『第三の男』 The Third Man (1949)

第三の男 [DVD]

作品メモ

『二つの世界の男』『邪魔者は殺せ』とキャロル・リード監督作をチェックしてきましたが、ここまできたらこれでしょう、ということで『第三の男』。
ロケ地チェックにはメジャーすぎて、とりあげるかどうか恵比寿駅を通るたびに気になっていましたが、やっとこれでスッキリできます 😉
(※15/8/1動画差し替え)

 
 
 

親友に招かれてウィーンへやってきた三文西部劇作家ホリー・マーティンにジョゼフ・コットン。
親友ハリー・ライムにオーソン・ウェルズ。
ハリーを愛する女優アンナ・シュミットにアリダ・ヴァリ。
ハリーを追うイギリス軍キャロウェイ少佐にトレヴァー・ハワード。
同じくペイン軍曹にバーナード・リー。
「オクラホマ小僧(Oklahoma Kid)」を目印に待ち合わせた事故の目撃者クルツ男爵にエルンスト・ドイッチ。
文化教育局のクラビンにウィルフリッド・ハイド・ホワイト……といってわからなければ、『刑事コロンボ/ロンドンの傘』の絶妙な執事役の人。

まん丸な顔して結構凶悪なパワーを発揮していたあの子供が気になりますが、詳細不明。

監督キャロル・リード。
製作キャロル・リード、アレクサンダー・コルダ、デイヴィッド・O・セルズニック。
オリジナルストーリーと脚本がグレアム・グリーン。
撮影ロバート・クラスカー(米アカデミー賞受賞)、音楽アントン・カラス。
主な受賞は、英国アカデミー賞最優秀イギリス映画賞、カンヌ映画祭グランプリ。

資料サイトをざっくり見てふと気づきましたが、日本語版Wikipediaの「あらすじ」の最後の節はキネマ旬報データベース(KINENOTE)の丸写しですね。なんだかなあ……

ロケ地

IMDbでは、

Hotel Sacher, Philharmonikerstrasse 4, Vienna, Austria (Holly Martins’ hotel)
Riesenrad, Prater, Vienna, Austria (ferris wheel)
8 Schreyvogelgasse, Vienna, Austria (doorway where Harry Lime first appears)
Isleworth, Middlesex, England, UK
London Film Studios, Shepperton, Surrey, England, UK (studio)
Morzinplatz, Vienna, Austria (Kurtz’s house)
Neuer Markt, Vienna, Austria (as Cafe Mozart)
Palais Pallavicini, Josephsplatz 5, Vienna, Austria (Harry Lime’s apartment)
Reichsbrucke, Vienna, Austria (suspension bridge)
Vienna, Austria
Zentral-Friedhof, Simmeringen Hauptstrasse, Vienna, Austria (funeral scenes)

ベルリン同様、大戦後に分割統治されていた時代のウィーンが舞台です。
予備知識はこのあたりで → 連合軍軍政期 (オーストリア)W

『ローマの休日』『旅情』などに並ぶ超有名ご当地映画とあって、おそらく多くの映画オタク……じゃないマニア……じゃないファンがウィーンを訪れては撮影場所をカメラに収め、世界中の様々なサイトがロケ地をあれこれ解説していることと思います。

周回遅れか蛇足もいいところですし、ウィーン市内はほとんどストリートビューが使えないというハンディキャップ?もあるので、このエントリーでは気楽に見ていくことにします。
例によってIMDbのリストをもとに、画面とにらめっこでチェック。
答え合わせはしていませんので、間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

残念ながらベルリンと異なり分割統治時代の境界線の適切な資料が見当たらず、境界線のレイヤーを用意できませんでした。それが心残りとなっています。

OPナレーション

ウィーンの情勢がざっと紹介されます。

“ENTERING AMERICAN ZONE”

アーチの向こうに見える2つの塔の教会は、ヴォティーフ教会(Votivkirche)W

©2003 milou
 アルバム「オーストリア」から

画像はmilouさんから提供していただいたものです。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は2003年12月とのことです。

