鼻がきく奴
目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『オーガストウォーズ』は 2008年8月の南オセチア紛争を扱っていましたが、近年きな臭いニュースがあれこれ飛び交っていたウクライナ情勢も同じ構図であることに気づかされます。
ソ連邦崩壊後、かつての衛星国やその周辺では、こうした事態が起きる危険性を常にはらんでいるということですね。
これは珍しくもそのウクライナで製作撮影されたミステリーシリーズです。
……といっても国際情勢的にキナ臭いものや、生臭い話はいっさい出てこない、純然たるエンターテインメント。
ただ本物の「臭い」だけは必要不可欠の要素となっています。
主人公はやたら鼻のきく私立探偵。
たちどころに何の臭いかかぎ分けられる……だけでなく、臭いに関するデータや知識をたっぷり持っていて、解析能力もハンパありません。
たとえば目の前にいる人間の臭いを嗅げば、その人が先程まで何をしたのかまでさらりと答えてみせることができますし、犯罪現場でクンクンすれば、そこで何が行われたのかが手にとるようにわかるのです。
仮にうまく脳内データベースでヒットしなかった場合は、自宅兼実験室であれこれ臭いを調合し、正解を導き出します。
つまりはひとり嗅覚専門CSI状態。
あまりに鼻がききすぎるので、普段は鼻栓をしています。
いざとなるとそれをシュポっと抜いて、クンクン嗅ぐのですが、少し間延びしたルックスもあって(失礼)、仕草がとてもユーモラス。
でも天才肌ですからやはりちょっとメンドくさいキャラ。
奥さんとは別れて、子供をめぐって争っている状態です。
時折«СБР»(ラテン文字なら”SBR”)なる捜査局の知人、ヴィクトル大佐(Виктор)の依頼で、コンサルタントのような形で事件捜査に加わります。
«СБР»は«Специального бюро расследований»(”Special Bureau of Investigation”)の略。
FBIのロシア語表記が«Федеральное бюро расследований»なので、それにならった架空の組織でしょうか。
この2人を中心にお話が展開しますが、彼等のようなむさ苦しい男たちと対照的に、毎回超絶的に美しい女性が登場するというのがまたいかにもウクライナなドラマ。
映像表現はカメラワーク、編集、VFXなど洗練されていて、画像だけ見ている限り英米のドラマと区別がつきません。
シナリオは「惜しい、もうちょっと」のところもありますが、劇映画だけでなくドラマの世界でも旧東側の作品が洗練されてきているのがわかります。
原題は「ニュハーチ」。«Нюхать»(ニューハチ)が「嗅ぐ」なので、その派生でしょうか。
英題は”Sniffer”。そのまま主人公の役名になっています。
クレジットはロシア語で、セリフもロシア語。
製作はウクライナのFILM UA。ウクライナのICTVで2013年11月11日~シーズン1を放送(全8話)。ロシアではチャンネル1で放送。
今年(2015年)10月からシーズン2(全8話)を放送中です。
日本ではAXNミステリーでこの(2015年)7月にシーズン1がまとめて放送され、私もこれで初めてこのドラマを知りました。
来週(15年)11月11日から再放送されるようですので、契約されている方はぜひどうぞ。
私も今度は第1話から全部録画しようと思っています。
これは↑予告編ですが、実はYouTubeのFILM.UA Groupのチャンネルで、全エピソードを見ることができます。
英語字幕付きという大サービス(歯車マークから字幕を選択)。
- https://www.youtube.com/playlist?list=PL1PP_OaYvIQV18Dn5aJMvqYph4wj-7psE
- https://www.youtube.com/playlist?list=PL1PP_OaYvIQUyjJmUx794F2-TwgGaMDmq
本国で放送されたばかりのシーズン2も見ることができます。
何がどうなっているのかワケわかりませんが(汗)、とにかくありがたく視聴。
※15/11/13追記
AXNミステリーでの再放送を録画して少し見てみました。
撮影はウクライナのようですが、設定上の舞台はロシアですね。
邦題にミスリードされてしまいました……
NHKがリメイク
※15/11/25項目追加
NHKドラマのサイトに、NHKがリメイク権を獲得して、2016年に放送予定とありました。
主役がどなたになるのか気になりますね。
※16/7/23追記
記事が出ました。
阿部寛さんと香川照之さんのようです。ぴったりのキャスティングかも 🙂
タイトルは『スニッファー 嗅覚捜査官』で、10月22日スタート(毎週土曜日午後10時から、全8回)。
オリジナルと違って促音が入っていますね。
その「スニッファー」の役名は華岡信一郎(笑)。
ヴィクトルは人情派刑事という設定のようで、役名は小向達郎。
他に、主人公と良い雰囲気となる耳鼻科医師は末永由紀(井川遥さん)、別れた妻は片山恵美(板谷由夏さん)、さらにオリジナルではいなかったヴィクトールの母親も登場するようです(吉行和子さん)。
キャッチコピーは
俺の鼻は間違えない
※16/9/1追記
NHKの番組サイトはこちら↓
http://www.nhk.or.jp/dodra/sniffer/
これはかなり期待できそう♪
DVD化
※16/7/20項目追加
Amazon他でDVDボックスセットの案内が出ていました。
2セットで、2016年10月4日と11月2日発売予定。
「嗅覚探偵 スニファー」と仮題が付けられています。
販売元がNHKエンタープライズなので、もしやリメイク版放映にあわせての商品化でしょうか?
