目次
作品メモ
ソ連映画を続けてきましたが、ちょっと寄り道。
ひとつ前のエントリーで『シャーロック・ホームズとワトソン博士』を取上げたので、やはりこちらを……ということでいわゆるグラナダテレビ版です。
最初にNHK地上波で放映されたとき、夢中になって毎週見続けていました。
今回は、たまたま先月(2014年1月)NHKBSプレミアムでお気に入りの1本が放送されたので、それをチェックしてみます。
「第二の血痕」 The Second Stain (1986)
第3シリーズ(本国では”The Return of Sherlock Holmes”)で放送されたエピソード17。
「完全版ボックスセット」では第2巻に収録。
原作は37番目の短編で、やはり第3短編集『シャーロック・ホームズの帰還』の最後に収録されています。
重要な機密文書を紛失してベーカー街を訪れた首相と外務大臣。今や欧州の戦争を回避できるかどうかはホームズとワトソンの活躍にかかっていたのでありました……といった壮大なお話ですが、ミステリーとしてもお話としても、なかなかよくできた短編ではないかと思います(こんな機密事件をワトソンが書いてしまって良いかどうかはわかりませんが……)。
それを若干手は加えていますがほぼ原作通りにドラマ化。特に出てくる人物はみな魅力的に撮られていて、原作を丁寧に補完してイメージを膨らませているのがうかがえます。
してやったりのラストは、たくみな映像化によって原作よりもさらに盛り上がったのではないでしょうか。
結果、筋立て良し、キャラ良し、オチも良しの快作となっていて、個人的にはとてもお気に入りの一本となっています。
シャーロック・ホームズにジェレミー・ブレット。
ジョン・ワトスンにデビッド・バーク。
ハドスン夫人にロザリー・ウィリアムズ。
レストレード警部にコリン・ジェボンズ。
首相ベリンジャー卿にハリー・アンドリュース(Harry Andrews)。
これがまた見事な存在感でした。
このエピソードで使われた勇壮かつ荘厳な曲は、音楽Patrick Gowersのオリジナルでサントラにも収録されています。
タイトルが”The Illustrious Lord Bellinger”で、この首相のための音楽なのでした♪
▼21/11/29 動画差し替え
ロケ地
IMDbでは、
The Privy Council Office, 2 Carlton Gardens, London, England, UK
おそらくこのドラマは世界中の熱心なファンによってロケ地なども詳細に解明されていることと思いますが、いつものように画面とにらめっこで自力で頑張ってみました。
なにせ国家的危機のお話ですから、ホワイトホール周辺の立派な建物も写り、最初の放送時から撮影場所がとても気になっていました。
今回チェックできて、スッキリ。
首相が出てくる建物
NHK版ではカットされていましたが、オリジナルをYouなんとかで見てみたら、最初に首相が建物から出てきて馬車に乗り込む場面があります。
ダウニング街10番地ということなのでしょうね。
これまでのエントリーで言えば『リトル・ブリテン』でチェック済み。
もちろんどちらもセットでしょうけど。
ところで上掲SVで、官邸名物のニャンコが写っているのに気づきましたか 🙂 ?