カメラ位置は、市庁舎の玄関部分の南側。カメラ北向き。

ウィーン市庁舎W

この位置にこの向きで標識というのはやや不思議。

“BRITISH ZONE”

シェーンブルン宮殿の正門。

©2003 milou
 アルバム「オーストリア」から

こちらもmilouさんから提供していただいた画像です。
撮影は同じく2003年12月とのこと。

映画で門扉越しに見えた部分の裏側でしょうか。
南側の広大な庭園に面した部分ですね。

“ВХОД В СОВЕТСКУЮ ЗОНУ”

ベルヴェデーレ宮殿(Schloss Belvedere)Wの南側、正門でしょうか、こちらの門。

By Donar Reiskoffer
via Wikimedia Commons
(CC BY 3.0)
©2003 milou
 アルバム「オーストリア」から

こちらもmilouさんから提供していただいた画像です。
映画とは反対側の庭園部分で、カメラ南向きと思われます。

“DEBUT ZONE FRANÇA”

アーチの上に”WESTBAHNHOF”とあります。
おそらくウィーン西駅Wの昔の姿。

Wikipediaによると1949年に解体されたとあります。
今は大胆なデザインになっていますが、南側に飛び出ている角はどうやって支えているんでしょうね??

さらに中心部分(中立地帯)は4ヶ国で共同管理されていることが語られます。
そこが映画の主な舞台であり、実際の撮影も多くはこのエリアで行われています。

ハリーの住まい

マーティンが最初に訪れたところ。
アパート入口はこちら。内部も画像を見る限りこちらのようですね。

Palais PallaviciniW, Josephsplatz 5, Vienna, Austria (Harry Lime’s apartment)

By TARS631
via Wikimedia Commons

映画では真横から写されていた入口を正面から見るとこういった感じ。

※17/2/19追記
この入り口は『鑑定士と顔のない依頼人』 La migliore offerta (2013)でも登場していました。

墓地

Zentral-Friedhof, Simmeringen Hauptstrasse, Vienna, Austria (funeral scenes)

ここはラストシーンがらみで最後にまとめて書きます。

シュモルカ

※17/7/18項目追加

0:07頃少佐に誘われたバー。
手持ちのDVDの字幕では「スモルカ」。

コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました(2015年7月18日09:43)。
「バー“シュモルカ”はペーター教会広場の現アンサンブル劇場」とのこと。

Ensemble Theater WienWは現在Garage X Theater PetersplatzWとなっているようです。
マップではこちらのはず。

映画では外観が写らないので判定は難しいでしょうか……
今のところは未確認・保留ということで。

ホテルのフロント

キャロウェイ少佐にからんだ後、連れてこられたところ。
IMDbのリストではこちら。

Hotel Sacher, Philharmonikerstrasse 4, Vienna, Austria (Holly Martins’ hotel)

内部がこちらで撮影されたのかは不明。
実際に訪れて確かめてみるのが一番ですが、きっと世界中からやってきた観光客が同じようなことを訊くでしょうから、ホテルマンも慣れていて親切に答えてくれると思います……

後ほどタクシーに乗る場面では、外観が写り”HOTEL SACHER”とはっきり看板が見えます。
少なくとも外観に関してはホンモノだと思えました(後述)。

カフェ・モーツァルト

クルツ男爵と待ち合わせたところ。
映画の中でカフェがあったのは、上述ホテルの3ブロック北側にあるこちらの広場(南端)。

Neuer Markt, Vienna, Austria (as Cafe Mozart)

ホンモノのカフェ・モーツァルトは、前述Sacher Hotelの1階西側。
クルツ男爵のセリフ通り、角を曲がったところです。

Café Mozart
Albertinaplatz 2 A-1010 Wien
http://www.cafe-mozart.at/

このカフェを紹介している文章はどれも「『第三の男』に登場した」と書かれてありますが、画面で見る限りホンモノは登場していないように見えます。真相は如何に??

