To our gracious host, Japan
Kanpai!
目次
作品メモ
このところ久々に『シャレード』を何度か見返しています。
お話の面白さもさることながら、さすが大スター同士といいますか、主演の2人が品も格もあるとても良い雰囲気を漂わせていて、それだけで十分幸せな気分にひたれます。
ピーターが地下鉄ホームでレジーを見つけてつーっと滑るように止まる仕草など、ちょっとしたことですがついついマネしたくなったりしたのでした。
ケーリー・グラントはわずか3年後のこの『歩け走るな!』が最後の映画出演となりますが、撮影時にはまだ61歳。十分魅力的ですしちょっともったいないかなとも思います。
内容は東京オリンピックを背景にしたコメディで、ケーリー・グラントが高度成長まっただ中の日本にやってきて撮影しているという、当サイトにとっては非常にうれしい1本。
大スターが最後に残した足跡を、有り難くたどってみたいと思います。
来日したイギリス人のビジネスマン、ウィリアム・ラトランド卿にケーリー・グラント。
ルームシェアの案内を出していたがためにラトランドに上がりこまれてしまったクリスティン・イーストンにサマンサ・エッガー。やはり『コレクター』が有名でしょうか。
建築家の卵でオリンピックの選手でもあるらしいアメリカの青年スティーヴ・デイヴィスにジム・ハットン。フレディ・マーキュリーのお相手と同じ名前ですが、もちろん別人でティモシー・ハットンのパパ。似てますかね??
他にクリスティーンの友人クラワ・アイコ役で、『サヨナラ』の高美以子が出演。「クラワ」の漢字は不明。「アイコ」だってわかりませんが。
警察官にジョージ・タケイ。
主演の3人ともイギリス出身の俳優さんですが(※5/25修正 すみません、ジム・ハットンはアメリカ人でした。ティモシー・ダルトンと間違えました…… orz)、アメリカ映画。
日本未公開の”The More the Merrier”(1943)のリメイクとのことです。
監督チャールズ・ウォルターズ、撮影ハリー・ストラドリング、音楽クインシー・ジョーンズ。
日本語版Wikipediaでは、「興行収入750万ドルを上げ、全米のレンタル収入で450万ドルを上げた」とありますが、「レンタル収入」って配給収入のことですよね?? そう書けば良いのに。
構図
『冒険者たち』のエントリーでもジャケットで少し遊んでしまいましたが、男性2人に挟まれた女性という構図は映画ではすっかりおなじみ。
その逆となると、当サイトで扱った作品ではこのくらいでしょうか。
ロケ地
IMDbでは、
Hotel Okura, Toranomon, Tokyo, Japan
Shimbashi, Tokyo, Japan
Tokyo, Japan
例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
タイトルバック
オリンピックに向けてウェルカム一色の都内各所が写ります。
浅草寺雷門
モノレール&東京タワー
東京駅
6番線の京浜東北線。
この焦げ茶色の電車は、なんとなく「国鉄」より「省線」と呼びたくなってしまうかもしれません。
WikipediaWによると、「1965年(昭和40年)10月:103系の運用開始」とあります。ちょうど映画撮影時に切り替わりつつあったということですね。
東京駅八重洲口
横断歩道は今でもありますが、ここも鉄道会館ビル(大丸)が無くなってすっかり変わってしまいました。
銀座和光ビル
撮影監督のクレジット。背景は夜の銀座和光。
三愛ドリームセンター
おなじみ、三菱の広告を戴いたビル。
