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『ローラーボール』 Rollerball (1975)

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作品メモ

『アメリカ上陸作戦』(66)『シンシナティ・キッド』(65)『月の輝く夜に』(87)『オンリー・ユー』(94)とノーマン・ジュイソン監督作を見てきましたが、このエントリーでいったんおしまい。

ローラーボールという過激な競技に熱狂する近未来社会を描いたSF映画で、同監督のフィルモグラフィ的にはとても珍しいジャンルとなっています。

まあ70年代と言えば、環境問題、人口爆発、オイルショック、資源枯渇、成長の限界など暗いネタが勢揃い。当時のSF映画も、エントリー済みの『赤ちゃんよ永遠に』(72)『時計じかけのオレンジ』(71)、それ以外でも『ソイレント・グリーン』(73)などダークで夢もチボーもないアンチユートピアものがちらほら目に付きます。
この『ローラーボール』は、個々の国家よりも強大になったコングロマリットが全地球を支配するという世界観を持っていて、これはけっこう目新しかったのではないでしょうか。
それにより世界に繁栄と安定がもたらされているわけですが、市民はより暴力的なスポーツに興じることでゆがんだ欲望を発散し、富裕層は銃をバンバンぶっ放して木々を燃やして喜ぶという退廃が蔓延。しかもその裏では大企業の手によって密かに情報統制が進行しているという、世の中だいぶ病んでしまった状況となっています。
その中にあって、ひとりの人気選手が企業側の思惑で引退を勧められ、それをきっかけに自分のあり方や世の中の仕組みに疑問を抱いていく……というのがメインのお話です。

出演は……
ヒューストン・チームの花形選手ジョナサンにジェームズ・カーン。
チームのオーナーでエネルギー部門のトップ、バーソロミューにジョン・ハウスマン。『ペーパーチェイス』(73)の教授役と言い、こういう役柄にぴったりですね。
ジョナサンの友人クレータスにモーゼス・ガン。
ジョナサンの同僚ムーンパイにジョン・ベック。

製作監督ノーマン・ジュイソン、撮影ダグラス・スローカム。

音楽

音楽はなんとアンドレ・プレヴィン。全体にクラシックが使われています。
DVDの監督コメンタリーによれば、ポップスだと時が経つと古くさくなるからだとか。

幕開けはバッハの「トッカータとフーガ ニ短調」♪
アルバートホールの大パイプオルガンとのこと。その他のオーケストラの曲はロンドン交響楽団。

リメイク

2002年の『ローラーボール』はリメイクで、邦題原題ともに75年版と同じ。

ビジュアル的にははるかに進化していますが、個人的にはやはり75年の方に軍配。

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ロケ地

IMDbでは、

BMW Building, Munich, Bavaria, Germany
Olympic Basketball-Hall, Munich, Bavaria, Germany
Pinewood Studios, Iver Heath, Buckinghamshire, England, UK (studio)
Frankfurt, Germany
Berlin, Germany
Munich, Bavaria, Germany
Fawley Power Station, Fawley, Hampshire, England, UK (world control centre)
Palace of Nations, Geneva, Canton de Genève, Switzerland (location)

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

競技場

DVDの監督コメンタリーでミュンヘンのオリンピック競技場跡に作ったセットと話しています。
IMDbのリストのこちら↓

Olympic Basketball-Hall, Munich, Bavaria, Germany

Wikipediaでも『ローラーボール』の撮影に使われたことが書かれています。

Rudi-Sedlmayer-HalleW

0:18頃、試合が終わって外に出たとき外壁が一部写りますが、今見られるものと同じようです。

というわけで、内部も外観もこちらと思われます。

競技の設定ですが、ローラーゲームのようなオーバルではなく、円形ですね。
監督コメンタリーに拠れば、競技ルールをしっかり設定して、それに則りスタントマンに実際に競技させて撮影しているとのこと。
昔見たときはローラーゲーム+アメリカンフットボールという印象でしたが、オートレースもしっかり入っていますね。あと、投げ込まれるボールがルーレットの球みたい。

本社ビル

0:18
これは一目瞭然、ミュンヘンにあるBMWの本社ビル。

これまでのエントリーで言えば、『華麗なる相続人』で登場しています。

娯楽センター

0:35

字幕では娯楽センター(台詞ではluxury centers)。

外観は、BMW本社ビルに隣接する、お椀のような形をしたミュージアム(上掲画像右)。

BMW博物館W

内部もこちらのようですね。

東京

後半、かなり悩ましい日本が登場しますが、これもまた一興でしょうか。

黄色い一群が選手を歓迎する場面は、監督コメンタリーに拠ればミュンヘンで撮影。「ドイツ留学中のアジア人を総動員した」とか話していますが、日本人はほぼいない感じですね 😂
対する東京ボンバーズならぬ東京チームも、アジア系のスポーツ選手やスタントマンを集めたとのこと。
東京チームの社歌もアンドレ・プレヴィン作曲とのことですが、なんだかこそばゆいメロディライン♪
医者役で、ピンク・パンサー・シリーズのケイトーでおなじみ、バート・クォークが登場しています。

図書館

1:30
ショスタコーヴィチの「交響曲第5番」が鳴り響く中、空撮で捉えられるのは、ジュネーブにあるこちら↓

国際連合事務局ビルW

最近のエントリーでは『流転の地球』で登場。

エレベータから降りて入っていくコントロールセンターは、IMDbのリストにあるこちら↓の発電所のもの。

Fawley Power StationW, Fawley, Hampshire, England, UK (world control centre)

内部の画像はたとえばこちら↓ なんだかこれカッコイイですね 😃

https://www.powerstations.uk/fawley-power-station-admin-and-control-block/

さらに奥へ進んだ部屋で、液体コンピューターをアナログテレビのように叩いて言うこと聞かせようとした司書は、ラルフ・リチャードソン。

資料

更新履歴

  • 2020/12/30 新規アップ

コメント

  1. Chang Chang より:

    「ローラーボール」、私の人生で初めて繰り返して鑑賞した作品です。初めて観てからこの世界観の虜になり、恐らく200回以上観ています。ソフトも、テープ、LD(輸入盤)、DVD、Blu-rayと購入し、思い出す度鑑賞しています。私のNo.1は、間違いなくこの「ローラーボール」です。

  2. 居ながらシネマ より:

    Chang Changさん、コメントありがとうございます。
    200回以上鑑賞で、メディアもずらり揃えているとはすごいですね。
    好きな映画だとついつい買い揃えてしまうんですよね。でもって、放送されるたびにリアルタイムでテレビの前で正座して見たりして。
    当時暗い未来を描いたSF映画が軒を連ねていましたが、私もこの映画は好物の一本でしっかり記憶に残っています。
    Blu-rayが出ているの知りませんでしたが、画質が良いのならポチってみたいですね。

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