※15/7/18追記
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました(2015年7月18日09:43)。
ホンモノは当時は戦災で壊滅状態だったため、(上記の)ノイアー・マルクト広場カプツィーナ教会前にオープンセットを組んで撮影したとのことです。
これでスッキリ、ありがとうございました♪

現場検証

クルツ男爵をともなって、ふたたびハリーの住まいへ。
アパートが面しているのは、JosefsplatzW

Photo from Wikimedia Commons
(public domain)

ハリーが死んだとされた場所は、中央の銅像の下(クルツ男爵談)。
銅像はヨーゼフ2世。ハリーのアパートの方(東側)を向いています。
映画では台座しか写りません。

劇場

調査中。
2階席の中央部分が前に出ているのが特徴的ですね。

アンナの住まい

0:26。
アンナを送ってきたら警察が来ていたところ。
調査中。
背景に特徴的な建物が見えるますので、それが手掛かりになるかもしれません。

後ほど(1:01)ハリーらしき人物がアンナの部屋を見上げていたのもここでしょうか?

※15/7/18追記
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました(2015年7月18日09:43)。
「アム・ホーフ広場6番地の建物」とのことで、マップと画像をチェックしたところ、背景に見えていた特徴的な建物は、アム・ホーフ広場の北端に建っていることがわかりました。

Am HofW

Photo from Wikimedia Commons (public domain)

この画像の背景中央、間口がやや狭い建物。

この建物から推定されるアパートの入口はこのあたりで、確かに6番地です。

ただこの位置ですと部屋からの眺め(ハリーが立っていたところ・後述)とは全然別の場所となります。

ヴィンケルが自転車で出かけるところ

背景に間口が狭く背の高い特徴的な教会が見えます。

Maria am GestadeW

By Priwo
via Wikimedia Commons
(public domain)

なのでヴィンケルが出てきたのはその西側のこのあたり。

教会は後ほど、講演会場から抜け出した後やハリーと再会する場面にも登場します。

Casanova

※15/7/18項目追加
0:36頃
1ショットだけの外観、„?EVUEBÜHNE BA?“ とありますがおそらく„REVUEBÜHNE BAR“

コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました(2015年7月18日09:43)。
「キャバレー“カサノヴァ”はグラーベン脇道ドロテア小路6番地」とのことですが、住所で一致するのはこちら。

CasaNova
DorotheergasseW 6-8

お店のサイトの沿革に、そこで撮影されたことが書かれてあります。
http://casanova-vienna.at/uber-uns.html

By Buchhändler
via Wikimedia Commons
(CC BY-SA 3.0)

この画像の右下のあたりが、映画で入口として登場しているように見えます。

吊り橋

0:41
男が4人なにやら密談するところ。
IMDbに答えが。

ライヒス橋(Reichsbrucke)W, Vienna, Austria (suspension bridge)

Wikipediaによると、その後1976年に崩落。80年に今の橋が完成したとのことです。

By TARS631
via Wikimedia Commons

こちらは1976年2月撮影とのこと。
映画と同じように、吊り橋の向こうに教会が見えています。
以下Wikimedia CommonsにアップされているTARS631さんの素晴らしい記録写真をどうぞ。

By TARS631
via Wikimedia Commons

崩落は1976年8月1日(Wikipediaより)。
撮影は8月4日。

By TARS631
via Wikimedia Commons

そのアップ。

By TARS631
via Wikimedia Commons

完全に無くなってしまいました。

By TARS631
via Wikimedia Commons

約2年後の1978年7月6日撮影。
橋を新設中。
手前にクルマと鉄道用の橋を仮設してありますね。

橋はこうして姿が変わりましたが、映画で背景に見えた教会は今でも残っています(南西側)。

この橋は市の東側、ソ連占領地区ではないでしょうか??