夜に映えますね。
三菱の広告はいつのまにかなくなり、現在は本来のRICOHグループが使用しているようです。
昼間の銀座四丁目
正面は和光。左手奥に日劇が見えます。
ホテル・オークラ
残念ながら今年解体される本館。
その前に写真を撮りに行きたいところですが、すぐ近くにアメリカ大使館がありふだんから警備が厳重なエリア。挙動不審にならないように気をつけねば。
ラトランド卿、オリンピック期間中ということで満室、泊まれません。
先日来日した外国の人と話す機会がありましたが、昨今宿をとるのが大変なようです。
これから2020年に向けてお客様がさらに増えそうで、当時が再現されつつあるのかもしれませんね。
イギリス大使館
ホンモノです。
宿へ移動
渋谷でしょうか。
アパート周辺
設定ではオオサコ通り2-35。
セットですが、ありがちな変てこりんな文字やイタイ看板などは見当たらず、意外としっかりしています。
新橋名画座の3本立てまで再現 😆
翌朝コーヒーを準備しながら吹く口笛は、『シャレード』のテーマ。
訪問先
0:20
車でやってきたのは、原宿駅近く、代々木体育館が見える神宮前交差点。
表参道の角にあるマンションの下、南国酒家のあたりでしょうか。
地理院地図GSI Mapsがさらに進化していて、74年以前の空撮も重ねることができるようになりました。
上記のリンクから地図を開いた後、左上の「情報」→「表示中の情報」でレイヤーの透過率を調整すると、経年変化をわかりやすく確認できます。
具体的には、74-78の画像は1975年1月20日のもので、61-64は1963年6月26日のもの。
63年の空撮はオリンピックのわずか1年数ヶ月前なのに、まだ体育館は基礎しかできていませんし、周辺の米軍住宅や道路も昔のままです。突貫工事だったと言うことが、マップからもわかりますね。
映画はオリンピックの後に撮影されていて、あたりはすっかりピカピカに出来上がっています。
その後の社屋は不明。
気になるので調査中。
街角
スティーヴと歩く通り。
外堀通りから入ってきて新橋駅方面へ歩いてきています。
まずスティーヴがキョロキョロしながらやってきたのは、現マクドナルドの角。
参考までに、このはす向かいに新橋名画座がありました 😆
最後に子供たちと横断したのはこのあたり。
建て替えられてはいますが、今でも駅前で営業している不動産屋さんのビルの前です。
不思議なもので、周囲の建物はほぼ建て替えられているのに、なじみの場所だと映画のワンショットだけでビビっときます。
動物的な本能が働くのかも??
タクシーを降りたところ
0:52
大ざっぱなスクリーンプロセスに続いて、横断歩道を渡るケーリー・グラント。
ここはホンモノの街角ですが、外堀通りかもしれません。
未確認。
パーティー
各国選手が仲良く盛り上がるこの場面。スタジオ撮影でしょうか。
個人的には結構お気に入りの場面です。
外国人目線のようでいて、実は日本人目線でも東京オリンピックの時の空気のようなものはこんな感じではありませんでしたっけ??
船着き場
1:13
港めぐりの遊覧船に乗るところ。
よほど珍しいのでしょうか、スタジオ撮影のアパート周辺に続き、そばの出前が通り過ぎます。
場所はかちどき橋の北東側です。
一帯は今では埋め立てられていますが、昔の空撮画像で様子を見ることができます(地理院地図GSI 61-64年)。
最後に掲載したロケ地マップで、当時の水際の線を大ざっぱに書いておきました。
日本庭園
調査中
競技コース
スティーヴが出場する競歩のコース。
そういえば競歩の競技者はランナーではなくてウォーカーでしたっけ??
