『紳士泥棒 大ゴールデン作戦』 Caccia alla volpe (1966)

After the Fox [VHS] [Import]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『スカンポロ』同様、イスキア島が舞台となるコメディ。
『太陽がいっぱい』の6年後の作品で、『スカンポロ』や『太陽がいっぱい』でも写っていたイスキア島南部の岩山付近が、映画後半の主な撮影地となっています。

イタリア・イギリス合作映画で、イタリア語原題は「キツネ狩り」。英題”After the Fox”。
フォックスと呼ばれる詐欺師が、エジプトで盗まれた金塊をイタリアに持ち込む仕事を請け負い、小さな港町で映画撮影を装って作戦を遂行するという軽妙な作品です。

主演のフォックスことアルドーにピーター・セラーズ。クルーゾー警部で大当たりしてすでにスターの仲間入り。フィルモグラフィー的には『何かいいことないか子猫チャン』やら『007カジノ・ロワイヤル』やらの時期で、いよいよノリに乗ってきた頃となります。
インチキな映画撮影にキャスティングされた往年のスター、トニー・パウエル役に、リアルでも往年のスター、ヴィクター・マチュア。実際5年ぶりの映画出演のようです。
そのマネージャー、ハリーにマーティン・バルサム。
映画スターを夢見るアルドーの妹ジーナ・ロマンティカにブリット・エクランド。ピーター・セラーズの2度目の奥さんですね。
冒頭カイロで金塊を盗んだオクラにエイキム・タミロフ(Akim Tamiroff)。
大胆なポーズでその作戦を成功に導いたグラマナスな女性は、マリア・グラツィア・ブッチェラ(Maria Grazia Buccella)W

監督ヴィットリオ・デ・シーカ、脚本ニール・サイモン、音楽バート・バカラックとスタッフも豪華。ニール・サイモンはこれが劇場用映画の初仕事。

はるか昔、デ・シーカも知らなかった頃に初めてテレビで観たとき、この中で顔と名前が一致したのは、ピーター・セラーズとヴィクター・マチュアぐらいでした。
ヴィクター・マチュアはもちろん『荒野の決闘』で知っていたわけですが、この映画での扱われ方にはびっくりしたものです。一度淀川長治さんの解説付で見た記憶もありますが、淀川さんもヴィクター・マチュアについてうれしそうに解説されていました。
今回見返してみてもめちゃくちゃ可笑い役どころで、『MRビーン・カンヌで大迷惑?!』のウィレム・デフォーや、『ザ・マジックアワー』の佐藤浩市さんを連想してしまいました。

今から見るとなると、日本ではDVDは出ていないようですし、VHSも入手が難しくなっているかと思います。
とりあえずは動画サイトあたりでお試しする他ないかもしれません。

After The Fox: Original MGM Motion Picture Soundtrack [Enhanced CD] 本編は難しいかもしれませんが、サントラは今でも入手可能。

こちらはタイトルですが、赤い狐といい、アニメーションといい、どうしても某ピンクパンサーがお役に立っているように見えてしまいます。
歌はピーター・セラーズとザ・ホリーズ。

   
 
 

ロケ地

IMDbでは、

Ischia Island, Naples, Campania, Italy
Rome, Lazio, Italy
Spoleto, Perugia, Umbria, Italy

いつものように特に資料は用意せず、このリストとウェブマップをたよりに画面とにらめっこでチェックしていきました。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

OP

ホンモノのカイロ市内。
最初に捉えられるのは、Mosque of Muhammad Ali Wを北西側から

右にゆっくりパンしてモスクの塔が大きくフレームインすると、そこからカメラが下がっていきますが、車に金塊を積んでいる場所はこちら。

ピラミッド

金塊を積んだ車が走るのはちょうどこのあたり。

なんだか世界中どこでも当たり前のようにストリートビューが使えるようになってきましたね。

刑務所

SpoletoW, Perugia, Umbria, Italy
Rocca AlbornozianaW

By Torsten Henning via Wikimedia Commons
(public domain)

Spoletoはローマの北100kmほどのところ。
これまでのエントリーで言えば『ラ・カリファ』の舞台になっています。
首尾良く脱獄に成功したアルドーが車で逃げるショットで、『ラ・カリファ』でも登場した大きな水道橋が背景に合成されています。

By Torsten Henning via Wikimedia Commons
(public domain)

トンネル

その後車はいつのまにかローマ市内に入りコロッセオを背景に走ったりしています。
進入していったトンネルはこちら。

実家のある広場

やってきたのはおそらくこちらの広場。

Campo de’ FioriW

映画でもお店が広場を埋め尽くしていましたが、今でも同じようですね。
最初のショットはカメラ東南向き。

By Fabiola Leyton
via Wikimedia Commons
(public domain)

中央に建つ像は、ジョルダーノ・ブルーノ。
関ヶ原の戦いの年に火刑となっています。

アルドーたちが入っていった建物は広場の北西側、噴水の側にありますが、その後実家の室内からのショットは広場の南側の建物から写されています。
この建物は窓が異様に大きく作りが変わっているので、セットかもしれません。
あったとおぼしき位置はこのあたり。

