『アート・オブ・クライム 美術犯罪捜査班』 L’Art du crime (2017- )

L'art du crime - L'intégrale des saisons 1 et 2

作品メモ

『ホワイト・ドラゴン』『薔薇の名前』とAXNミステリーでの一挙放送組をチェックしてきましたが、こちらも同じくシーズン丸ごとドカっと放送されたクチ。
OCBCの警部とルーヴル美術館勤務の美術史家が、毎回美術がらみの事件を解決していくフランスのドラマシリーズです。

知りませんでしたが、OCBC(Office central de lutte contre le trafic des biens culturels)Wは実在する組織で(番組では「文化財密売取締本部」)、Wikipediaによれば美術品に関して盗難、偽造、詐欺、資金隠しといった犯罪の捜査を行っているようです。
ドラマでは毎回殺人事件が発端となりますから、まあ名前だけ借りたまるきりのフィクション。

そのOCBCに刑事部から転属となった警部が主役なのですが、問題はとてつもない美術オンチだということ。
なにせボッティチェリをパスタだと思い(S1E1)、ロココをバーの名前だと思う(S2E1)ぐらいなので半端ありません。
そんな彼に、美術史に造詣の深い知的な美人さんが捜査協力する、ということで、ツンデレ的展開も期待されたりします。

贋作ネタが中心となりますが、毎回趣向を凝らして飽きさせません。
美術についての蘊蓄もちりばめられ、ルーヴルをはじめとするフランスの有名美術館の内部も登場して、すっかりアートでオサレな気分にひたらせてくれる良さげなシリーズとなっています。

日本では2019年10月20日にシーズン1を、11月3日にシーズン2をそれぞれ一挙放送。
本国ではシーズン3が放映済みで、今年(2020年)4も予定されているとのことです。

 
 
 

登場人物

アントワーヌ・ヴェルレ(Antoine Verlay)/ニコラ・ゴブ(Nicolas Gob)
OCBCの警部。頭に視線が行きがちだが、なかなかのイケメンで膂力もありげ。もちろん刑事としても優秀だが、美術オンチなのが玉に瑕。妻とは離婚協議中で、子供が2人。
フロランス・シャサーニュ(Florence Chassagne)/エレオノール・ベルナイム(Éléonore Bernheim)
ルーヴル美術館に勤務する美術史家。アントワーヌと対照的に髪はふさふさで、スカーフもオサレ。突如実在した画家が現れて対話するという、不思議モードの持ち主。めまいを起こしがちでカウンセリングを受けているが、アントワーヌを「抗恐怖症物体」として頼ることで克服しようとする。
ピエール・シャサーニュ(Pierre Chassagne)/フィリペ・デュクロ(Philippe Duclos)
フロランスの父親。娘を「フロフロ」と呼んでは嫌がられている。著名な美術の先生だが、だいぶ浮き世離れしたところも。
アレクサンドル・パルド(Alexandre Pardo)/ベンジャミン・エグネル(Benjamin Egner )
OCBCを指揮する警視。アントワーヌのボス。
ユーゴ・プリユール(Hugo Prieur)/エマニュエル・ノブレ(Emmanuel Noblet)
フロランスの友人にして元彼のイケメン。もっぱらルーヴルのラボにいて、アントワーヌやフロランスの捜査をサポートする。

エピソード&ロケ地

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

執筆現在(2020年3月)日本語版Wikipediaがないようですので、ついでにエピソードも簡単にまとめています。
S1とS2は各6話ですが、実際には前編(Partie 1)後編(Partie 2)という風に2話で1つのお話となっていて、1シーズン3話構成とも言えます。
S3以降は日本では未放映ですが、1話ずつで終わっている模様。

S1E1-2 「隠された肖像」Une beauté faite au nature

放送日:France2 2017/11/17、AXNミステリー 2019/10/20
登場画家: ジャン・ブルディション、レオナルド・ダ・ヴィンチ
事件: 古城での殺人。城からはそれほど価値のない肖像画が盗まれていたという謎。

IMDbでは、

Château d’Amboise, Montée Abdel-Kader, Amboise, Indre-et-Loire, France
Musée du Louvre, Paris 1, Paris, France
Palais de Tokyo, Paris 16, Paris, France