競技場出口
1:37
旧国立競技場の千駄ヶ谷ゲート。
こちらは先週撮影したものですが、競技場はすっかり解体されていました。
ゲートだけ残っていて、向こう側に日本青年館が見えています。
まだ新競技場の設計は定まっていないようですが、間に合うんでしょうかね~ 😉
右折して出た商店街
右折して片側一車線の商店街に出るところ。
角はいかにも宮大工さん的造りの銭湯に見えます。
2棟が合わさったようなビルが背後に頭をのぞかせていますが、港区白金のこちらに今でも建っている北里大学の施設。
なので選手たちが右折してきた角はこちら。
銭湯は現在「アクアガーデン三越湯」として営業中です。白金でお湯につかるのも良いかも♪
商店街を直進
まっすぐ伸びた商店街。後半ハバーサックのタクシーが乱入してきます。
上記の場所を100mほど進んだところ。
沿道の建物はほぼ建て替えられている中、最後の方に写る右手の建物は今でも健在です。
ハバーサック乱入中
小高いところにある並木通り。カメラはほぼ北向き。
地理的条件からは外苑西通りかと思いましたが、違うかも……。
参考までにマップを載せておきますが、調査中とさせてください。
余談ですが、この通りの南端(白金台交差点)は、SVでは東急ストアになっていますが、現在某激安チェーン店(の高級版)が開店準備中です。
白金台にこのお店って、まさに鈍器でなぐられたような衝撃……
クリスティーンたちと合流
クリスティンとウィリアムのタクシーが到着して、ハバーサックが合流したところ。
上述並木道がスタートした地点。病院の広告が電柱に貼られている横断歩道のそば。
右折して入ってくる路地
背景に『血と砂』や『各駅停車』と東宝映画の看板が見えます。その左も映画館で、こちらは東映系のようです。おそらく新宿三丁目にあった新宿東映。
となると東宝の方は新宿京王となるはず。外観はもう忘却の彼方です。
ここは東宝の邦画をかけていたのでしょうか??
それはともかく、競技者たちが入ってきたのはその向かいの通りで、つまり新宿末廣亭のある末広通り。
そのまま新宿三丁目の路地を競歩しまくります♪
1ブロック目をすぐ右折。そのまま直進。
ここを左折(向って右手へ)
ここ↑はSVでは工事中ですが、今月(2015年5月)初めにすでにTOKYU STAYがオープンしています。
角は飲食店でホテルと同時にオープン、(おそらく大きなターゲットである)外国のお客さんで昼間から賑わっています。
私なんざが心配するまでもなく、需要を読んでホテルが建設ラッシュとなっているわけですね。
映画に戻って……
以後競歩の選手団はこのあたり数ブロックをあちこち移動、たまに同じ所を逆走したりもしているようです。
最後の十字路は、やはり末広通りのこちらでしょうか(カメラ南向き)。
理屈の上では右手のどこかに末廣亭が写っているはずですが、確認できませんでした。
昔の新宿三丁目を軽快なステップで歩き回るケーリー・グラントの姿は、それだけでも十分に楽しめます。
これを含めてとにもかくにもこの映画、再び東京にオリンピックを迎えるにあたり、予習復習いずれにも使えそうな趣きたっぷりのステキな映画となっているのではないでしょうか。
ロケ地マップ
より大きな地図で (ちょっと昔の)日本が舞台の外国映画 を表示
資料
関連記事
ちょっと昔の日本で撮影
- 『Mishima: A Life In Four Chapters』 Mishima: A Life In Four Chapters (1985)
- 『OSS117/東京の切り札』 Atout coeur à Tokyo pour O.S.S. 117 (1966)
- 『Stopover Tokyo』 Stopover Tokyo (1957)
- 『ゴースト・イン・京都』 The House Where Evil Dwells (1982)
- 『サヨナラ』 Sayonara (1957)
- 『ザ・ヤクザ』 The Yakuza (1974)
- 『トコリの橋』 The Bridges at Toko-Ri (1954)
- 『ブラック・レイン』 Black Rain (1989)
- 『モスクワわが愛』 Москва, любовь моя (1974)
- 『双頭の殺人鬼』 The Manster (1959)
- 『惑星ソラリス』 Солярис (1972)
- 『東京ジョー』 Tokyo Joe (1949)
- 『東京ファイル212』 Tokyo File 212 (1951)
- 『東京暗黒街・竹の家』 House of Bamboo (1955)
- 『歩け走るな!』Walk Don’t Run (1966)
- 『追撃機』 The Hunters (1958)
更新履歴
- 2022/06/14 地理院地図GSI Maps、SVのリンクを更新
- 2015/05/25 「作品メモ」修正
- 2015/05/24 新規アップ
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