夜の階段

0:48頃
疑われた2人が、町の人々から逃げる場面。
左側に見えるのが教会のようで、これが手掛かりになるかもしれません。
調査中。

チターの演奏に乗って、同じ階段を今度は子供を先頭にぞろぞろ人々が駈け降りてくるのが恐ろしくもまた滑稽だったりします。
この映画こういうところが本当にうまいですね。

※15/7/18追記
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました(2015年7月18日09:43)。
この教会は「ルプレヒト教会への階段」とのことで、画像で確認できました。

Ruprechtskirche (Wien)W

こちらの教会から北側、ドナウ川に向って降りていく階段のようです。

By Thomas Ledl
via Wikimedia Commons
(CC BY-SA 3.0)

ちょっと斜めにして見たいですね 🙂

By Otto Normalverbraucher
via Wikimedia Commons
(CC BY-SA 2.0 AT)

下まで降りるとこういう感じ。

タクシーに乗るホテル前

“HOTEL SACHER”とあります。
前述のように、少なくともこのショットはIMDbのリストにあるホンモノのこちらのように思えます。

Hotel Sacher, Philharmonikerstrasse 4, Vienna, Austria (Holly Martins’ hotel)

講演会会場

円蓋を持つ教会。
ベルヴェデーレ宮殿のすぐ東側にあるこちら。

SalesianerinnenkircheW

By Hubertl
via Wikimedia Commons
(CC-BY 3.0)

右の画像、トラムが入り込んでなければどんぴしゃりのアングルですね。

By Hubertl
via Wikimedia Commons (CC-BY 3.0)

入っていったのは正面ではなく右側の門。

講演会場から抜け出して

そびえたつ夜の教会は、前述「ヴィンケルが自転車で出かけるところ」で背景に見えたMaria am GestadeW

猫がすりすりしてくる街角

猫が角を曲がってハリーらしき人物の靴にスリスリしてくるところ。
このショットだけではさすがに場所はわかりません 🙂
おそらく次の項目の場面と同じ場所かと思いますが、未確認。

我が家の猫様だと、帰宅したときバルコニーから目線が合っても知らんぷりします。
あの高さを駈け降りてスリスリしてくるなんて、ハリーはどれだけ好かれていたのかと。

※15/7/18追記
やはり窓からの眺めと、マーティンがハリーと再会した場所は同じでした。
次項目をご覧ください。

ハリーとの再会

夜道を歩くマーティンが、猫の鳴き声に足をとめるところ。
坂道は不明。
ハリーと猫がいた戸口も不明。

石像のようなものに寄りかかるショットで、背景に見えるのはまたしてもMaria am GestadeW

By Priwo
via Wikimedia Commons
(public domain)

画像を再掲しますと、こちらの左下に写っているのが、マーティンが寄りかかった像ですね。

部屋の灯りに照らされて浮かび上がったのはこちらの御方。
四半世紀後に同じポーズで営業しました♪

 
 
ヱビスビールではありませんけど……

※15/7/18追記
コメント欄でモネの母さんから情報提供していただきました。
「ウィーン大学そばのベートーベンが住んでいたパスクァラティハウスの裏」とのことで、そのあたりを探したところ、こちらであることがわかりました。

マーティンは北西に向って歩いて行き(左に曲がった坂道)、北東からの道がぶつかるところで猫の声に気づき、右手を見ます。

By bartlinssen1968
via Flickr (CC BY-ND 2.0)

マーティンが猫に話しかけたのは、正面の建物の左側の角。
右端に写っているのが、猫様とハリーがいた扉。

By Manfred Morgner
via Flickr (CC BY-SA 2.0)

同じ場所を少し右を向いたアングルで。
やはり猫様の扉が右端に写っています。

前の項目の窓からの眺めもこちらでした。
ここから道の反対側を見上げれば彼女の部屋の窓が見えるはず……

ということで、マーティンが石像に寄りかかっていたショットだけが別の場所だったようです。

ハリーを追いかけて

ハリーの姿を見失った広場を含めてわかりませんでした。
やはりストリートビューが使えないと攻撃力半減以下かも……

※15/7/20追記
前述「アンナの住まい」を追記する際にAm Hofの画像をいろいろあたっていて、ハリーが消えた広場がそこであることに気づきました。

By Luke McKernan
via flickr (CC BY-SA 2.0)

