目次
作品メモ
2つ前のエントリー『質屋』を書いていてこちらを思い出しました。
背景が少し似ているだけで、物語は全然異なりますが。
第2次大戦下のフランスで、妻子をドイツ兵に殺された男が銃を手にとり、ひとりまたひとりと仕留めていき、復讐を遂げていく姿を描きます。
原題の«vieux fusil»は「古い銃」の意。
復讐の合間に、かけがえのない妻子との思い出がくりかえし男の脳裏に去来します。
それがおそらく邦題につながっているのかと思いますが、この手の漢字2文字のタイトルはやや安易。『離愁』でも書きましたが、あっさり他とごっちゃになってしまいます。
とりあえずはイングリッド・バーグマン&ユル・ブリンナーの『追想』(1956)がぱっと浮かびますが、偶然にも明日(2月16日)の昼間、NHK BSで放送予定なのでした。
主人公の外科医ジュリアン・ダンデュにフィリップ・ノワレ。
愛する妻にロミー・シュナイダー。
監督ロベール・アンリコ、撮影エティエンヌ・ベッケル。脚本は『離愁』のパスカル・ジャルダン。
音楽フランソワ・ド・ルーベ。『冒険者たち』などロベール・アンリコと名コンビでしたが、これが遺作。
ロケ地
IMDbでは、
Bruniquel, Tarn-et-Garonne, Midi-Pyrénées, France (Castle)
Biarritz, Pyrénées-Atlantiques, France
Montauban, Tarn-et-Garonne, France
Paris, France
例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
OP
親子3人とワンちゃんが並んで走ってくる微笑ましいシーン。
具体的な場所まではさすがにわかりませんが、テロップで「モントバーン フランス 1944年(Montauban 1944)」とこの映画の舞台が示されます。
橋
0:18
モントーバンのこちらの橋。
- http://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Pont_Vieux_(Montauban)
0:18のショットは橋の北東側から。
こちらの画像は、橋の南側から。
住まい
病院
「聖ヨハネ病院」 HOPITAL ST JEAN
0:21
それほど大きくない街なので、ローラー作戦で見つけました。
実際には学校のようです。
古城
セリフでは「バルブリの城」
0:29頃の標識では、«Barberie»とありますが、架空の地名でしょうか。
撮影地はこちら。
Bruniquel, Tarn-et-Garonne, Midi-Pyrénées, France (Castle)
海岸(8mm)
※15/8/28追記
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。
8mmのタイトルにもある通り、ビアリッツ(Biarritz)の海岸。
milouさんから画像を提供していただきました。
©2009 milou アルバム「フランス西海岸」から |
タイトルのアングル
©2009 milou アルバム「フランス西海岸」から |
逆向き(娘が走ってくるショットなど)
©2009 milou アルバム「フランス西海岸」から |
こちらは参考画像。
同海岸の貸しテントなどの料金表です。
※18/11/13追記
milouさんがこの時の旅行記を4travelにアップされていますので、ぜひそちらもご覧ください。
4travel > milouchatさんのトラベラーページ
牛追いと海バスク (ビアリッツ編)
小橋
1:00頃、城から見下ろしたショットで見える橋。
学校(回想)
出会ったカフェ(回想)
※15/8/28項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。
エンドクレジットにあるこちらではないかとのことです。
インドアビューが使えるとの情報で中に入ってみましたが、もしやこちらの席でしょうか??