張り込んでいた美術館

OPでアントワープが張り込んでいたところ。

Palais de Tokyo(パレ・ド・トーキョー)W, Paris 16, Paris, France

厳密には、東翼のパリ市立近代美術館。最後に飛び出してくるところもそこから。

アントワープの背後にあったのはこちら↓の作品。

By Jean-Pierre Dalbéra
via Wikimedia commons
(CC BY-2.0)

Robert Delaunay, 1938, Rythme n°1, Decoration for the Salon des Tuileries

アンボワーズ城

殺人事件が起き、肖像画が盗まれた城。
実名で登場。

Château d’Amboise(アンボワーズ城)W, Montée Abdel-Kader, Amboise, Indre-et-Loire, France

目の前の川はロワール川。

盗まれた絵画は、セリフでもあるようにジャン・ブルディションWの模写。
オリジナルはこちら↓

photo from Wikimedia commons
(public domain)

Jean Bourdichon, Anne de bretagne priant 1503-1508

E1 0:25 で登場するチャペル。

By Fab5669
via Wikimedia commons
(CC BY-SA-4.0)
クロ・リュセ城

E1 0:12

le château du Clos Lucé(クロ・リュセ城)W
https://www.vinci-closluce.com/

アンボワーズ城の南東約600m。
レオナルド・ダ・ヴィンチが晩年過ごしたところで、それが事件を解く鍵となります。

ドラマでは、被害者ランベールの恋人デュティウル夫人の住まいという設定。
夫人は大資産家で、盗まれた肖像画の元の所有者。

0:12に映る外観は、似て非なる別の家。
0:24に新聞記事に使われた白黒写真はホンモノで、手前の2人は明らかに合成。

……なので実際にはここでは撮影されていないようです。

似て非なる方は不明ですが、参考までにホンモノはこちら↓

By Thesupermat
via Wikimedia commons
(CC BY-SA-2.0)

※20/3/10追記
milouさんが4travelにアップされた旅行記の画像を転載させていただきました。ぜひ旅行記の方もご覧ください。

4travel > milouchatさんのトラベラーページ
2006年 パリ 3/4:これっきりじゃないぞ!(ロワール古城めぐり)

©2006 milou
4travel.jpから
©2006 milou
4travel.jpから
ルーヴル美術館

0:17他
フロランスの職場。
登場する時は、たいていピラミッドのショットから入ります。

外観だけでなく、時折館内も映してくれて、展示物件が目の保養になります。
ルーヴル全面協力といった感じですね。

こちら↓の画像はmilouさんからご提供いただいたもので、撮影は2002年とのことです。
ありがとうございました♪

©2002 milou
アルバム「パリ」から
OCBC(外観)

E1 0:19 0:34

S1E1-2での外観は、モダンなビル。
場所は調査中。
E3-4以降は別の建物となります。

《モナ・ヴァンナ》

E1 0:28

La Joconde nue (モナ・ヴァンナ La Mona Vanna)W

フロランスが「エルミタージュにいい模写があるわ」と言っていますので、その画像。

By shakko
via Wikimedia commons
(CC BY-SA-4.0)

S2E2(第1話後編)でも登場。

ピエール・シャサーニュの家

E1 0:38 0:47
フロランスのパパの家。
調査中ですが、個人宅なら判明しても書けないかも。

S1E3-4 「雅(みやび)やかな死」Une mort galante

放送日:France2 2017/11/24、AXNミステリー 2019/10/20
登場画家: ヴァトー、アルテミジア・ジェンティレスキ
事件: ヴァトーの絵画に見立てた芸術学校でのパーティーで、殺人事件が発生。

パリ芸術学校

0:01 0:37他
場所不明。

《シテール島の巡礼》

E3 0:07
パーティーで見立てていた絵画。

ヴァトー「シテール島の巡礼」 Pèlerinage à l’île de Cythère (1717)W
https://www.louvre.fr/jp/oeuvre-notices/《シテール島の巡礼》

photo from Wikimedia commons
(public domain)
OCBC

E3 0:12
E1-2と異なり、E3以降は急に地味な建物になります。E1-2はパイロット版だったのでしょうか。

場所は不明。

《ピエロ》

E3 0:11

ヴァトー「ピエロ(旧称ジル)」W
https://www.louvre.fr/jp/oeuvre-notices/《ピエロ(旧称ジル)》

Photo from Wikimedia commons
(public domain)
《ヤエルとシセラ》

E4 0:47

アルテミジア・ジェンティレスキ (Artemisia Gentileschi) 「ヤエルとシセラ」Jael and SiseraW

Photo from Wikimedia commons
(public domain)