広告塔のショットで背景に写っているのはこういった感じの建物。
これらはAm Hofの南西側にあります。

となると広告塔があったのは広場の東側で、カメラ南西向き。

中央のモニュメントがフレームに入らないようなカメラ位置とアングルをとっているのでしょうね。

マーティンがくぐってきたアーチは、ここでしょうか。

その近辺に天使の噴水(水盤)は見当たりません。
天使の水盤は広告塔からマーティンが歩いてきて顔を洗うのがワンショットで撮られているので、広場にあったことは確かですが、カメラ位置からしてどうもセットのような気もします。
引き続き調査中。

※17/2/19追記
ぶぶちんさんからメールで情報と画像を提供していただきました。

©2011 ぶぶちん

広場に通じる小径ですね。
撮影は2011年とのことです。

このショット、ハリーは影で表現されていますが、資料本によると、オーソン・ウェルズの到着が遅れたために、助監督のガイ・ハミルトンがハンガーで肩幅を広げて代わりに走ったとのことです。

クルツ男爵の住まい

1:14
ハリーに伝言を伝えたところ。

Morzinplatz, Vienna, Austria (Kurtz’s house)

IMDbにはこう↑ありますが、映画に出てきた特徴的な建物は見当たりませんでした。
参考までにマップではこのあたり。

観覧車

『第三の男』といったらやっぱりプラーター公園(Prater)のここ。

大観覧車 (ウィーン)W

ここはソ連占領地区でしょうか?

©2003 milou
 アルバム「オーストリア」から

画像はmilouさんから提供していただいたものです。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は2003年12月とのことです。

©2003 milou
 アルバム「オーストリア」から

映画でも感じましたが、こうしてみると大きいですね。

©2003 milou
 アルバム「オーストリア」から

ハリー・ライム的上から目線。

©2003 milou
 アルバム「オーストリア」から

こちらはおまけ。

※17/2/19追記
この物件、『REX ~ウィーン警察シェパード犬刑事~』の第1話で登場していました。

クーゲルムーゲルW

ハリーを待ち伏せ

ハリーをおびき寄せたCAFE MARC AUREL。
少佐たちが潜んでいた噴水が特徴的だったので場所がわかりました。

Hoher MarktW

By Gugerell
via Wikimedia Commons
(public domain)

右の画像は、ちょうど風船売りが立ち止まったアングルですね。
背景中央やや左側の建物(角に面している)がカフェがあったところ。
さらにその左側の建物は、映画では瓦礫の山だったところ。

Photo from Wikimedia Commons
(public domain)

こちらは上の画像に近いアングル。
1906年と記録されていますが、カフェの建物とその向こう側に見える建物は、この頃からあったように見えます

By August Stauda
via Wikimedia Commons
(public domain)

これは逆の目線。映画の中でカフェのあった側から噴水を見ています(1898年頃?)。
ハリーが現れたのは、カフェの向かい側の建物の上。
この画像で言えば、左端の建物の1階で幌が2枚出ている部分の上です。
そこは映画では2階以上が半壊していて、その上の部分からハリーは姿をちらりと見せます。
もとは普通のビルなわけで、そうなるとハリーの周辺にいくつか見られた白い像は小道具かもしれませんね。

墓地

冒頭の埋葬シーンにも登場するところ。

中央墓地(Zentralfriedhof)W

市の中心部からは8-9kmほど南東。
マップで見ると広さを実感できます。
Wikipediaによると2.4㎢とのことで、東京の多摩霊園(1.28㎢)の約2倍。モアイでおなじみ?真駒内滝野霊園(1.8㎢)より大きいことになります。

※15/7/19マップ追加

ハリーのお墓やラストシーンの長い道が気になりますが、画面に写る周囲のお墓を逐一チェックしていけばあるいはわかるかもしれません。
お墓自体はプライベートなものと思いますので細かい詮索は避けるとして、一番気になるラストのあの道はどこ?ですが、クルマで走る道と降りて彼女を待っている道はどうも別のようです。
ラストは相当長い直線に見えますね。
墓地内で探したところ、北の角から南に延びる道が直線部分が1.6kmで一番長いようです。
日差しは右側やや前方から。
撮影が夕方に近い午後だとして、カメラ南向きだとすると矛盾はありませんので、その道かもしれません。

