVDが入手可能のようです。
とりあえずちょっと見てみたいという場合は、毎度書いていますが、モスフィルムとレンフィルムのYouTubeオフィシャルチャンネルで由緒正しく観賞することができます。
『鶴は翔んでゆく』はこちら。

その他有名どころのリストをこちらのエントリー内にまとめていますので、よろしかったらご活用ください。

→ 『戦争と平和』

ロケ地

IMDbには記載がありません。
画面とにらめっこでロケ地をチェック。その後pastvu.comのマップと照合して、そこに映画のスチルやキャプチャー画像がマークされていたら正解としました。

OP川縁

2人が駆けていく川縁の道。
手掛かり少なく特定は難しいですが、一例としてこういったところ。

ここだとするとカメラ東向きで、光は朝日。朝帰りなので当たり前?

橋の下

幾度か登場する橋の下。
モスクワ川に架かるクリムスキー橋(Крымский мост)W


大きな地図で見る

駆けていく通り

2人が駆けていく街角。
右側はクレムリンで、大きく見える塔はНикольская башня(Nikolskaya tower)Wという名前のようです。

タイトルバック

時計塔

クレムリン、スパスカヤ塔(Спасская башня)W

公園

高い柵

戦車隊

0:26頃。
戦車隊がうなりを上げて進む道路に飛び出すヒロイン。
かなりハラハラする場面です。
調査中。

出征

ヒロインが走ってきたのはこの通り。

鉄柵にしがみつきながら移動する時に背景に写る建物はこちら。

学校に集められているという設定ですが、実際にここは学校のようです。

バリケードのある広場

0:34頃。
ヒロインが電話ボックスから出てきたところ。
背景奥に特徴的な塔が写っていて場所がわかりました(塔はクレムリンのもの)。

川縁の道

1:12頃。
迷子を抱えて歩くところ。
背後に高架橋、さらに奥にアーチ状の橋が見えます。
モスクワ川の支流ヤウザ川(Яуза, Yauza)Wのこのあたり。

画像は↓

凱旋の駅

1:31頃。
列車で戻ってきた兵士たちを人々が歓迎するところ。

ベラルースキー駅(Белорусский вокзал)W

ロケ地マップ

※16/5/27追加

 
 

資料

更新履歴

  • 2016/05/27 「ロケ地マップ」追加

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*

日本語が含まれない投稿や、URLが多く含まれている投稿は、無効となる場合があります(スパム対策)