シートの背中は貼り替えられていますが、金具や椅子の意匠は同じに見えます。
彼女が入ってきたのは回転ドアですが、インドアビューではジュリアン目線はこういった↓感じで回転ドアではありません
ドアは別の場所かと思いましたが、近寄って?みたらしっかり痕跡がありますので、ドアのショットもこの場所と思われます。
このカフェはこれまでのエントリーでは『何かいいことないか子猫チャン』、『サガン -悲しみよこんにちは-』で登場。
資料
関連記事
ロミー・シュナイダー
- 『すぎ去りし日の…』 Les choses de la vie (1970)
- 『サン・スーシの女』 La passante du Sans-Souci (1982)
- 『スカンポロ』 Scampolo (1958)
- 『ラ・カリファ』 La califfa (1970)
- 『何かいいことないか子猫チャン』 What’s New Pussycat (1965)
- 『夕なぎ』 César et Rosalie (1972)
- 『太陽がいっぱい』 Plein Soleil (1960)
- 『太陽が知っている』 La piscine (1969)
- 『恋ひとすじに』 Christine (1958)
- 『暗殺者のメロディ』 The Assassination of Trotsky (1972)
- 『華麗なる相続人』 Bloodline (1979)
- 『追想』 Le vieux fusil (1975)
- 『離愁』 Le train (1973)
更新履歴
- 2018/11/13 「海岸(8mm)」追記
- 2017/01/11 画像のリンク先をPicasaウェブアルバムからGoogleアルバムアーカイブへ変更
- 2015/08/27 「海岸(8mm)」「出会ったカフェ(回想)」項目追加
- 2015/02/15 新規アップ
コメント
52分過ぎの回想の海岸は8ミリのタイトルとしても“Biarritz,eté 1939 ”と出る。それは海岸の左から右(北東)を見たものでバック左端には灯台が見えている。
8ミリの中では逆方向のショットが多いがバックに見える窓がたくさん並ぶ建物は現在 Crêperie Le Blé Noir などが入っている建物で僕の2009年の写真にもバッチリ写っている。僕の写真に並んでいるテントも当然だろうが最初のタイトルとよく似ている。
ビアリッツは海バスクの中心だが昔からバカンスの定番で『緑の光線』や『素敵な恋の見つけ方』にも出てくる。とにかく非常に混雑するので最初は行く気はなく(スペインから)数少ないバスでバイヨンヌに向かったのだが道路が渋滞して時間が掛かり途中で断念してビアリッツで降りて泳いだ。
ちなみに以前8ミリビデオに録画したものをmp4 にコピーしたのだが、手違いで別の映画に置き換わり手元にないのでネット上で映像を確認した。
IMDB にParis があるが映画でそれらしき場所はクララと初めて会うカフェぐらい。エンドクレジットに有名な La Closerie des Lilas (171 Bd. du Montparnasse)があり、インドアビユーを見るシート上の金具などは同じに見えるので間違いないだろう。
それから“回想の海岸”の場面は間違い(場所ではなく記事)。8ミリはドイツ兵が映写機を見つけ映写する場面。もちろん見ているジュリアンは“回想”するだろうが…
milouさん、情報ありがとうございます。画像と記事アップさせていただきました。この画像はバッチリですね。
海岸の項目名も「海岸(8mm)」に直しました 🙂
先日この映画が、早稲田松竹の夜の上映でやっていたので観ました。日本でも、70年代前半くらいまで各映画会社が太平洋戦争関係の映画を夏に公開していましたが、この映画が75年にフランスで公開されて大ヒット、批評的にも成功をおさめたのも、戦後約30年くらいという時期だったこともあったのかもですね。
>出会ったカフェ(回想)
フランス語版Wikipediaに
>Le film fut également tourné à Paris ; la superbe scène de la rencontre a été tournée à Montparnasse, au restaurant brasserie La Closerie des Lilas.
とありますので間違いありません。またIMDbのこちら
https://www.imdb.com/title/tt0073864/alternateversions?tab=cz&ref_=tt_trv_alt
によると、
>West German theatrical version was changed to show German soldiers in a less inhuman way. Some scenes were deleted, others were substituted. The East German version was unchanged.
とあり、この映画が西独との合作だったことも由来しているのでしょうが、東独(当時)では、そのような配慮がなかったというのも興味深いですね。やはり東独側としては、ナチスや旧ドイツ軍に、そのような配慮は無用であるという考えがあったのかもですね。
で、以下「そういうことを言うな」という感想をいくつか。
殺し方のバリエーションがさまざまですね。銃で撃って全部おしまいでなくて、焼き殺すとか溺死させるとか橋を落とすとか。うーん、スプラッター映画と考えが似ているなあと、不謹慎極まりないことを考えました。
あと娘(ロミーにとっては養女)が風呂からあがるとき、しっかり彼女の胸が成長しているのが映っているのには「えー」でした。70年代当時はだれも何も言わなかったのでしょうが、今となってはかなりやばいシーンです。日本映画にもありますけどね。
あとこちらはちょっと苦笑しました。
https://www.imdb.com/title/tt0073864/trivia?ref_=tt_trv_trv
ヴァンチュラだと「いかにも」の気が。あとノワレとロミーって合わなかったんですかね?
いくつかのシーンにあるロミーのアップには、やっぱり圧倒されます。
Bill McCrearyさん、こちらでもコメントありがとうございます。
殺し方が様々というのは、スプラッターとかリベンジものの映画では定番の表現ですね。
ロミー・シュナイダーですら、ニコニコしながらぶーちゃんにナタを振りおろしています 😆
フィリップ・ノワレは撮影現場か何かでロミーに対してrudeなことをしでかしちゃったんでしょうかね。キャスティングとしては主人公にぴったりでしたが。
これが仰る通りリノ・ヴァンチュラだったら、たちまちノワールものですね。トレンチコートに身を包んで、一人ずつ冷酷に仕留めていきそう……