©2003 milou
アルバム「オーストリア」から

以下はmilouさんから提供していただいた画像です。
撮影は上掲同様2003年12月とのことです。

©2003 milou
アルバム「オーストリア」から

お墓の一例。

 
 

※17/2/19追記
ぶぶちんさんから、詳細な情報と現地の画像を提供していただきました。
ラストの通りは、このあたり↓を北西から南東方向に伸びる並木道とのことです。

(プライベートなものが並んでいる場所ですので、ウェブマップでピンポイントで示すのは避けています。現地へいらっしゃた際は、マナーやエチケット等ご配慮お願い致します)

ラストのカメラは南東向き。
その前の数ショットも、あちこちで撮影しているのではなく、同じ場所でアングルを変えて撮っていたようです。
アンナは移動していますから、当然つながりがおかしい箇所がありますが、見ている間は全然気づきません。

©2011 ぶぶちん

こちらの画像は、埋葬後歩き去るアンナを後ろから捉えたショットと同じ向き(南東向き)。
画像左端の頭を垂れた像が、アンナの行く先左手に見えています。
(画像はすべて2011年撮影とのことです)

©2011 ぶぶちん

その次のジープに乗り込むショットは、こちらの画像で再現されています(北西向き)。
右端の頭を垂れた像は上掲左端のもので、本編ではジープの背後に見えています。
つながり的にはジープの正面、アンナが歩いて行く先に見えているはずですから、位置関係がすでにおかしいことに……

その後アンナを追い抜くショットでも、抜き去った後の背景右手(十字路の向こう側)に、この像を確認できます。
アンナはこの通りを歩き続けてジープに抜かれたわけで、これについては位置関係はOK。

トリビア情報もいただきましたが、ジープで移動中の背景のスクリーンプロセスは、現地ではなくロンドンの墓地で撮った風景を使っているとのことです。そのため、まるで墓のデザインが違います……とのことですが、言われて初めて気づきました……

ちなみに、上掲画像のいちばん奥に見えているオベリスクのようなもの(本編ではジープが停まっていたショットや、アンナを追い抜いた後で見えます)、ソ連軍兵士のメモリアルのようですね。

その後のジープから降りるショットは、おそらく頭をたれた像の少し手前(北東側)。
最初にジープが停まっていた場所から、少しバックしています。

©2011 ぶぶちん

そしていよいよラストの名場面。
1枚目の画像を再掲させていただきますが、長~い並木道はやはり同じ道。

つまり、アンナが去って行くショットとやってくるショットは、ほぼ同じ場所、同じアングルで撮影されていて、これは本編の墓石や並木の形などで確認できます。
アンナはせっかく歩いて行ったのに、なぜかまた遙か彼方から戻ってきたことになりますね 🙄

©2011 ぶぶちん

映画ではもやっとしていた先を、望遠レンズで捉えていただきました。

©2011 ぶぶちん

突き当たりはこのようになっているとのことです。
(カメラ向きは同じく南東)
ここまできちんと確認されるとは、素晴らしいです。

この場面についても、資料本によるトリビア情報いただきました。
面白い内容ですので、以下そのままコピペさせていただきます。

  • キャロウェイがジープで走り去るシーンでは道路がきれいですが、同じ場所でも次のシーンでは枯れ葉がたくさん落ちています。これは、すべて小道具さんがもってきたもので、11月のロケなので枯れ葉はすでになく、ラストでは上からも葉っぱを降らせています。
  • ジョセフ・コットンが自伝で書いていますが、「アリダヴァリが歩き去っても監督がカットと言わないので困った、枯れ葉はほとんど使い切っていたし、しょうがないのでアドリブでたばこを取り出して火をつけたらその後でやっと、カット、の声がかかった」ということのようです。

