目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『タイム・トラベラ-ズ(原始怪人対未来怪人)』同様イブ・メルキオー(Ib Melchior)が脚本を書いたSF怪獣映画。
こちらは既に同じレーベルからDVDが出ていまして、タイトルは『原始獣レプティリカス 冷凍凶獣の惨殺』。
その前のVHS時代は単なる『原始獣レプティリカス』。
往年のテレビ放映時は『冷凍凶獣の惨殺』で、やはりこちらの方になじみがあります。
緑の液体を時折ぺちょぺちょ吐き出すほほえましい原始獣くんと、リアルな戦車、ぺこぺこの模型、そしてビックリするような大群衆パニックシーン。
そういったいろんなものがちぐはぐに組み合わさっていますが、欠点に見えないのが不思議。
いや、これが欠点に見えない自分自身が不思議なのかもしれませんが、下手なCG休むに似たり、個人的には全然OKな映画となっております。
製作・監督シドニー・W・ピンク。脚本イブ・メルキオール、シドニー・W・ピンク。
バージョン違い
(※18/3/21項目追加)
この映画にはアメリカ版とデンマーク版の2種類があり、日本盤DVDはアメリカ版となっています。
IMDbに拠れば、デンマークでの公開は1961年2月20日、アメリカは1963年1月20日。
ざっくり比較すると、アメリカ版はデンマーク版より10分ほど短く、本筋に関係ない部分は刈り込んでナレーションでつないだり、逆にコペンハーゲンの観光案内を入れたりしています。
ここまではありがちな編集かと思いますが、特徴的なことがひとつ。
同じ場面を比較すると、単に英語に吹き替えているのではなく、同じ俳優が同じカメラワークのもと、同じ演技で、英語・デンマーク語それぞれのセリフをしゃべっているのです。つまり別テイク。
2つのバージョンを並べて見ると、微妙に立ち位置や身体のかぶさり方が違っていたりしていて、まるで間違い探しクイズみたいです。
テキトーに編集して吹き替えるというのではないので、かなり良心的?な作りでしょうか。
『わが青春のマリアンヌ』では主演俳優が仏独のバージョンによって入れ替わっていましたが、『レプティリカス』は同じ俳優が繰り返し演じているのですから、こちらの方が大変?
英語は吹き替えのようにも思えますが、それにしても口の動きはちゃんと英語になっているように見えます。
ギャラ2倍欲しいところですね。
というわけで2つのバージョンは俳優さんはほぼ共通ですが、唯一の例外はユネスコから派遣されたという設定の女性科学者コニー・ミラー(Connie Miller)。
アメリカ版はMarlies Behrensというドイツの女優さん、デンマーク版はBodil Millerというデンマークの女優さんが演じています。
女性科学者が登場する場面は、女優さんを入れ替えて(周りの俳優さんは言語を変えて)撮影していることになります。
この他の違いとしては、特撮部分にもレプティリカスくんをクロップしたりスローにしたり、少しでも迫力を増そうと涙ぐましい努力の跡が見られます。
オリジナルと比べてどちらが良かったかはお好み次第♪
また、緑色のぺちゃぺちゃしたものはアメリカ版で合成されたものでした。
見た感じがとても不自然なのはそのため。でもまたこれによって作品に味やコクが出ているのですよね(ホント?)
ロケ地
IMDbでは、
Saga Studio, Copenhagen, Denmark
Tivoli Friheden, Århus, Jylland, Denmark (Tivoli Gardens excursion)
Copenhagen, Denmark
Danmarks Akvarium, Charlottenlund, Sjælland, Denmark
元々はデンマーク製。
コペンハーゲンが決戦の舞台です。
デンマーク水族館
(※18/3/21項目追加)
マーチン教授の勤務先。
実在する施設で、映画に登場したのはコペンハーゲンの北、シャルロッテンルンドにあるこちらの建物。
Danmarks AkvariumW, Charlottenlund, Sjælland, Denmark
現在は使われていません。
2013年にコペンハーゲンの南東側、コペンハーゲン空港近くのこちらへ移転。
アメリカ大使館
(※18/3/21項目追加)
デンマーク版のみに登場。
マーク・グレイソン准将が新聞を読んでボヤく場面の直前で外観が写りますが、ホンモノです。
コペンハーゲン名所巡り
(※18/3/21項目追加)
不満たらたらのグレイソン准将が、美人科学者コニー・ミラーとともに息抜きする場面。 わざわざセリフで名称を言うところなど、しっかりご当地映画となっていますが、前述のようにこれはアメリカ版のみの描写です。
湖畔の道
人魚
おなじみの人魚。その後も何度か登場します。
ストリートビューではカメラを掲げた観光客で埋もれていまっているような……
アマリエンボー宮
アマリエンボー宮殿(Amalienborg Palace)W
カメラは広場の西側から。
ここはこれまでのエントリーで言えば『世界を賭ける恋』で登場。
そちらで使わせていただいたmilouさんの画像を再掲させていただきます。
撮影は1993年とのことです。
噴水
女神ゲフィオンの噴水。
こちらも『世界を賭ける恋』で登場。
ランゲ橋
のちほど大変な事態となるこちらも、俯瞰で1カット登場(「橋」参照)。
チボリ公園
(※18/3/21項目追加)
