『禁断の木の実』 Le fruit défendu (1952)

禁断の木の実 [DVD]

作品メモ

『フランス式十戒』に続けてフランソワーズ・アルヌールの出演作をもう一本。
こちらはぐっとさかのぼって、彼女の本邦初公開作。
代表作(と思える)『ヘッドライト』のアンリ・ヴェルヌイユ監督作で、2人の組み合わせはこの『禁断の木の実』から始まっています。
年代逆順で並べますと、

映画パンフレット 「禁断の木の実(国際出版社版)」 監督 アンリ・ヴァルヌイユ 出演 フェルナンデル/フランソワーズ・アルヌウル/クロオド・ノリエ/シルヴィー/レエモン・ペルグラン/ルネ・ジェナン/ジャック・カステロ/フェルナン・サルドウ/ピュレット・ブルウノ

この映画で彼女は遙か年上の紳士を夢中にさせる娘マルティーヌを好演。
愛らしく清楚な雰囲気ながらドキっとするようなシーンもこなし、寄り添って微笑めばつぶらな瞳からキラキラ光線を発散するというキャラで、妻とは微妙な感じになってきた中高年男性がついころりといってしまったのも無理はなさそう。
ころりといったのは劇中の人物だけではなく当時の男性観客も同様だったと思われますが、その後の出演作を見れば、サービスカット付、あるいは歳の差カップルといった似たような役柄が並んでいて、女優さんもひとつの役が当たるとその後はいろいろ大変だなあと思ったりもします。

お相手の医師シャルル・ペルグランに、ひとつ前のエントリー『フランス式十戒』で「神様」を演じたフェルナンデル。
このルックスは一度見たら忘れられないものがあり、伊藤雄之助さんとどちらが長いか調べてみたいものだと思いますが、それはさておきこの映画では、名をなし立派な家庭も築いたはずなのにどこか満たされない男性の悲哀と言いますか愚かさのようなものをうまく漂わせていたように思います。

出演は他に妻アルマンドにクロード・ノリエ。後妻として迎えられてからは長年きちんと家を守ってきたしっかり者なのに、夫から見るとキビシイだけでオモシロミがないという損な役回りを、これまたうまく表現していました。
しかも実は途中から全部バレテーラだったというのがまた恐ろしい。
私このサイトを作っていることはヨメには内緒なのですが、もしかすると全部バレているかもしれないので、以後発言には気をつけたいと思います。

また母親役のシルヴィーは、同時期の『嘆きのテレーズ』でも母親を演じていました。最後の方のヨメ姑の会話は怖かったですね~ 😥
おフランスというと個人主義とすぐイメージしてしまいますが、いったんひとつ屋根の下に住んだならこの嫁姑問題は万古不易世界共通、きっとエジプトの壁画にも近頃の若者問題と並んで刻まれていることでしょう。

原作は(読んだことありませんが)ジョルジュ・シムノンの『判事への手紙』”Lettre à mon juge”W
映画の方はミステリーやサスペンスの要素はなく、殺人もありません。
いわば『フランス式十戒』の1エピソードとしてもあり得そうな、ワサビの効いた人間喜劇となっています。

脚本ジャック・コンパネーズ、撮影アンリ・アルカン、音楽ポール・デュラン。

ロケ地

IMDbでは、

Gare Saint-Charles, Marseille, Bouches-du-Rhône, France (train station)
Boulevard d’Athènes, Marseille, Bouches-du-Rhône, France (American bar) Arles, Bouches-du-Rhône, France (train station)

とピンポイント的に数ヶ所しか載っていませんが、主な舞台は南仏アルル。
他にマルセイユが少々といったところ。

OP坂道

少年が駆けてくるカーブを描いた坂道。
アルルのこちら。


大きな地図で見る

画面左側の曲面は、円形競技場W
今までのエントリーで言えば、『詩城の旅びと』で登場しています。

背後の尖塔は、Wikimapiaでは”Collège Saint Charles (Arles)”。

石段と街路

そのまま少年が駆けてくるところ。
この通りにシャルルの住まいがあるという設定ですね。
背景の大きな石段は、円形競技場の北側。

Photo from Wikimedia Commons
(public domain)

急患の家

踏切番の家。
不明。

ホーム

回想シーンの最初に駅のホームが写りますが(子供が可愛い♪)、アルル駅でおそらくカメラ南向き。

駅前の階段

0:20
シャルルが駆け上がってくるところ。
『想い出のマルセイユ』でイヴ・モンタンが歌って踊っていたマルセイユ・サン・シャルル駅 (Gare de Marseille-Saint-Charles)Wの階段。

By Tangopaso via Wikimedia Commons
(public domain)

Escalier monumental de la gare de Marseille-Saint-CharlesW

マルセイユ・サン・シャルル駅 (Gare de Marseille-Saint-Charles)W

乗り損なったホームは

※14/8/9追記

©2002 milou アルバム「フランス南部」から

milouさんから駅構内の画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
撮影はみな2002年10月とのことです。