※16/8/10追記
タイトルが『スニッファー 嗅覚捜査官 (オリジナル版) 』となりました。
シーズン2
※16/8/10項目追加
AXNミステリーでこの(2016年)8月22日からシーズン2が放送開始予定(毎週月曜日夜10時から2話ずつ。全8話)。
タイトルがNHKやDVDに合わせて促音入りの「スニッファー」にしれっと変わっています。
このページの表記も、しれっと変えてしまいましょうか??
テーマ曲
※16/9/2 項目追加
歌詞は英語ですが、ラトヴィアのバンドのようですね。
BrainstormW “Years And Seconds” (2009)
- https://itunes.apple.com/jp/album/sag/id972785007
- https://itunes.apple.com/jp/album/years-and-seconds/id972773117
ロケ地
IMDbでは、これだけ。
Kiev, Ukraine
例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
スニファーの住まい
天井が高く非常に眺めが良いモダンな作り。
スタジオ撮影ですが、Wikipediaによると、17m×9mのスクリーンをセットし、6台のプロジェクターで景色を投影しているとのこと。
グリーンバックではないのですね。
背景素材のビル群はキエフなのだと思いますが、特定できませんでした。
※15/11/14追記
投影した画像ということで加工はされていると思いますが、背景画像を再度チェックしたところ、意外な事実が判明。
例えばS1E3の0:19頃、元妻が来る直前に臭いを消している場面では比較的背景画像がはっきり見えますが、これなんとマンハッタンでした 😆
ロックフェラーセンターあたりから南側を見ている景色です(遠方は別の画像を合成)。
元妻が寝てしまった時のショットの背景は、こういった感じ。
中央にエンパイア・ステート・ビルが見えるはずですが、ドラマではさすがに隠してあります。
また例えばS1E2の0:24頃の夜景は、上と同じようなアングルですが、エンパイア・ステート・ビルは隠し、代わりに少し右側に、スターリン様式っぽいライトアップされたビルの画像を合成しています。
右手前の横長の窓が並んだビルは、W. R. Grace BuildingW
元々旧ソ連におけるスターリン様式の建築はニューヨークの摩天楼に対抗するつもりだったようですが、まさかロシアのビル群という設定でマンハッタンの画像を使われるとは、スターリンもさぞ草葉の陰で悔しい思いをしていることと思います。 ま、ニチェボーということで。
特別捜査局
※15/11/14項目追加
ガラス張りの吹き抜けホールや、机が閑散とならんでいるオフィスなど、やたら透明度が高いモダンな建物。
調査中。
※15/11/15追記
俯瞰ショットでよく見ると«LIFE:)»や«Pt»(Platform Bank)といった標示がありましたので、それが手掛かりとなりました。
キエフ市内のこちら。
Horizon Park Business Center II
http://nhps.com.ua/en/hpbc2
局長の部屋
※15/11/14項目追加
書類が何も見当たらないがらんとした特別捜査局の局長さんの部屋。
眺めが良く、窓が湾曲し外枠も見えていて、まるで展望室のようなところです。
最初はセットかと思いましたが、景色がホンモノのように見えますし、S1E4の0:03頃、その外側も写ります。
どうやらどこかの高層ビルの屋上と思われますが、不明。調査中。
※15/11/15追記
前項目のビルと同じでした。
南側のビルの最上階です。
S1E1 空港
冒頭、CAさんたちがぶいぶい歩いて行く空港ビル。
調査中。
S1E1 タイトルバックの橋
上掲動画の最初。
キエフのこちら。
New Darnytskyi Bridge(Дарницкий железнодорожно-автомобильный мост)W
クルマは西に向っています。
S1E1 川縁の現場
0:29頃
背景はメトロ橋(Мост Метро, Міст Метро́)W
S1E2 狙撃手のいた屋上
大きな看板は«ГОТЕЛЕ КООПЕРАТОР»(英字なら”GOTELE KOOPERATOR”)で、ホテルでした。
http://www.hotelcooperator.com.ua/
キエフ市内のこちら。
看板はウクライナ語。
ウクライナでの放送時は、言葉やクレジットはどうしていたのでしょうね?
S1E4 美術館前のカフェ
※15/11/14項目追加
0:10頃。
美術館前という設定でしょうか、美しき女医さんと向かい合っていたオープンカフェ。
ロケ地マップ
資料
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更新履歴
- 2016/09/02 「NHKがリメイク」追記 「テーマ曲」項目追加
- 2016/08/10 「DVD化」追記 「シーズン2」項目追加
- 2016/07/23 「NHKがリメイク」追記
- 2016/07/20 「DVD化」項目追加
- 2015/11/25 「NHKがリメイク」項目追加
- 2015/11/15 「特別捜査局」「局長の部屋」追記
- 2015/11/14 「作品メモ」「スニファーの住まい」追記 「特別捜査局」「局長の部屋」「美術館前のカフェ」項目追加
- 2015/11/08 新規アップ
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