『非行少女』 (1963)

非行少女 [DVD]

作品メモ

最近『旅の重さ』に色々コメントいただいて、時折映画を見返してはロケ地をチェックし直しているところです。
海岸や砂浜はどうしても似通っていて、なかなか特定が難しいですね。

「海と少女」となると、こちらの映画を思い出します。
さらに10年近く前の映画で、時代も語り口もだいぶ趣が異なりますが、キラっとした若手女優さんの魅力に触れられる喜びは共通するものがあるような。

金沢を舞台に、家庭環境が厳しい孤独な15歳の少女と、故郷に戻ってきた21歳の若者が、しっかりと現実に向き合って生きていこうとする姿を描きます。

「非行少女」北若枝に和泉雅子。父親は飲んだくれ、継母とはまったくソリが合わず、学校へも行かないで盗みを働いては酒を飲むというお先真っ暗な状態。
幼なじみ沢田三郎に浜田光夫。東京の電機メーカーに就職していましたが、「大手の16インチ攻勢に押されていっぺんにつぶれた」ため帰郷。失業保険をもらいながら就職先を探しているという設定。

このキャスティングだけ見るとありがちな日活青春ものですが、特に和泉雅子さんはとても人気若手女優とは思えないキャラ設定と演技で、女優さんとして一皮どころか、むけすぎるぐらいむけてしまい、後に北極点に到達するガッツはこのころ培われたのではないかと思ってしまうほど。
代表作の一本でしょうね。

若枝の両親に浜村純と佐々木すみ江(継母)。
三郎の両親兄夫婦に小池朝雄と香月美奈子。
他に、 北林谷栄、沢村貞子、小沢昭一等々。

監督浦山桐郎。前年の『キューポラのある町』に続く第2作。
原作森山啓、脚色石堂淑朗・浦山桐郎、撮影高村倉太郎、音楽黛敏郎。

内灘夫人 (新潮文庫)

場所柄、物語の背景にかつての内灘闘争Wが影を投げかけています。
私的にはこの出来事を知ったのは、映画ではなく五木寛之さんの小説『内灘夫人』によってでした。

ロケ地

舞台は金沢。
今ではDVDが出たりネット配信で見ることができるようですが、今回は昔のVHSにてチェック。
ぼそぼそ画質につき、細かいところはわかりませんでした。

市電が走る道

背後に見えるレトロな背の高い建物は、旧金沢市役所庁舎。
場所は現在と同じですが、今のように奥まっていなくて、市電が走る通りに面するように建っていたようです。

Photo from Wikimedia Commons (public domain)

おそらく映画で画面左端にぎりぎり見えている2階建ての建物が、SVではリフォーム中で、現在ショップとなっているこちら。

映画館

階段を上ったところにある映画館。
『黄色いリボン』を絶讃上映中。

おそらく香林坊交差点近くのこのあたりと思われます。

現在は映画に登場したような階段は見られませんが、昔の空撮画像を見ると現在のKOHRINBO109の真ん中を南北に延びる形で通りがあったことがわかります

階段への入口はこのあたりにあったようです。 今のマップでは、KOHRINBO109がど~んと建っていて、まったく当時の面影はありません。

昔の空撮ではこういった感じ。

地理院地図GSI Mapsで中央の十字線で示した位置が、階段部分。
十字線が邪魔なときは、右上の表示 → 中心位置の十字線 をOFFにしてください。

空撮画像だけではわかりづらいですが、金沢くらしの博物館のサイトで、当時の映画館の位置を知ることができました。

これと当時の空撮画像を組み合わせれば、建物を完全に特定できますね。

当時の映画館マップで、スカラ座とある建物のすぐ西側が、三郎がのぼっている階段。
上ったあたりの左手に大きな神社があったようですが、映画撮影時には無くなっていて、空き地となっています。
三郎が入ろうとした劇場は、階段上って右手のスカラ座。
背後にお稲荷さんが見えますが、こちら↓の「昭和34年6月 香林坊のお稲荷さん」。

スカラ座から飛び出してきた若枝は、まっすぐ北へ走っていきます。行く手奥に見える横向きの建物が松竹座。
捕まってからまれていたのがその手前の空き地で、この時カメラは南東向き。

背後にナショナルや三菱テレビの屋上広告が見えますが、香林坊交差点近辺の昭和の画像を探したところ当時立っていたのを確認できました。
こちら↓の最下段「昭和40年8月近代化された香林坊・片町」

松竹座とその向かい(東側)の金沢大映の位置には、現在金沢エクセルホテル東急が建っています(KOHRINBO109の北側)。

映画館の後、三郎と若枝が話をしたところ。

犀川大橋W

By 金沢市(金沢市画像オープンデータ)
via Wikimedia Commons (CC BY 2.1JP)

上の画像はWikimedia Commonsの画像ですが、作者が「金沢市」となっているのは記載ミスではありません。
ソースは「金沢市画像オープンデータ」(Open Image Data of Kanazawa City)というサイトで、URLはこちら。

http://open-imagedata.city.kanazawa.ishikawa.jp/

ライセンスに従えばそこに集められている金沢市由来の様々な画像を使うことができるという、うちのようなサイトにとってはたいへんありがたいシステムとなっています。
ただ同データシステムでは個別の画像のURLを取得できず、拙サイトでの「BY(作者)」の表記に含めることは出来ません。
そのためWikimedia CommonsのURLを代わりに使うことにしました。
以下同様となりますので、ご了承ください。

なんでもインターネットというのは味気ないかもしれませんが、ウェブにアップするだけで世界中に情報を発信できるわけですから、こういった試みはぜひぜひいろいろなところでやっていただけたらと思います。