©2002 milou アルバム「フランス南部」から

もちろん蒸気機関車ではなくて、TGV。 『想い出のマルセイユ』ではTGVでしたね。

©2002 milou アルバム「フランス南部」から

同じ列車を駅舎側に向かって。

階段前

いったん別れたバーの前。
このあたりでしょうか。横から見るとけっこうな坂道ですね。

アルルの駅前

Gare_d’ArlesW

駅舎は完全に建て替えられているようですね。

ホテル・ポスト

彼女が泊まることになったHOTEL DE LA POSTE。
次の項目のバーの近くという設定で、いかにも同じ広場にあるような編集をしていますが、全然違う場所でした。

現実にはこちらのホテルですが、同じような名前。ふつうにタイアップだったのかもしれません。

Le Relais De Poste
2 Rue Molière, 13200 Arles, France
http://www.hotelrelaisdeposte.fr/

バー

銅像がある広場に面した建物。

By AlanFord via Wikimedia Commons
(public domain)

銅像はフレデリック・ミストラル(Frédéric Mistral)W

広場は、フォルム (アルル)W
後半でお祭りの会場にもなります。

バーは実際にはこちらのホテルとなっているようです。

Grand Hôtel Nord Pinus
14 Place du Forum, 13200 Arles
http://www.nord-pinus.com/

回廊

町の人の目線を避けるように入ったところ。
後ほど(家に連れてきたとき)セリフにも出てくるこちら。

サン=トロフィーム教会(Cathédrale Saint-Trophime d’Arles)W

Photo from Wikimedia Commons
(public domain)
By SiefkinDR via Wikimedia Commons
(public domain)

ロケ地マップ

南フランスが舞台の映画(※16/4/2追加)

 
 

資料

関連記事

フランソワーズ・アルヌール出演作

更新履歴

  • 2016/04/02 「ロケ地マップ」に「南フランスが舞台の映画」追加
  • 2014/08/09 「駅」にmilouさんの画像を追加
  • 2014/07/30 新規アップ
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『禁断の木の実』 Le fruit défendu (1952)” への4件のコメント

  1. 題名すら聞いたこともなかったが調べると昔BS2で放送したのを録画してあった。物好きですね(お互いさま?)

    残念ながら新たに付け加える場所はまだ見つからないので補足的なことばかりだが
    マルセイユ駅前のバーは大階段を降りてすぐ、2軒目ぐらいだから多分現在の Hotel Windsor の場所だろう。そのあとのレストランで妻に電話するとき Garibaldi という。店内しか映らないしヒントはないが、現在駅から800メートルぐらい下がった 11 Bd.Garibaldi にLe Garibaldi という店がある。映画の店でないのは明らかだが店名から考えて恐らくこの通りにあったと思われる。

    Hotel Post は(記載が)間違いで Hotel de la Poste です。台詞で言うし画面でも小さく下に見えます。ついでながら poste という単語は両性で使われ郵便などのポストは女性、役職などのポストは男性。現在のホテル名の Le relais de poste はそれだけで宿場という意味なので無冠詞です。

    Grand Hotel Nord Pinus の記載写真で左に見える黄色いカフェLe cafe de nuit はゴッホの有名な「夜のカフェテラス」の店です。

    サン=トロフィーム教会はもちろん正解ですがSVが飛びません。何度かリトライするとなぜかアルル駅に飛ぶ。

    教会そのものはレピュブリック広場に面しているが回廊への映画のような入口がない。恐らく現在はSVで観光客が出入りしている、教会の右手の入口だと思われるが敷地の一角を一周しても入口が見つからない。比較的似た入口は 6 Rue du Cloître にあるがアーチの大きさが一致しない。ちなみに回廊の場面で遠くを黒猫が通りますね。

  2. milouさん、情報ありがとうございました。
    手を入れておきましたが(打ち消し線は今回見た目うるさくなるので使っていません)、回廊の入口はわかりませんでした。
    どこなのでしょうね。私も一周回って、諦めました。 🙂

  3. 二度目の書きこです

    先週の金曜日にアルルに行ってきたので、この映画は観たことなかったのですが、
    Le relais de posteに泊まってきました
    部屋はワンルームですけどマルセイユでロスバケしてホテル到着が深夜0時だったので
    ホテル側から聞いてた入り口の暗証キー押してチェックインしたので他の部屋は未確認隅です

    シルバカンヌの修道院や、勝手にしやがれで二人が渡った川とかにも寄りたかったのですが、
    朝のマルシェでレンタカーがレッカー移動させられてその手配に手間取ってしまい、
    フレンチコネクションの冒頭の刑事が歩いてるマルセイユの旧市街や、シャニエルが会いに行く愛人邸も見つけたのに行けず仕舞いでした

  4. 打ちっぱなし人間さん、コメントありがとうございます。二度目とのことですが、もしや打ちっぱはしで下を覗かれた方でしょうか 🙂 ?
    マルセイユやアルルにいらっしゃったのですね。うらやましいです。
    ロストやレッカーは残念でしたが、きっとたっぷり楽しまれたことでしょう。
    南仏はロケ地がらみでなくてもぜひゆっくり回ってみたいと思っていますが、マルセイユはちょっとおっかなそうですね……

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