この部屋、IMDbのTriviaではわざわざ「『ぼくの伯父さん』の住まいとは別のもの」と書かれています。

トニー・パウエル登場

『太陽がいっぱい』でも登場したエクセルシオール。

映画館

かかっていたトニー・パウエルの映画は『妻ゆえに』Easy Living(1949年・未公開)のようです。
場所は調査中。

デ・シーカ組撮影中

ピラミッドの前で”FLIGHT FROM EGYPT”を鋭意撮影中のヴィットリオ・デ・シーカ組。
ご満悦状態で指揮をとるのは、デ・シーカ監督本人。

場所ですが、チネチッタ周辺の空き地とかそんなところではないでしょうか。
参考までにチネチッタのあたりのマップ。

作戦開始

舞台となる漁村は”SEVALIO”(セバリオ)という設定。
撮影地はイスキア島南部。

“THE GOLD OF CAIRO”と書かれた車がインチキ撮影隊を乗せてやってくる崖っぷちの道は、このあたり。
双眼鏡の眺めはそこからカメラ西向きで、写っているのは、『太陽がいっぱい』のラストや『スカンポロ』で登場した岩山。
このあたり一帯はマップではSant’Angeloとなっていますが、そこが映画後半の主なロケ地(=インチキ撮影隊のロケ地)。

By Robdav69 via Wikimedia Commons
(public domain)

これは車を停めた場所を含めた俯瞰画像ですが、この画像の左下、道路がヘアピンカーブを描いているあたが車を停めた場所(=上記ストリートビューの位置)と思われます。

漁村

その後アルドーたちがやってきて村人や警官をうまくだまし、村人総出でトニー・パウエルを大歓迎、順調に(?)撮影が行われたのは、Sant’Angeloの港と浜辺。

By feo90 via flickr (CC BY 2.0)

この画像はカメラ北向き。
『スカンポロ』の中ほどでも、デートの場面でこのアングルが使われていていました。

上の画像のカメラ位置からぐるりと振り返ると下のストリートビューのような眺めになり、これが『太陽がいっぱい』のラストで見えていた岩山。
『紳士泥棒』でもトニー・パウエルの歓迎式典?で、ひな壇の背景に大きく写っています。


大きな地図で見る

By 2benny via flickr
(CC BY 2.0)

『太陽がいっぱい』では島のように見えますが、実はこんなふうに陸続きです。
クライマックスの金塊バケツリレーのショットは、この向き。

翌朝

張り切った村人たちがいっせいに飛び出してくる朝。
屋根の部分に時計がある建物がわかりづらいですが、SVではおそらくこちら。時計は見当たりません。

時計がアップになるショットで下に”MUNICIPIO”と書かれていますが、それを含めて屋根の部分は撮影用にこしらえたものではないかという気もします。

その後の撮影もこの浜が中心。
長いテーブルを挟んだ撮影場面は、カメラ西向き。

ロケ地マップ

イスキア島で撮影された映画をまとめて。
島を中心にしていますが、ズームアウトすると他の地域も見られます。
大きな地図を開いた方がご覧になりやすいかもしれません。


より大きな地図で イスキア島 を表示

資料

関連記事

バート・バカラック

更新履歴

  • 2014/09/27 「関連記事」追加
  • 2014/09/24 「ロケ地マップ」追加
  • 2014/09/17 新規アップ

『紳士泥棒 大ゴールデン作戦』 Caccia alla volpe (1966)” への2件のコメント

  1. よくぞ、この映画を見つけてくれました。
    まず第一に、この映画は喜劇として第一級品で楽しめること。「自転車泥棒」「終着駅」「ひまわり」のデ・シーカ監督がこんな作品を撮っていたとは。

    キャストも凄い。 ピーター・セラーズ、ヴィクター・マチュア(ハリウッド映画史上 最高の二枚目。日本映画で例えたら長谷川一夫ですね。)、マーティン・バルサム(勿論、「サイコ」探偵ですね)など。
    INAGARA様のサイトでは「大胆なポーズでその作戦を成功に導いたグラマナスな女性 Maria Grazia Buccella」まで紹介してあります。この冒頭シーンは本当に「ハッァ!」としますね。
    ストーリーも楽しめますので、是非ご覧ください。

    「太陽がいっぱい」ファンとしては後半のイスキア・ロケが興味深い。あの岩山の近くでこれほど長期にわたってロケを敢行していた映画があったとは信じられない。普通のイスキア・ロケならイスキア・ポンテやアラゴン城などの名所を必ず含めるのに、それらにはまったく目も触れず、S, Angelo地域だけで撮影しているのも珍しい。

    あの岩山は東側から撮った風景が一番魅力的(つまり「太陽がいっぱい」のラストシーン、この映画にもおなじ構図が出てきます)。長いテーブルを挟んだ撮影場面などストリートビューで見ないとどこで撮影されているのか分からなかった。

    とにかくありがとうございました。

  2. 赤松さん、コメントありがとうございます。
    この映画自体は昔から親しんでいましたが、後半のロケ地がイスキア島だとはIMDbをチェックして初めて知りました。意識しないとわからないものですね。
    おっしゃる通り、あの地域だけに集中しているのがまた潔いですね。

    ヴィクター・マチュアは本文で書いた『荒野の決闘』や歴史スペクタクルものでとても印象深いものがあります。スター特有の濃い感じがとても良いですよね。なるほど長谷川一夫さんですか。
    昔の俳優さんは洋の東西を問わずお顔が大きいですね。ハンフリー・ボガートなんて、片岡千恵蔵さん並。

    イスキア島がロケ地の映画、手持ちではあと1本ありますので、近いうちにアップする予定です。

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