タイトルバック
欧州担当大臣が首相を待っているショットで、”THE SECOND STAIN”とタイトルが出ます。
これはホンモノ、イギリス外務省Wの前。
こういった↓カメラアングルですね。
銅像と脇の階段は後でまた登場します。
ベーカー街
首相と大臣が乗った馬車がやってきたのはベーカー街。
オープニングクレジットで毎回登場するところ。
おそらくグラナダテレビWのオープンセットかと思いますが、きちんと調べたわけではありません。
スタジオはマンチェスター市のこちら。
現在こういったオープンセットがあるようです。
ホームズがやってくる通り
ウエストミンスター寺院からカメラが降りてきて、ひとりやってくるホームズをとらえるショット。
最初はセピア色で、次第に色が付いてくるという凝った仕掛けとなっていて、印象に残ります。
よく見ると奥の方でも馬車が横切っていて、1カット1カットを丁寧に撮っているのがわかります。
通りは寺院の南側のこちら。カメラは東向き、ホームズは西向きで、この角でBarton Stへ左折します。
“GODOLPHIN STREET S.W.1.”(ゴドルフィン街)の住所標示があるのは、Barton Stの先を左折したところ。
“COWLEY STREET SW1″の標示を隠すように貼られていたことになります。
銅像と階段
水たまりに映る銅像からカメラがアップして、階段を降りてくる2人をとらえるショット。
外務省と大蔵省の間。
この場所、これまでのエントリーでは『ロシア・ハウス』でチェックしていました。
アーチの下
アーチの下をカメラにむかって正面からやってくる2人。
圧縮効果でアーチがいくつも重なって見えます。
おそらくカメラ位置は大蔵省の丸い中庭で、北向き。
2人は北側の入口から中庭に向ってきています。
- Google Maps(SV) ……さらに南側、Great George Stから見たアングル
- Google Maps(SV) ……北側の入口から見たアングル
- Bing Maps(概観図)
- WikiMapia
欧州担当大臣の住まい
撮影場所はIMDbのリストにあるこちら。
The Privy Council Office, 2 Carlton Gardens, London, England, UK
ラスト
「大成功(ヒャッハー)♪」と大喜びのホームズとそれを見守るワトソンの笑顔が素晴らしいラストシーン。
上記”The Privy Council Office”の南側。
銅像が左端にちらりと見えていますから、こちら側の階段。
- Google Maps(SV) ……カメラの向きはこのSVと逆
- Google Maps(SV) ……こちらの裏側
- WikiMapia
銅像は下の方しか写りませんが、『英国王のスピーチ』でおなじみジョージ6世。
ただし階段と銅像の位置関係が、現在とは少し違います。
こちら↓は除幕式の模様。「第二の血痕」に写ったのもこちらの像。
当時は像はこの↓銘板の位置にあったことがわかります。
資料
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更新履歴
- 2021/11/29 「作品メモ」動画差し替え
- 2014/02/09 新規アップ
コメント
すごい・・・
私なら自力で解かる範囲をはるかに超えています
ドラマを見て「ウエストミンスター」がどんな場所かGoogleマップで見物しながら
更に検索していたらこのサイトに辿り着きました
ヴィクトリア朝には批判もありますが
19世紀のロンドンは是非行ってみたい時代と場所であります
いんさん、いらっしゃいませ、コメントありがとうございます。
日本ですと明治時代の東京の話を都内でロケしようとしたら場所を探すのが大変ですが、ロンドンですとそれっぽい場所がたくさん残っているようで、建物や街並みのロングライフぶりはうらやましいですよね。
時代をさかのぼるのはタイムマシンでも無い限り難しいでしょうけど、その場所に立つだけでも、歴史的な雰囲気を十分味わえそうな気がします。
とはいえ実際に行ける場所は限られますし、とりあえずウェブマップやいただいた画像で撮影現場に行った気になれれば……というショボい発想でなりたっているサイトですが、これからもたらたらやっていますので、またいつでもぜひお立ち寄りください 🙂
今本文を振り返って見たら、ダウニング街10番地のSVが出入口がボカされてしまっていました。もちろん記事を書いたときにはボカしはありませんでしたが……この記事のせいではないでしょうけど(汗)
せめてニャンコはボカさないで欲しかったです……
お久しぶりです。ルイス警部がないかな~と覗かせてもらったらシャーロックを見ていました(笑)今またまたまたNHKで放送しているのですが、太っていくシャーロックをみるのは切ないので生還した時点で観るのを止めてしまいました。でも居ながら様お気に入りの回がちょうど来週やるとわかり予約しましたよ。ぼけちゃったニャンコもしっかり見たいと思います。
えめさん、コメントありがとうございます。
番組表チェックしました。「第二の血痕」は12月1日(水)夜9時からですね。録画は持っているはずですが、念のため予約入れました。情報感謝感謝です。
官邸で勤務中の猫様(名前忘れた……)は、もちろんSVだけでドラマでは写っていませんが、そのSVでは最初は見られていたのに、ボカされてしまい、猫様にも肖像権があるのかと思ってしまいました。
どこかの記事で書きましたが、我が家の猫様は数年前にバルコニーに出ているところをSVに撮られてしまい、お空に行ってしまった今でもいつでもSVで会うことができるので、Google先生の方角に足向けて寝られません。