兼六園

続いてやってきたのは、兼六園。

階段

2人が楽しそうに上ってきたのは、おそらくこちらの階段。

上のSVで左を向くと、映画の背景に写っていた城壁が見えます。

池の橋

丸越デパートで買ってもらったスカートを穿いて若枝がくるりとターンするところ。

ガイドさんの説明によると、「1枚1枚が亀の甲の形をしているので亀甲橋(きっこうばし)と呼ばれています 」とのことですが、兼六園のサイトではこう案内されています。

雁行橋(がんこうばし)

ガイドさんは「ここを渡ると長生きできる」とアピールしていましたが、残念ながらサイトの説明によると、現在石の摩耗のため通行できないとのことです。
兼六園は行っているはずなのに、これ気づきませんでした。長生きできたかもしれないのに~

鉄橋

北陸鉄道浅野川線。下は大野川。

海岸近くの駅

「かほくがた」という車内アナウンス。
現在の浅野川線にはありません。

砂浜

若枝が勝手に使っているのは米軍射爆場跡の弾薬庫。
現在は全て撤去されていますが、内灘海水浴場のだいたいこのあたりにありました。

昔の空撮写真でなんとか確認可能です。

この弾薬庫は次にエントリー予定の『あらかじめ失われた恋人たちよ』(1971)でも登場していました。
あと確か上述『内灘夫人』でも。

0:16頃、浜辺を歩く三郎の後ろに2階建ての小さい建物が見えますが、試射場指揮所だったところ。
こちらは今でも内灘海水浴場にあり、海水浴の監視台として使われているようです。
すぐそばに海の家が並んでいて、試射場指揮所であったことなどぱっと見には全然わかりません。

ワンピースの水着姿で海に入りはしゃいでいる和泉雅子さん、本当に可愛らしいしみずみずしいですね。

着弾地観測所(参考)

映画には登場しませんが、試射場の名残としては、この他着弾観測所というものが現存しています。
様々な方がネットにアップしているブログや画像を拝見しますと、少なくとも2箇所あるようです。

・その1(立ち入り可能。手前に駐車スペース有り)

・その2(雑草に埋もれている)

神社

0:22頃
祭りで賑わう神社。
狛犬がやたら高いところにありますね 🙂
調査中

校門

0:25
調査中

デパート

金沢駅

1:35。
今と外観が全く異なります。

現在↓

昔↓

ラストの駅

加賀笠間駅W

By Rsa via Wikimedia Commons
(CC BY-SA 3.0)

まさに三郎が見送るショットと同じ

資料

ロケ地マップ

石川県を舞台にした少し昔の映画のロケ地マップ

更新履歴

  • 2014-11-16 新規アップ

『非行少女』 (1963)” への4件のコメント

  1. 浦山桐郎・和泉雅子の全力投球の名作ですね。
    金沢は観光絵はがき的にロケ地になった映画が多いですが、この映画のように全編金沢が舞台というのは珍しい。
    この映画では生活のにおいのする金沢巡りができます。

    お稲荷さんのシーンはセットと組み合わせなのかと思っていたら 「香林坊のお稲荷さん」として実際にあったのですね。

    犀川大橋は映画ロケ当時のままのようですね。 立派な橋ですね。

    内灘海水浴場の弾薬庫もセットと思っていたら、『あらかじめ失われた恋人たちよ』にも登場しているぐらいだから、当時はまだ実在していたのですね。
    ここの海や浜辺は美しいですね。行ってみたくなりました。

    三郎が次の駅まで見送ると言った加賀笠間駅は、実際は金沢から4番目ぐらいの駅ですね。
    写真が映画と同じショットで、ほとんど変わっていないようですね。

    「三郎の両親に小池朝雄と香月美奈子」の記述がありましたが、両親ではなく兄とその嫁ではないでしょうか。

  2. 赤松さん、兄夫婦の誤りでした(単に上をコピペしてしまったようです)。直しておきました。こういうツッコミはとても有り難いので、ぜひこれからもお願いします。
    この時代の金沢市、さぞかし映画街も活気があったことでしょうね。
    当時にさかのぼって、金沢市民と一緒にこの映画を見てみたかった気がします。

  3. 非行少女は今でも時々見て懐かしんでいる団塊の世代のじいさんです。

    金沢の武蔵が辻付近で生まれ育ったものとしては、この映画のロケ地はどこも想い出深い場所ばかりです。
    加賀笠間駅は当時金沢駅から三つ目の駅で昭和24年から30年まで父が助役として勤務していました。
    そのため私もその間金沢の実家を離れ駅の官舎住まいでした。当時は加賀笠間駅には駅長、助役、保線区長と三つの官舎がありました。駅正面に向かって右にありました。

    映画館も懐かしいです。
    成人してからも香林坊、片町界隈にはお世話になりました。いえ、今でもお世話になっております。

    この映画は私の宝物です。

  4. 石鉄さん、コメントありがとうございます。
    撮影場所にご縁が深い方からコメントいただき、とても嬉しいです。
    なんとあの駅のすぐ側で、大きくなられたとは。
    そういったいきさつがおありでしたら、本当にこの映画は石鉄さんにとってかけがえのない大切な作品となっていることでしょうね。

    私は金沢は観光でしか伺っていませんし、香林坊周辺の再開発前の状態は知りませんでしたので、映画館の場面は市内のどこなのか全く見当が付かず、逆に調べていてとても楽しめました。
    その時いろいろなマップをかなりしつこく見ていたので、後でブラタモリで金沢が取上げられたとき、自然に脳裏にマップが浮かんでしまいました。

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