ロケ地マップ


より大きな地図で 第三の男 を表示

資料

更新履歴

  • 2017/02/19 「ハリーの住まい」「ハリーを追いかけて」「観覧車」「墓地」追記 画像のリンクをPicasaウェブアルバムからGoogleアルバムアーカイブ、Googleフォトへ切り替え
  • 2015/08/01 恵比寿駅動画差し替え
  • 2015/07/19 「ハリーを追いかけて」追記
  • 2015/07/18 「カフェ・モーツァルト」「アンナの住まい」「夜の階段」「猫がすりすりしてくる街角」「ハリーとの再会」「墓地」追記 「シュモルカ」「Casanova」項目追加
  • 2014/10/22 新規アップ
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『第三の男』 The Third Man (1949)” への7件のコメント

  1. う~ん、力作ですね。さすが世界最高峰の名作だけに気合いが入っていますね。

    古いウイーンの街はほぼ当時の姿で残っているようですね。また、この映画のロケ地巡りツアーが毎年あるとか。

    実際に墓地を訪れた人のブログを読んでみても、墓地は広すぎて、最後の並木道はどこか分からなかったというのが多いようです。

    この名作のパロディー映画は沢山ありますが、「霧笛が俺を呼んでいる」(日活映画)もその一つです。

    なお、恵恵比寿駅とこのテーマ曲との関係は何なんですか。

  2. 赤松さん、たった今恵比寿駅でまた聴いたところです 🙂
    今はすっかりハイカラになりましたが、この駅には昔ヱビスビールの工場があり、その関係でCMに使われているこの曲が駅でも使われるようになったみたいですね。

  3. 2015年6月30日 ウィーンで 第三の男のロケ地巡りのツアーに参加しました。
    猫のすりすりしてきた街角がわかりました。
    ウィーン大学そばの ベートーベンが住んでいたパスクァラティハウスの裏のあります。こんな狭いところに オーソン・ウェルズが立っていたと 思うと感慨無量でした。
    ちなみに ハリーの履いていた靴には魚のオイルが塗ってあって 靴もピカピカ 猫も匂いに擦り寄ったということです。

    プラター公園の大観覧車も乗ってきましたが 思っていたより大型で 20人くらいを一度に乗せて ゆっくりと一回転します。
    カメラが大きかったのか 随分狭く感じましたが 結構広いです。

    現地ツアーはもっといろいろなエピソードも聞けて 面白かったです。

  4. モネの母さん、コメントありがとうございます。
    ロケ地ツアー楽しまれたようでうらやましいです。
    猫すりすりのあの扉、教えて下さってありがとうございました。今マップで確認できました。明日にでも追記させていただきます。
    気になる猫すりすりの秘密も、知ってしまえばなるほどですね。我が家の猫様にマタタビで実験してみたいところです……

  5. 実は手元に96年発行の「ウィーン 旅の雑学ノート」という本があり“完全解明 映画『第三の男』の舞台”というコラムがある。
    しかしウィーンはなぜかSVが使えなかったのでチェックする気にならず手を付けていない。使えるようになったら挑戦しよう。

    従って答え合わせではなく、単なる情報として…
    ☆カフェ・モーツアルトは当時は戦災で壊滅状態だったためノイアー・マルクト広場カプツィーナ教会前にオープンセットを組んで撮影。
    ☆アンナの住まいはアム・ホーフ広場6番地の建物。
    ☆バー“シュモルカ”はペーター教会広場の現アンサンブル劇場。キャバレー“カサノヴァ”はグラーベン脇道ドロテア小路6番地。

    ほかには追跡シーンのルプレヒト教会への階段やマリア・アム・ゲシュターデ教会前広場。3人組が密談するのはライヒスブリュッケ橋。

  6. milouさん、情報ありがとうございます。
    おかげさまで、バー“シュモルカ”以外はマップや画像で確認&答え合わせできました。
    このくらいの映画になればどこかに答えがどっさり載っているとは思いますが、自力でできる範囲で(しかもストリートビューなしというハンディキャップ?付で)やるだけはやったので達成感はあります(笑)
    残りの漏れている撮影場所について何かご存知の方、情報お寄せくださいませ。

  7. このエントリーを読んでくださったぶぶちんさんからメールで情報と画像を寄せていただき、特にラストに関して完全に解明できました。おかげさまでスッキリしました。どうもありがとうございます♪

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