目次
※12年7月追記
こちらはフランス映画『夕なぎ』(1972)についての記事です。アメリカ映画『夕なぎ』(1968)については別に記事がありますのでそちらをどうぞ。 → 『夕なぎ』 Boom (1968))
作品メモ
ひとつ前のエントリー『夕なぎ』に続けて『夕なぎ』をもう1本。
こちらは1972年のフランス映画。
原題は「セザールとロザリー」で、登場人物の名前です。
バツいち娘ありのロザリー(ロミー・シュナイダー)とそのお相手で精力的に解体業を営むセザール(イブ・モンタン)。
順調だった2人ですが、ロザリーの昔の恋人ダビッド(サミー・フレイ)が突然現れてから雲行きがあやしくなり……
と、つまりはひとりの女をめぐる2人の男というありがちな物語となるわけですが、こういう設定でドロドロにならないのがフランス映画の良いところ。
この3人だけでなく周囲も、元彼と久々に再会したのがロザリーの母親の3回目の結婚式だったり、離婚したがっていた妹には恋人がいたり……といった具合にさすがおフランス、恋愛に関しては天衣無縫自由奔放で、この大らかさは男女のことがいちいちスキャンダルになる国から見ると別世界ファンタジーものに近い感があります。
三角関係を描いていながら原題が2人の名前って変かもしれませんが、大人の女性としてのロミー・シュナイダーの魅力や、強力なライバルが現れて動揺しまくるイブ・モンタンの子供同然の可愛いらしさは特筆モノで、逆に特にとんがったところのないイケメンコミックアーティストの方はやや霞がち。となると原題がこの2人というのは納得かもしれません(そういえば『突然炎のごとく』も原題は男2人の名前「ジュールとジム」でしたね)。
出演は他に、元夫アントワーヌにウンベルト・オルシーニ、母親にエヴァ・マリー・ミネケ。
イザベル・ユペールの名前もありますが、どこに出てましたっけ?
またエンドクレジットに、
avec la voix de Michel Piccoli
とありまして、ナレーターはミシェル・ピッコリのようです。
ミシェル・ピッコリはロミー・シュナイダーと数多く共演していたような気がしますが、以後ロミー・シュナイダーものを何本か扱っていく予定ですので、その中でチェックしていこうと思います。
監督はロミーが信頼を寄せていたクロード・ソーテ。
彼女の出演作のうち同監督作は年代順に、『すぎ去りし日の…』(1970)、『はめる/狙われた獲物』(1971)、『夕なぎ』(1972)
、『ありふれた愛のストーリー』(1978)。
撮影は最近のエントリーで見てきた『若草の萌えるころ』、『オー!』のジャン・ボフェティ。
音楽フィリップ・サルド。
この『夕なぎ』、手元にあるのはVHS版ですがもちろんすでに廃盤。DVDも出ていたようですが、こちらも現在プレミア価格。
となると日本語字幕付きをこれから見つけるのは苦労しそうです。
字幕にこだわらなければ、フランス盤DVDは普通に入手できるようですし、今チェックしたらYouなんとかにも全編アップされてしまっています(ポルトガル語字幕付き)。
これがまた手持ちのVHSよりずっと画質が良いので、なんだかちょっとorzですね……。
※15/3/31追記
昨年(2014年)12月に再発売され、お求めやすくなったようです。
内容は未確認。
お役に立つ
魅力的な女性をめぐってリッチな中年とイケメンの男が織りなす不思議な恋愛のハーモニー。
こういった設定は古今東西いろいろありそうですが、中でもこのドラマにはかなりお役に立っているような気がするのですが、どうでしょう??
宮沢りえさん、田村正和さん、木村拓哉さんという組み合わせでした。
データベースコード
前のエントリーでも書きましたが、1968年と1972年の『夕なぎ』はallcinemaのコードが「23990」と「23991」でなぜか並んでいます。
データベースのコードはユニークであればなんでも良いのでどーでもいいことではありますが、いっときコードを直接入力して何が出てくるか楽しんでいたことがありました。
allcinemaの作品コードで一番若いのが、「2」で『秘められた過去』(1955・未)。
IMDbの作品コードで一番若いのは、「tt0000001」で“Carmencita (1894)”というわずか1分の作品。
IMDbの人物コードでは、フレッド・アステアが堂々「nm0000001」を獲得。
日本人では黒沢明監督が「nm0000041」で二桁入り。さすが世界のクロサワです。
ロケ地
IMDbでは、
Beaugency, Loiret, France (first scene, the painter’s house)
Bords de la Loire, France
Grenoble, Isère, France
Jetée Jacobsen, Noirmoutier-en-l’Île, Île de Noirmoutier, Vendée, France
Le Grand-Viel, Île de Noirmoutier, Vendée, France
Mairie, Garches, Hauts-de-Seine, France (wedding sequence)
Paris, France
Plage du Mardi-Gras, Île de Noirmoutier, Vendée, France
Sète, Hérault, France
Épernay, Marne, France (locomotive depot scene)
アントワーヌのアトリエ
冒頭ダビッドがアントワーヌを訪れるところ。
IMDbのリストにあるボージャンシー(Beaugency)W。
ロワール川の西岸、Pont de BeaugencyWの南側。
「愛の日本」の絵の具箱。
「珍しい土産だな」と言ってますが、確かに珍しいです……
母親の結婚式
Mairie, Garches, Hauts-de-Seine, France (wedding sequence)
操車場
蒸気機関車の前で商談を進めるところ。
セリフにもあるようにエペルネ(Épernay)Wと思われますが、ターンテーブル型の操車場は空撮画像では見つかりませんでした。もうなくなってしまったのかもしれません。