S1E5-6 「黒ずんだ絵」Une œuvre au noir

放送日:France2 2017/12/01、AXNミステリー 2019/10/20
登場画家:ジェリコー
事件: ルーヴル美術館の「メデューズ号の筏」の前で、ユーゴの上司で「ジェリコー友の会」会長デルフィーヌが毒殺される。

《メデューズ号の筏》

ジェリコー「メデューズ号の筏」Le Radeau de la Méduse de Géricault (1819)W
https://www.louvre.fr/jp/oeuvre-notices/《メデューズ号の筏》

ホントに館内を使った、しかも日中の撮影ですね。

Photo from Wikimedia commons
(public domain)
墓地

E5 0:31
デルフィーヌの葬儀。

ペール・ラシェーズ墓地(Cimetière du Père-Lachaise)W

photo from Wikimedia commons
(public domain)

これまでのエントリーでは『突然炎のごとく』のラストで登場。

ドラマでも登場したジェリコーの墓。

By Rob Larsen
via Wikimedia commons
(CC BY-2.0)
サルペトリエール病院

E5 0:44

サルペトリエール病院(Hôpital de la Salpêtrière)W

テロップではそうなっていますが、実際には似て非なる場所。
調査中

参考までに、ホンモノはこちら↓

これまでのエントリーで言えば、『5時から7時までのクレオ』のラストなど。

ラスト

刑事部への復帰がおじゃんになったアントワーヌ。
フロランスは、でもちょっぴり嬉しそう?

ルーヴル館内のこちらの↓絵についてドギマギするやりとり。

ジャン・オノレ・フラゴナール《閂》 Jean-Honoré Fragonard, Le VerrouW  

https://www.louvre.fr/oeuvre-notices/le-verrou

from Wikimedia commons
(public domain)

その後はこちらの絵画の前へ移動。

《閂》はS2E1でも登場。
今度はフロランスのパパがアントワーヌの個人授業でとりあげ、その後フロランスの妄想モードにも……。この場面はウケました。

S2E1-2 Une ombre au tableau (邦題なし)

放送日:France2 2018/11/23、AXNミステリー 2019/11/03
登場画家:モネ
事件: 修復家が殺され、モネの模写が盗まれる。アントワーヌは模写と贋作の違いを学ぶ。バルド警視の過去に関わる人物が登場。

《夏、ひなげしの草原》

モネ 「夏、ひなげしの草原」L’été. Champ de coquelicots (1875)

Photo from Wikimedia commons
(public domain)
オルセー美術館

E1 0:08

現在「夏、ひなげしの草原」がNYの個人収集家からこちらに貸し出されているという設定で登場。

展示されていたのはこちら↓

《庭の女たち》(1866-1867)

Femmes au jardin (Claude Monet)W
Musée d’Orsay > Claude Monet Femmes au jardin

photo from Wikimedia commons
(public domain)
ルーセルの家

E1 0:16

自然の中の素敵な住まいですが、撮影場所は不明。

フレデリック・ルーセルはオルセーで一番のモネの専門家。
被害者マルニャックの妹ロランス(故人)の夫。マルニャックは贋作を描きNYですり替えて送付した……という流れ。

広場

0:53

警視がマリーと待ち合わせたところ。

《アパートの隅》

E2 0:20

フロランスが見た夢。
ネタばれっぽいですが、これがシーズン通しての伏線となります。

Musée d’Orsay > Claude Monet, Un coin d’appartement

Photo By pellethepoet
via flickr
(public domain)
カザフ大使館

E2 0:27

突然『ミッション・インポッシブル』的展開♪
ついでに『エントラップメント』も♪♪
建物は調査中。

オークション会場

E2 0:29

S2E3-4 Un homme blessé (邦題なし)