グレイソン准将、コニー・ミラー博士、デンマーク軍のブラント大佐が楽しむ夕食のひととき。
入口部分と最後のレストランがバージョン共通で、つまり女優さんを変えて2度撮っていることになります。
園内の他の施設の描写はアメリカ版のみ。
公園入口
上掲予告編でも見られるように、後半のパニックシーンで人々がここからわらわら逃げ出してきたりします。
オリエンタルな施設
入口のショットの直後に登場するオリエンタルな施設は、入ってすぐ左手。
公式サイトでは”PANTOMIME THEATRE”となっています。
https://www.tivoligardens.com/en/haven+og+forlystelser/spillesteder/pantomimeteatret
3人はいかにも楽しんでいるように演技していますが、周りの人たちは3人やカメラを怪訝そうに見ています。
ゲリラ撮影だったのでしょうか。
観覧車
揺れながら高速回転する恐怖の観覧車は、公式サイトでは”THE FERRIS WHEEL”となっています。
https://www.tivoligardens.com/en/haven+og+forlystelser/forlystelser/ballongyngen
以下公園内についてBill McCrearyさんに画像を提供していただきました。ありがとうございます♪
Bill McCrearyさんのブログ記事には他にも多数画像がありますので、ぜひご訪問ください。
<ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学> コペンハーゲン、マルメ、フレンスブルク紀行(2014年7月~8月)(21)
多重塔
ティルトアップして捉える、池のほとりのオリエンタルな多重塔。
Wikipmapiaでは”Japanese Tower”となっていますが、中華風にしかみえません。
https://www.tivoligardens.com/en/haven+og+forlystelser/skoenne+steder/orienten
塔と池
続いて左へのパンで捉える塔と池。
頭をのぞかせている一番高い塔は、クライマックスで舞台となる市庁舎のもので、公園の外(東側)にあります。
- Google Maps(SV)
- WikiMapia ……カメラ位置
- WikiMapia ……塔の位置
噴水前
3人が『冒険者たち』のジャケットのように腕を組んでやってくる噴水前はこちら↓
半世紀以上前の映画なのに、何一つ変わっていません。
レストラン
食事は、宮殿のような外観のこちらで。『引き裂かれたカーテン』でも登場。
『引き裂かれたカーテン』ではスクリーンプロセスでしたが、こちらは建物の中のホールという設定で、実際にこの中にあるかは不明。
ここで歌謡ステージを挟むのがいかにも60年代怪獣映画っぽくてとても良いですね 🙂
歌っているのは、Birthe WilkeWという方。曲は”Tivoli Night”。
DL購入の他Amazon Music Unlimitedでも聴けますので、よろしかったらどうぞ。
司令部
(※18/3/21項目追加)
司令部が置かれたという設定の建物は、近衛兵の兵営。
最初に写るのがローゼンボー城W(南側)で、兵営の建物は向かって左手に伸びています。
近衛兵の像はその正面中央。
迎撃体制
(※18/3/21項目追加 )
レプティリカスに備えるデンマーク軍。市内のあちこちが写ります。
0:59頃のショットで、3本煙突が立っている発電所風の建物が見えますが、こちら。
カメラ位置は北東側の対岸。
ここの兵士がレプティリカスを発見。
“Fire at will!”となり、おなじみ人魚の前の対空砲もぐるりと向きを変えます♪
続くショットで、大通りにある対空砲が攻撃に入りますが、背景の建物は市庁舎ですね(南西側)。
なので、場所はこちら。
Bill McCrearyさんの画像では、こちらとなります。
コメント
どうも、ではコメントしていない記事でコメントを。拙ブログの拙写真を掲載および拙記事のご紹介をしていただき誠にありがとうございます。あとロンドンとアイルランドなどは提供できる写真があります。
それにしても、コペンハーゲンも、市の中心部もそんなに街に根本的な変化はなさそうですね。1961年の映画ですから、半世紀を超えるというより60年近いという言い方のほうが妥当ですが、街の中心部は再開発等を免れているんですかね。郊外はともかく市の中心部は今後もそんなに変化はないのかもです。外国人にとっては、ニューヨークやパリなどのようには、映画ほかで街の歴史をある程度追えるわけでもないですから、このような映画はとても貴重ですね。
なおコペンハーゲンは、私の勝手な意見では、マルメなどよりもドイツの街などと雰囲気が似ていました。海を挟んだ隣でも、マルメのほうが建物がどっしり荘重な雰囲気があったと思います。
Bill McCrearyさん、いろいろ画像を使わせていただきました。ありがとうございます。
この映画はおそらくご覧になることはないかと思いますが(汗)、コメント寄せていただき恐縮です。
お写真と映画を照合していて、建物や公園の施設までもが一致の度合いが高かったので、作業ははかどりましたが、ある意味拍子抜けでした。昔の映画をチェックしていると、空間的な旅行だけでなく時間旅行もできた気になれてそれも楽しみのひとつなのですが、何十年経っても同じだと全然時間旅行になりません 🙂