港町
セザールのもとを離れたロザリーがダビッドと向かった街。
セリフで綴りまで言ってくれたように、南仏のセット(Sète)W。
ロザリーが働いていたお店までは確認できませんでした。
「ベジェール通り沿いの岩場」と教えられてセザールがやってきた浜辺もこの近郊と思われますが、通りの名前では見つけることはできませんでした。日本盤DVDのジャケットはこの場面のロミー・シュナイダーなので、なんとか見つけるべく引き続き調査中。
海岸
セザールが海辺の家を買ったところ。
ロザリーとカルラが少女時代に夏を過ごした想い出の家という設定。
「ヴァンデ」と言っていますが、IMDbのリストで該当するのはこれら。
Jetée Jacobsen, Noirmoutier-en-l’Île, Île de Noirmoutier, Vendée, France
Le Grand-Viel, Île de Noirmoutier, Vendée, France
Plage du Mardi-Gras, Île de Noirmoutier, Vendée, France
つまり、フランス西部ヴァンデ地方のノワールムティエ島W。
マップ等の画像と照合してみたところ、家は島の北部のこのあたりであることがわかりました。
個人宅かもしれませんので具体的な建物は示しませんが、屋根の形から見る限り今でもちゃんとあるようです。
空港
エンドクレジットに
L’Aeroport de Paris – Le Bourget
とありますので、ル・ブルジェ空港Wと思われます。
資料
関連記事
ロミー・シュナイダー出演作
- 『すぎ去りし日の…』 Les choses de la vie (1970)
- 『サン・スーシの女』 La passante du Sans-Souci (1982)
- 『スカンポロ』 Scampolo (1958)
- 『ラ・カリファ』 La califfa (1970)
- 『何かいいことないか子猫チャン』 What’s New Pussycat (1965)
- 『夕なぎ』 César et Rosalie (1972)
- 『太陽がいっぱい』 Plein Soleil (1960)
- 『太陽が知っている』 La piscine (1969)
- 『恋ひとすじに』 Christine (1958)
- 『暗殺者のメロディ』 The Assassination of Trotsky (1972)
- 『華麗なる相続人』 Bloodline (1979)
- 『追想』 Le vieux fusil (1975)
- 『離愁』 Le train (1973)
更新履歴
- 2015/03/31 「作品メモ」DVD情報追記
コメント
イザベル・ユペールは結構出番のあるMarite役で最初の台詞は
8分過ぎぐらいの結婚式でDavidに言う“Bonjour David”
18歳という設定でほぼ実年齢だが背が低いからか幼く見える。
ちなみにヴィル・ダヴレイ育ちだって。
操車場はここ?
http://copainsdavant.linternaute.com/photo_groupe/3877230/60219/le-depot-de-la-plaine_sncf/
パリ郊外サンドニの
Le depot de La Plaine ですが
すでに消滅しているし、なぜか画像がほとんどなく
あまり映画でも明確でないので確認できないのだが
クレジットThanks の
Compagnie Française de Ferrailles の施設なので間違いないでしょう。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Compagnie_des_chemins_de_fer_du_Nord
間違えた。
操車場は正解かもしれないが
Thanks の
Compagnie Francaise des Ferrailles
は解体業者でした。
CFF Recycling, Compagnie Francaise des Ferrailles, est une entreprise francaise specialisee dans le recyclage de materiaux usages. … Categories : Entreprise fondee en 1956
imdb が間違いですが
検索するときに冠詞の s を抜かして
Compagnie Francaise de Ferrailles
で2番目に鉄道会社があったので早合点
1番目で調べるべきでした…
いくつかの操車場
何となく似ているDepot
http://fr.topic-topos.com/rotonde-villeneuve-saint-georges
しかし72年ならSFが主流ではないはずなので博物館かも
http://www.la-seine-et-marne.com/news/musee-vivant-chemin-fer-longueville.html
ほかには
http://www.cotecaen.fr/15655/decouvrez-le-chemin-de-fer-miniature-de-clecy/
http://www.photo-aerienne-france.fr/zoom-photo-aerienne-soustheme-gares-tgv-train-voies-ferrees-nimes-149-267-8245.htm
http://forum.e-train.fr/viewtopic.php?f=2&t=24143&start=1290
もちろんSFではなくSLです
milouさん、イザベル・ユペール確認しました。
若いというか幼いというか、この状態では彼女だと全然わかりませんでした……
操車場のチェックもすみません。
あまりIMDbの資料にこだわらない方がいいかもしれませんね。
今夜もう少し詳しく見てみます。
こういうとき映画をハードディスクに入れておくとすぐに確認できて便利ですが、いかんせんソースがVHSなのでかなりぼそぼその画質。一度クリアな映像で確認したいです。