放送日:France2 2018/11/30、AXNミステリー 2019/11/03
登場画家: ギュスターヴ・クールベ
事件:アントワーヌが匿名の葉書で誘導された公園で死体を発見。被害者は以前詐欺事件を起こしていた古美術商アンリ・クールセル。捜査の過程でアントワーヌは長らく会っていなかった父親と対面する。やがて明らかになる犯人の意図とは? 最後まで目が離せないスリルとサスペンス満載の異色編。

送られてきた絵葉書

Les Joueurs de dames, known also as Coups de dames, Gustave Courbet (1844)

from Wikimedia commons
(public domain)
公園

E3 0:01
匿名はがきに導かれてやってきたところ。
19区のこちら↓

ビュット・ショーモン公園(Parc des Buttes-Chaumont)W

吊り橋(歩道橋)↓

By Guilhem Vellut
via Wikimedia commons
(CC BY-2.0)

四阿(temple de la Sibylle)

By Guilhem Vellut
via Wikimedia commons
(CC BY-2.0)
By Guilhem Vellut
via Wikimedia commons
(CC BY-2.0)

ちなみにOCBCに届いた絵葉書に書かれた座標は、ホントにこの場所のものでした。

現場にあった絵葉書は↓

《絶望》Le DésespéréW

from Wikimedia commons
(public domain)

解雇された助手が持っていた葉書は、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《金の支払い》

《泉(スルス)》

E3 0:12

チェッカーの駒とともに届いたメッセージを解読して、オルセーへやってきた2人。

クールベ《泉(スルス)》

Musée d’Orsay > Gustave Courbet, The Spring

裁判所

E3 0:14

《泉》の展示の下に貼られた座標からやってきたところ。
調査中。

ヴァンドーム広場

E3 0:36
携帯の位置情報をたどってやってきたところ。
中央の円柱が、クールベと深く関わっています。

ヴァンドーム広場W

こちら↓はmilouさんからご提供いただいたもので、撮影は1977年7月とのことです。
リッツの前から撮られたとのことですので、ドラマに出てきた円柱の入口は反対側でしょうか。

©1977 milou
アルバム「パリ」から

中の現場で被害者が持っていたのは、こちら↓の絵葉書。

クールベ《L’Hallali du cerf》W
Musée d’Orsay > Gustave Courbet, L’hallali du cerf

定まった日本語表題が見当たらないので原文ママにて失礼(ご存じの方教えてください)。
cerfは鹿。
hallaliは手元の仏和辞典では「(獲物を追い詰めたことを知らせる)漁師の叫び声」とあります。

from Wikimedia commons
(public domain)

S2E5-6 Le peintre du diable (邦題なし)

放送日:France2 2018/12/07、AXNミステリー 2019/11/03
登場画家: ヒエロニムス・ボス、モネもちょっぴり
事件:ボスを研究していた神学校の学生がルーヴル美術館で刺殺。ボスの素描が盗まれる。アントワーヌは少年の幻影を見るようになるが誰だかわからない。

《快楽の園》

快楽の園W

from Wikimedia commons
(public domain)
事件現場

最初の現場はルーヴル美術館の中庭。

神学校

E5 0:08
大きな中庭と回廊があるところ。
気になるので調査中。

教会

E5 0:19
マリオ・カラスが通っている教会。
調査中。

マリオはサンチェス(素描を盗んだ容疑者)に関連を匂わせるメールを送った送信元。

《愚者の船》《寓意》《守銭奴の死》

事件解明の鍵となるボスの三連祭壇画。
中央が失われています。

from Wikimedia commons
(public domain)
ラスト

まさかこのドラマでこんなに盛り上がるとは。
第2シーズンの見事な締めくくりでした♪

全ての絵を拒んだ

S3E1 Un fantôme à l’Opéra

放送日:France2 2019/10/25、AXNミステリー 未放映
登場画家:
事件:

S3E2 La Malédiction d’Osiris

放送日:France2 2019/11/01、AXNミステリー 未放映
登場画家:
事件:

S4

本国では3話で放送予定。

資料

更新履歴

  • 2020/03/10 「クロ・リュセ城」にmilouさんの画像を追記
  • 2020/03/09 新規アップ

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